まらしぃ パーソナルインタビュー 活動開始から8年間、ブレることのなかった一つの思いとは
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『まらフェス in 日比谷野外音楽堂』
──でも、ものすごい8年間だったわけじゃないですか。何気なくアップしたところから、CDを出すまでになって。
そうですよねぇ。ボーカロイドの楽曲も好きで弾いていたんですが、レーベルさんから“アルバムとか興味ないですか?”って言われたときは、すごく嬉しかったですけど、すごく不思議な感じもしましたね。普通はCDを出すために、自分で売り込みしたり、ライブをしたりしてどうのこうのっていうプロセスが必要なはずじゃないですか。本当に大丈夫なのかなと思ったけど、とりあえず一回やってみて、ダメだったらすんません!って言えばいいかなって(笑)。自分としては今もそういう方針なんですよ。せっかくご縁があってお話をいただいたわけですし、やってみないとわからないと思うので。
──カバーだけでなく、まらしぃさんご自身も楽曲を作られているわけですが、いつもどうやって作ります?
ピアノの前に座ってパラパラっと弾いて、今のイケてたなっていうのを拾っていく感じですね。とりあえずできたときは、名曲ができたと信じ込んでいるんですよ。でも、一日経って聴き直してみると、これ、あの曲に超似てるんだけど……っていう(笑)。そういう審査をくぐり抜けてきたものたちですね。
──たとえば、何かお題みたいなものを決めて、そこに向けて曲を作ることもありますか?
「アマツキツネ」は、狐の女の子の曲を作ろうっていうところから始めたんですけど、基本的にはあまりそういうことはないですね。とにかくイケてそうなものを作って、さてこれはなんてタイトルにしようかな?って。
──なるほど。ここまでいろんなことがあったと思うんですが、この8年間を振り返って、転機になったと思うのはいつですか?
う~ん……いろいろありましたからね。最初にCDのお話をもらったときもそうですし、最近のことで言えば、TOYOTAさんからCMのお話をいただいたりもしましたけど。でもどうだろうなぁ……あんまり変わってないからな(笑)。
──ただ、TOYOTAのCMはテレビでかなりオンエアされていたわけじゃないですか。実際にまらしぃさんの知名度も上がりましたし、自分のピアノがテレビから大量に流れてくる状況ってそうそうないと思うんですけど。
確かに。最初に流れたときはやっぱり興奮しましたし……録画ももちろん(笑)。
──あ、そこはやっぱり(笑)。
そりゃしますよ!(笑) すごく嬉しかったので。ただ、これで天狗になるつもりも、威張るつもりもなくて。僕としては、いつものようにピアノを弾くということだけなんですけどね。
──あと、客演も増えていますよね。最近だと、EGOISTの「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」のピアノバージョンを弾かれていたり、あとは、嵐の二宮和也さんのソロ楽曲でピアノを弾かれていたり。そうやって多方面からまらしぃさんのピアノが求められているわけですけど、冷静に考えてみて、どういう理由でオファーがくるのか自己分析されたりとかします?
多分ですけど、自分に興味があること、好きなことしかやってないからだと思うんですよね。正直、技術的な話でいえば、僕よりもうまい方々なんて本当にたくさんいらっしゃるんですよ。でも、自分が気に入っている曲をやっていると、もっとああしたい、こうしたいってどんどんモチベーションが上がってきて、動画にすることで何かが滲み出て、それを感じ取ってもらえているのかもしれないです。
──確かにまらしぃさんのピアノって、どんな曲でも楽しいなっていう印象があります。先日、日比谷野音でのイベント『まらフェス』を終えて、秋にはツアーが控えていますが、“好きなことしかやっていない”となると、元々人前で弾くのも好きだったんですか?
昔は、先生に褒められたり、発表会とかで人前で弾いたときに拍手がもらえるっていうのもあって、すごく好きだったんですよ。でも、僕も歳をとっていろいろ知ってしまったというか……(苦笑)。
『まらフェス in 日比谷野外音楽堂』
──何があったんです?
ツアーをやるようになる前に、単発で何度かライブをやらせてもらったことがあったんですけど、最初は昔と同じようなノリでいこうとしたんです。“みんな拍手とかしてくれるのかなー!”っていう風に思ってたんですけど、いざ一曲目を弾きはじめたときに、“もしかしたら今、僕は大変なことをしてるんじゃないか……?”って。これって、みんなお金を払って、僕のことをわざわざ観に来てくださっているんだよなって思ったら、もう一気にすごい緊張に襲われて。
──演奏がとまったりは?
そこは大丈夫でした。ただ、こんな心構えではマズいなって思ったし、僕はどういうことをさせてもらっているのかっていうのは、すごく考えるようになりました。あの瞬間のことは忘れられないですね(苦笑)。
──それも転機のひとつだったかもしれないですね。秋のツアーはどういうものにしたいですか?
やっぱり来ていただいた方に楽しんで帰ってもらえるようなライブができるように頑張りたいなっていうのはあるんですよ。ただ、こう言うといろんな方に怒られちゃうかもしれないんですけど(苦笑)、先日は野音という素敵な場所でやらせていただきましたし、ここからどんどんいきましょう!っていう感じに周りはなっているんですけど、僕は今までの活動をずっと続けていきたいんですよね。自分のやりたい曲を弾きたいですし、“売れるために売れ線の曲を書いてください”っていう話になったとして、それが僕にとって楽しいことだと思えたらやりますけど、そうでもなさそうだったら、ちょっとあとでもいいですか?って言いますし。もちろん、僕としても、自分の曲がいろんな人に聴いてもらえるようになったら嬉しいなっていう気持ちはあるんです。でも、それよりも“なんか、ピアノって楽しいっすよね?”っていうようなものをベースに置いていたいなって思うんですよ。マジメにやるときもあれば、自分の原点である部分もちゃんと続けていきたくて。
──ツアーとは別で、名古屋のブルーノートでのライブもありますけど、それはアニソンカバーとオリジナル曲の2部構成で行なわれますよね。そういう“マジメにやるもの”と“自分の原点”の両輪があって、うまいことバランスがとれているのかもしれませんね。
うん。そんな気もしますね。そうやってキチっとメリハリを付けて見せられればいいなと思っています。
──そういったことも踏まえて、今後の活動としての未来像や目標はありますか?
僕は、ニコニコ生放送をもう5~6年やらせてもらっているんですけど、配信している最中に“今子供が生まれました!”っていうコメントがきて、視聴している人達みんなにお祝いされてたっていうことがあったんですよ。それでもし、その子が物心ついて、パソコンなりスマホなり、自分でいろんなところにアクセスできるようになったときに、僕がまだ配信を続けていたら、その子のご両親は、「あなたはこの人の放送中に生まれたんだよ?」って言えるじゃないですか。それを目標にしたいなと思っていて。あとは、たとえば勉強が忙しくなったり、就職して環境が変わったりして、しばらく見てなかったけど、ふら~っと戻ってきたときに、こいつまだやってんのかよ!ってなったら、なかなか素敵なことなんじゃないかなと思うんです。
──そうですね。そういう意味では、続けていきたいということですか。
そうですね。すごいライブをさせていただいたり、自分のアルバムを作らせてもらったり、どこかに参加させてもらえたりっていうのは本当に素敵なお話だと思うんですけど、元をただせば、やっぱり僕は好きな曲を好きなようにやっているだけなんですよ。そこは僕の中ではかなり重要なことだし、そこだけは変えずに続けられたらいいなと思ってますね。気の赴くままにやっていけたらいいなって思ってます。
インタビュー・文=山口哲生
『まらフェス in 日比谷野外音楽堂』
9月22日(木祝) 仙台:太白区文化センター楽楽楽ホール
9月28日(水) 名古屋:青少年文化センターアートピアホール
10月1日(土) 大阪:メルパルクホール
10月8日(土) 岡山:岡山市民文化ホール
10月10日(月祝) 札幌:道新ホール
10月22日(土) 京都:京都府立府民ホールALTI
10月27日(木) 東京:めぐろパーシモンホール
11月5日(土) 福岡:都久志会館
11月6日(日) 福岡:都久志会館
開場16時/ 開演17時
※9/28名古屋、10/27東京のみ開場18時/ 開演19時
料金
前売¥4,500 / 当日¥5,000 (税込)全席指定
3歳以下は入場不可。4歳以上
2016/7/9(土)13:00~7/18(月祝)23:59 イープラス(プレオーダー) 先行
一般
2016/8/13(土)~ イープラス、ぴあ、ローチケ
企画/制作:Subcul-rise Record/World apart ltd.
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