山宮るり子(ハープ) 多彩なフランス・ハープ作品の魅力をたっぷりと

インタビュー
クラシック
2016.8.21
山宮るり子

山宮るり子


 2009年のミュンヘン国際音楽コンクールで日本人初の第2位、11年のリリー・ラスキーヌ国際ハープコンクールで日本人初優勝など、多くの賞歴を誇る若手実力派ハーピスト、山宮るり子。元ウィーン・フィルの首席奏者グザヴィエ・ドゥ・メストレに8年間師事し、彼も「同世代の中で最も才能豊かなハーピストの一人」と太鼓判を押す。近年は日本に拠点を移し、紀尾井ホール『明日への扉』や、東京オペラシティ『B→C』などに出演することで、国内での知名度を着実に高めている。

 そんな彼女が、待望のデビュー盤『スパイラル』を発表。収録曲はすべてハープのオリジナル作品で、ロマン派から近代の幻想曲と舞曲で構成されている。
「近代フランス・ハープ界を二分する形でリードしたトゥルニエとルニエを中心に、ハープの音色や機能性を純粋な形でお届けできる選曲を心がけました。トゥルニエの『妖精』と『ロシア農民の踊り』は、いずれもストーリー性が豊かで、曲調やリズムが緻密かつ鮮やかに変化。とても聴き栄えのする名曲です。一方のルニエも描写力の高い作風が特徴ですが、今回は『いたずら子鬼の踊り』と『幻想的バラード』をとりあげました。特に前者は、約3分半の短い演奏時間の中でペダルを200回以上も踏み変える難曲でしたが、チャレンジできてよかったです」

 当盤には、「ハープで紡ぐ光と影の螺旋」という副題が付記。上記の2人の作曲家以外にも、ベルリオーズがその演奏を「ハープのリスト」と称えたアルヴァースの大幻想曲「マンドリン」や、近年再評価が高まりつつあるポエニッツの「ヴィリーの死の舞踏」など、ハープの魅力を色彩豊かに楽しめる。

 そして、9月にはCDデビュー記念リサイタルも開催。会場となる王子ホールの印象を尋ねると、次のような答えが。
「315席という空間も、直接音が主体の室内楽に適した音響も、ハープにぴったりなホールだと思うので、演奏するのがとても楽しみです」

 注目のプログラムは、CD収録曲とそれ以外が約半々の構成。後者には、ヒンデミットのソナタ、ヴィエニャフスキ『モスクワの思い出』、スメタナ『モルダウ』といった意欲的な作品が並ぶ。
「ヒンデミットのソナタは、現代的な書法と、古風な佇まいが絶妙なバランス。『モスクワの思い出』は、今回のリサイタルのために東俊介さんに編曲していただいた作品です。そして、メストレ先生の得意曲でもある『モルダウ』は、先生と同じトゥルネチェクの編曲を使う予定です。精一杯頑張ります!」

取材・文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ 2016年8月号から)


CDデビュー記念
山宮るり子 ハープリサイタル

9/15(木)19:00 王子ホール
問合せ:コンサートイマジン03-3235-3777
http://www.concert.co.jp

 

CD

『スパイラル〜ハープで紡ぐ光と影の螺旋』
日本アコースティックレコーズ
NARD-6005 ¥3000+税
7/21(木)発売
WEBぶらあぼ
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