エレカシ、アジカンなど豪華19組集結の『Talking Rock! FES.』、見どころを吉川編集長が解説

インタビュー
2016.7.19
吉川尚宏編集長

吉川尚宏編集長

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雑誌『Talking Rock!』が主催する人気フェス『Talking Rock! FES.』が7月23日(土)に、雑誌創刊20周年を記念して、野外の泉大津フェニックスという大舞台で実施される。そんなビッグイベントを控え、多忙を極める『Talking Rock!』編集部に、SPICE取材班が急行。雑誌とフェスの歴史をお聞きした前回に続き、今回はT-STAGE!とR-STAGE!の2ステージで熱いアクトを繰り広げる出演者の見どころ&聴きどころを、吉川尚宏編集長に出演順に教えてもらった。アーティストと交流のある編集長だからこそ言える、愛情たっぷりな生々しい視点には思わず笑いも。タイムテーブル片手にこれで予習すれば、イベント当日は倍楽しめることだろう。

――1組目は、Base Ball Bearです。

Base Ball Bearには、もしも野外で大きなイベントをやる時があったら、必ずトップを飾ってほしいと前から彼らに話をしていたんです。彼らはライトなポップバンドというイメージがあるかもしれないんですけど、実は曲の作り方も詞の書き方もすごく奥が深い。ロックバンドであることに対する拘りもすごく強いし、だからもっとロックサイドから評価をされてもいいバンドなんです。僕も彼らのロック観を毎回取材で伝えてきたつもりだし、小出(祐介)君(Vo/G)もその部分で信頼してくれていると思うんですよね。

――つまり、記念のフェスの口火を切る、信頼に足る先鋒ということですね。

まさにそうですね。

――そして2組目は、サイダーガールです。

彼らはメジャーデビュー前の若手で、最初に音を聴いた時にBase Ball BearとBUMP OF CHICKENに通ずるキャッチーでセンチメンタルな世界観を感じて。だからBase Ball Bearの次のステージがちょうどハマるんじゃないかなと。ちなみにサポートドラマーは、元tricotのkomaki君ですね。

――3組目のTHE ORAL CIGARETTESは、編集長と同郷ですね。

そう。奈良出身のバンドです。4月になら100年会館(奈良市にあるホール)で単独公演があって、見事に完売して。その会場のことを“奈良の武道館”と言ってたので、それは言い過ぎだと言っておきました(笑)。でも彼らは全出演バンドの中で今一番勢いがあると思います。動員力もすごく増していて、来年あたりは相当ヤバいんじゃないかなと。ブレイク候補の筆頭ですね。

――今のうちに要チェックですね。そして次は、雨のパレード。

正直言うと、彼らは夕方や夜にこそ映えるバンドかなと思います。ただ、逆に昼間でどんなトリップを見せてくれるのかが楽しみというか。

――白昼夢のような?

そうですね。真っ昼間に行うレイヴパーティーみたいな(笑)。独特な浮遊感とともに踊らせてくれると思います。ただ、そういうサウンドに注目が行きがちですが、メロディもキャッチーで歌もしっかりとしているので。そこも合わせて注目ですね。

――次の5組目は、androp。

彼らも2つの顔があるというか。照明や映像もカッコよくて、夜だとレーザーを絡めた演出が本当に素晴らしいんですけど、今回は昼の時間帯ということで、彼らのポップサイド/メロディメーカーとしての高いセンスが浮き彫りになるステージが期待できるんじゃないかな……と言いながら、結構一筋縄ではいかないバンドなので(笑)、どういう構成でくるのか気になりますね。ただ、アルバムを出すたびに、外に開いてファンと共有できる世界を生み出しているので、今回はそこがすごく感じられるんじゃないかなと。そして演奏のテクニックもハイレベルなので。バンドアンサンブルにも注目です。

――続いて、シナリオアートです。

関西出身で、『Talking Rock!』では、『Talking Rock! FES.』と『ニューロック計画!』と『NEWEST LIVE!!』という3つのイベントをやっているんですけど、全てを制覇している唯一のバンドです。ワンマンライブでは、バンド名の響きそのままに、ポエム的なMCを絡めたストーリーテリングな演出で見せてくれたりするんですけど、こいういうフェスではどういうステージを披露するのか。そこも注目です。

――次は14:00過ぎからクリープハイプです。

僕が初めて取材したのは、デビュー前の2011年5月。なので、このバンドとも付き合いが長くて、その後に僕との取材時の話がきっかけで「社会の窓」というシングルが生まれたという経緯もあるんです。彼らはこのホットな時間帯でどんなステージを見せるのか? 実はバイオレンスな、刺激に満ちた曲も多いので。ここからTHE BACK HORNあたりまでが、かなりディープだと思います。皆さん体調管理に気をつけて(笑)。

――中盤戦、8組目は地元・大阪出身のBrian the Sun。

ベースの白山(治輝)君は毎年『Talking Rock! FES.』を観に来てくれていたみたいで。今回は逆に出演してもらうという、すごくうれしい形になったんですけど。今年はメジャーデビューもして、本当にいいバンドになりました。以前はボーカルの森(良太)君の世界観が強く前に出ていた印象もあったんだけど、バンドとしてのまとまりがすごく出てきて、その手応えと今の勢いがダイレクトに現れるステージになるんじゃないかなと。

――そして、さっき名前が挙がったTHE BACK HORNです。

この時間帯が一番ヤバいですね(笑)。灼熱の中でのTHE BACK HORN(笑)。今回のフェスでの、ある意味一つの山場ですよ。ここを乗り越えられたら、後はいける気がします(笑)。それくらいの熱を発すると思いますよ、彼らは。

吉川尚宏編集長

吉川尚宏編集長

――ブレないですよね。

本当にいいバンドです。静と動を見事に調和しつつ、このフェスではその動の面を強く出してくれると思うので。注目はギターの(菅波)栄純君ですね。彼は激しく動いているように見えるんですけど、実は上下の動きが中心で、若干関節が硬いのかな?みたいな(笑)。ベースの(岡峰)光舟君は長身をいかして足を開き、前後左右に激しく動くし、ボーカルの(山田)将司君も縦横無尽にいい動きをするんですけど、栄純君はわりとその場にいるという(笑)。それもバランスということで(笑)。とにかく彼らが山場です! 彼らをしっかりと受け止められたら、もうこのフェスはあなたの勝利です!(笑)

――なるほど(笑)。THE BACK HORNの動きにも注目します(笑)。そしてアグレッシブなアクトからのLAMP IN TERREN。

LAMP IN TERRENは、THE BACK HORNとはそう遠くはなくて、音に熱量もあるし、緩急自在だし、なによりしっかりと心情が歌えるバンドでもありますね。昨年秋にギターが加入したことで、バンドの本当の強さも出てきたと思います。だからTHE BACK HORNからの流れを狙ってこの順番に。実は今回の19組の全てがそうで、わりと次への繋がりを意識してタイムテーブルを組んでいるんですよ。そこにも注目してほしいですね。

――そして、次はTHE BAWDIES。

THE BACK HORNで勝利した後に待っているのは、パーティータイムですよ(笑)。THE BAWDIESの魅力はなんと言ってもハッピー感のあるロックンロール! 完全に開放ゾーンですね。彼らは『Talking Rock! FES.2012』にも出てくれていて、その時はトリで、当日いきなりアンコールで僕が呼び出されて、シャウトさせられたんですけど(笑)。今回もメンバーから「1曲目から歌いますか?」とか「ミドルソングの時にどうですか?」とか言われてますけど、それは絶対ありませんので(笑)。とにかくボーカル&ベースのROY君がよく口にする「心を裸にして、毛穴も全開で楽しんでください!」という言葉そのままに、彼らの音楽を受け止めてほしいです。

――吉川さんの登場も期待しています(笑)。そして12組目はAwesome City Clubです。

ここも流れをすごく重視して。Awesome City Clubはソウルテイストが強く、前のTHE BAWDIESもロックンロールはもちろん、ソウル/ブルースのブラックミュージックがルーツにあり、そのTHE BAWDIESのパーティーチューンから、Awesome City Clubのソリッドでキャッチーなソウルナンバーへ、という繫がりが、かなりいいムードを出してくれるんじゃないかと。とても魅力的なゾーンです。

――その流れを経て、次はACIDMANです。

彼らは来年で結成20周年&デビュー15周年を迎えるのですが、誰もが認める3ピースバンドの代表格ですね。最近の取材で若手に「どんなアーティストに影響されましたか?」と聞くとACIDMANの名がよく出てくる。彼らは、とてもエモーショナルで激しい曲をやったかと思えば、繊細なアルペジオを奏でながらデリケートに歌うという、3ピースとは思えない幅の広い表現力が本当に注目です。夕暮れに向かう中で、シリアスかつ愛に溢れた独自の世界を聴かせて、また少し違うモードを引き寄せてくれると思います。

――そして、終盤戦、14組目はMy Hair is Bad。

すごくいいバンドです! 真摯で、ピュアというか、ある意味無垢で、深い愛情を放つ3人組。最近のバンドは、ライブで曲と曲の間に少し時間ができると、お客さんが突っ込んだりすることが多いんですけど、先日見た彼らのワンマンライブでは、そんな時でもシーンとしているんですよ。何も言わない。それだけメンバーの放つ世界観がすごく強いんです。決して客を無視しているわけではなく(笑)。ボーカルの椎木(知仁)君が「ごめんね。何か静かですよね。俺らこんな感じです。そのうち慣れると思います」と(笑)。歌もうまいし、要注目なバンドです。

――そして、エレファントカシマシへ。最新号の『Talking Rock!』は宮本(浩次)さん(Vo/G)のインタビューが掲載されていて、彼が表紙になっています。

ぜひ最新号を読んでいただきたいんですけど、昨年11月発表の最新アルバムが出るまでに約3年半のブランクがあって。その間、宮本さんが体調を悪くして、ライブが出来ない時期もあったわけですが。復活して、そのアルバムとツアーで手にした手応えが8月の最新シングルに繋がり、さらに次へと向かうエネルギーに溢れている。彼らにとって今夏のフェスのステージはとても重要な意味を持ち、『Talking Rock! FES.2016』がその1発目のステージになるので、かなりの気合いで挑むと宣言してくれているんです。だから今のモードがとてもリアルに感じられるレアなステージになると思います。

吉川尚宏編集長

吉川尚宏編集長

――遠方から観に来る価値ありですね。そして次、16組目はSUPER BEAVER。

彼らは一度メジャーデビューして、自分たちでそれを一度無しにして、また一から出直し、自分たちの音楽を信じて地道にライブ活動を重ね、一歩一歩前を向いて進んで来たその成果が実を結び、今年6月の最新アルバムで初めてオリコンウィークリーチャートにランクインしたんです。そういう経験を経ての今があるから、歌っていることの説得力がものすごいし、このバンドに出てもらう価値と意味はすごくあると思います。そしておそらくACIDMANからこのSUPER BEAVERまでは、すごく熱いゾーンになりますね。

――そんな熱さの後、登場するのがKANA-BOONです。

彼らは地元出身で、20代の代表としてシーンをさらに牽引してほしいバンドなので、あえてT-STAGE!のエレファントカシマシとASIAN KUNG-FU GENERATIONの間に挟みました(笑)。結構なプレッシャーだと思いますが(笑)、僕の中では一切迷いはなく、この位置しかないなと。当日、彼らがどんな気分で出てきて、どういうステージを見せるのか、すごく注目です。でも間違いなくパワフルなライブになると思いますよ。

――彼らに対する愛の証しですね(笑)。さて、R-STAGE!はトリに。登場するのは、GOOD ON THE REEL。

彼らはあまりメディアには露出せず、自分たちのペースを大事にライブ活動と作品作りを続けて、着実にファンを増やしてきました。10月には初めて日比谷野外大音楽堂でワンマンライブをやるのですが。彼らの音楽は、まるで短編小説のような物語性の強い歌詞と、その世界を色彩豊かに奏でるアレンジが素晴らしくて、夜の時間にぴったりかなと。ある意味、ここまでの心地よい疲労感に、一つの潤いを与えてくれると思います。とは言え、ライブは音源よりもエネルギッシュなので、スケール感もあるし、R-STAGE!のトリに相応しいと思います。

――そして19組目、大トリはASIAN KUNG-FU GENERATIONです!

ゴッチ(後藤正文/Vo/G)には最新号の取材で「これって最後まで酒が飲めないパターンですよね」と言われて(笑)。そこは本番に支障のない範囲でと伝えていますが(笑)。実はアジカンも『Talking Rock!』と同じで、結成20周年なんですよね。ずっとデビューの時から取材をさせてもらって。第1回目の『Talking Rock! FES.2011』にも出演してくれているのですが、今回の記念の野外のトリを考えた時に、彼らしかいないなと思ってオファーしました。長いキャリアの中で、歌詞やサウンドに変化を見せつつ、エモーショナルなギターサウンドの軸はぶれない。ゴッチは最近ソロを始めて、自分の中にある多様な音のセンスをそこで形にして、うまくバランスを取っている。同時に、他のメンバー3人がアジカンの作曲とアレンジに積極的に絡んで、その結果、アジカンならではの個性がさらに強くなっている気がします。彼らにしか鳴らせない、“発明”と呼んでもいい素晴らしいメロディとリフとグルーヴでもって、間違いなくこの日のラストに相応しいステージを見せてくれると思います!

――以上、全19組、解説ありがとうございました。

19組のすべてが見られるタイムテーブルなので、ぜひ流れも含めて楽しんでもらえればと思います。

――被りがないという組み方にも、バンドと、そしてリスナーに対する愛を感じます。

やはり、呼ぶからには全部を観てほしいし、雑誌もそうで、全部を読んでほしいじゃないですか? それと同じなんですよね。ここは読まなくていいですという作り方はしていないわけで。同様にフェスに対しても“このバンドは観なくてもいいです”という考え方はない。つまり『Talking Rock!』の編集スタイルと同じ姿勢であり、そういう意味では筋の通ったイベントになったなと思います。キャリアがあるバンドから、ニューカマーまで、是非全体を楽しんでください!



インタビュー・文=服田昌子

イベント情報
『Talking Rock! FES.2016』

日時:7月23日(土)
会場:泉大津フェニックス
開場/開演:9:30/11:00
前売り:6,900円(税込)​
出演者:
<T-STAGE!> 
エレファントカシマシ/クリープハイプ/ACIDMAN/androp/ASIAN KUNG-FU GENERATION/THE BACK HORN/Base Ball Bear/THE BAWDIES/KANA-BOON/THE ORAL CIGARETTES 
<R-STAGE!> 
雨のパレード/サイダーガール/シナリオアート/Awesome City Club/Brian the Sun/GOOD ON THE REEL/LAMP IN TERREN/My Hair is Bad/SUPER BEAVER

 
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