まらしぃ パーソナルインタビュー 活動開始から8年間、ブレることのなかった一つの思いとは
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『まらフェス in 日比谷野外音楽堂』
以前、単独でのインタビューやH ZETT M・岸本亮との鼎談企画でSPICEに登場してくれたまらしぃだが、パーソナルに迫るインタビューは今回が初。ピアノを始め、ニコニコ動画に演奏動画を投稿し、ライブへ出演、ピアノで演奏した曲がTOYOTAのCMソングへ……と、人生の転機となった出来事を語ってもらった。
“自分の好きなことを好きなようにやる”というスタンスを一切変えずに進んできた、まらしぃの今までとこれから。
──ピアノはいつから始められたんですか?
4歳の頃からですね。ウチの母親が習わせたがってたみたいで。でも、全然英才な感じではなく、週に1回、街のピアノ教室に連れて行かれて、叩いたら音が出るものでよく遊んでた……っていう感じらしいです。そのあたりはあんまり覚えてないんですけど(笑)。でも覚えているのは、先生に“次はこの曲を弾いてきてね”って、1週間に1曲与えられるのを、2~3曲弾けるようになっていくと、先生が褒めてくれるじゃないですか。それが嬉しくて自発的に練習してました。調子に乗ってた時期ですね(笑)。
──いやいや、褒められるのはやっぱり嬉しいですよ。練習自体はそんなに嫌いじゃなかったんですかね。友達と遊びたい!って駄々をこねたりはせず?
駄々をこねたりとかはなかったけど、学校終わったら家に帰って練習してたから、小さい頃に友達と遊んだ記憶って5回ぐらいしかないですね。
──数えれちゃうぐらいレアなことだったと。
でも、嫌な思い出が始めたての頃にあんまりないっていうことは、“これをやると褒められる!”っていうのが嬉しくて、嫌いでもなかったのかなと。そこからもうちょっと経つと嫌になったんですけど(苦笑)。
──そうでしたか(苦笑)。
街の先生がいい人で、“私じゃなくてもう少しちゃんとした先生を是非”という話になり、詳しくは忘れてしまったんですけど、何かのコンクールで賞をとったこともあるような方のところに通うようになったんです。そこでまぁ、良い意味でも悪い意味でも気に入ってもらえたというか(笑)。だいぶスパルタな方だったんですよ。結構な無理難題を「明日までに弾けるようになってこい!」とか、最初に5分ぐらい弾いたら、「もう今日はいいから帰って練習し直してこい!」とか、そういうことがよくあって……まぁ、嫌になりますよね(笑)。それでも中2ぐらいまではなんとか頑張ってたんですけど、その時期になるといろいろ反抗することを覚えてくるというか。僕もずる賢くなって、親から「練習しなさい」って言われても、「いや、明日テストだから勉強しないと」とか(笑)、ちょっとずつやらなくなっていき、中2の終わり頃にピアノの先生とケンカしちゃって。それでやめたんです。
──思春期・反抗期真っ只中というか。
そうですね。もう二度とやらない!って思ってました。父親がジャズが好きだったのもあって、「クラシックがあわないならジャズやってみるか?」って、ジャズの先生のところに通ってた時期もあったんですけど、モチベーションがゼロだからやる気もないし、3ヶ月ぐらいでやめちゃって。今は先生に申し訳なかったなって思いますけど。そこから高校3年間と、大学に入学して夏休みぐらいまでは全然触ってなかったです。
『まらフェス in 日比谷野外音楽堂』
──高校3年間は何をされてたんですか?
特に部活もやらずに帰宅部でしたね。バイトしつつ、教室の隅で友達と『ポケモン』とか『ぷよぷよ』の対戦をしてました。
──ゲームにのめりこんでいったと。
ピアノが嫌になり始めた頃から、友達とゲームセンターに行くようになって、こんなにおもしろい世界が世の中にはあるのか!って思いましたし(笑)。僕が小学校のときだったかな? まだニンテンドー64が出たての頃だったと思うんですけど、親が買ってくれなかったので、数えるほどしかいなかった友達の家に遊びに行くっていうイベントのときに(笑)、ちょっと触らせてもらった程度だったんですよね。なので、最初に入ったアルバイト代で、ニンテンドー64を中古で買ったんですよ。そのときはもう本体2000円ぐらいでしたけど、それでずっと遊んでました。
──解放感すごそうですね。
もう解き放たれたかのようにやってましたよ(笑)。で、高3の夏ぐらいに、パソコンでオンライン対戦ができる『ぷよぷよ』があるのを知ったんですけど、そんなのやりたくなるに決まってるじゃないですか。それを、受験には影響しないからっていう、絶対に無理な言い訳をして買って(笑)。でも、友達同士の間では結構強かったんですけど、(オンラインでは)本当に強い人しかいなかったんで、まったく勝てなかったんですよ。それがもうとにかく悔しかったから、上手い人の対戦動画とか積み方をYouTubeで観て、めっちゃ勉強してたら、だんだん勝てるようになっていったんですけど。でも、その当時YouTubeにあがっている『ぷよぷよ』の動画をほとんど観尽くしちゃったんですよね。そのときに、ニコニコ動画の存在を知って。そこからゲームだけじゃなくて、ランキングに上がってた面白そうなやつを観たり、アニメとかも少しずつ知るようになっていきました。
──かなりどっぷりハマってたわけですけど、そこからどうやって音楽に戻ってきたんですか?
また『ぷよぷよ』の話になっちゃうんですけど、チャットロビーみたいな機能があって、顔は知らないけど、毎日のようにインしている人達と話をしたり、対戦するような集まりができたときに、“対戦中にどういう音楽を流してる?”っていう話になったんですよ。僕は特にそういうのに興味がなかったんですけど、どういう曲なのかなと思って試しに聴いたのが、僕が動画を投稿するキッカケになった『東方Project』っていうシューティングゲームの音楽で。
──なるほど!
すごくいいな!って思ったんですけど、めっちゃ難しいピアノが鳴ってたんですよね。で、僕が一番マジメにピアノをやってた頃って、これ弾けたのかな?と思って。家にピアノはまだあったんで、ちょこっと触ってみたら、やっぱり弾けないわけですよ。それが悔しかったんですよね。いや、これぐらい弾けたんだけど!ってムキになってやってたんですけど(笑)、それがなんとか形になったところで、どうせだったら教えてくれた人に聴いてもらいたいなと思って。でも、音源録って送るっていうのもなんか違うから、楽器を弾いている動画もニコニコ動画にあるのは知っていたので、投稿したから観てみてよっていうのが自然かなと思って、アップしたのがはじまりでした。
──ゲーム仲間に聴かせるためにアップしたのがスタートだったんですね。これを世の中のたくさんの人達に聴いてもらいたいという感じよりは。
アップする以上、良い意見も悪い意見もあるんだろうなぐらいの覚悟はありましたけど、とりあえず勧められた曲が弾けるようになったから、ちょっと聴いてほしいなっていうぐらいのノリでしたね。あとは、弾けなかった曲がちょっとずつ弾けるようになっていくのも、ゲーム感覚みたいなところがあったし、自分が興味を持った曲だったから、そこまでやれたんじゃないかなと思います。やらされてたっていう言い方はアレですけど、やってこい!って言われて、やらなかったら怒られるっていうのは、もう義務というよりも作業だと思うので。
──その動画がどんどん世の中に広がって行ったと。
最初に投稿した動画(「【東方】「ねいてぃぶふぇいす」を弾いてみた【ピアノ】」)が、わりとたくさんの人に観てもらえて、なんだか盛り上がっているのが面白かったし、嬉しかったですね。それに、次はこの曲を弾いてくれ!っていうコメントとかをいただいたんですよ。その曲を聴いてみて、“これもいい” “あれもいい”ってどんどん知って行ったっていう。そこは自分でも面白い流れだなとは思います。そうやって、リクエストをもらったし、暇だしやってみようかなっていうのを続けてたら、気がついたらこんな風になってました。
──“気がついたらこんな風になってました”のレベルがすごいんですけど(笑)。
いや、なんか根本のノリが変わってないんですよ。今でも弾きたくない曲は弾きたくないし、いいなって思ったことだけやりたいんです。だから、僕の完全な趣味ではあるんですよね。初投稿が2008年だったから、もう8年もこんなことをしているわけですけど。