《ファウストの劫罰》入門〜作品の魅力を知るために〜

左:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団版/右:東京交響楽団版

左:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団版/右:東京交響楽団版

〜“聴きどころ”と演奏の“聴き比べ”の魅力

「ファウストの劫罰」
〜“聴きどころ”と演奏の“聴き比べ”の魅力


 「ファウストの劫罰」は、フランスの革新的作曲家ベルリオーズ(1803〜69)の代表作のひとつ。斬新な「幻想交響曲」をベートーヴェンの死の僅か3年後に発表した彼は、色彩的な管弦楽法を用いた交響的大作や「標題音楽」の開拓者としてワーグナー等に影響を与えた。

 本作も、巨大編成の管弦楽、4人の独唱、混声6部合唱、児童合唱を要する、全4部20景の大作で、1846年に発表された。オペラの形でも上演されるが、本来は演奏会用の「劇的物語」。交響曲とオペラの魅力を併せ持つ“一挙両得”の作品だ。

 ゲーテの『ファウスト』第1部に拠る内容は、グレートヒェン(本作ではマルグリート)の悲話が中心。ただ、人気の〈ラコッツィ(ハンガリー)行進曲〉を入れるためのハンガリーの場など、独自の発想が盛り込まれてもいる。

 第1部は華麗な〈ハンガリー行進曲〉、第2部は、酒場で学生ブランデルが歌う〈ねずみの歌〉、悪魔メフィストフェレスが歌う〈蚤の歌〉、精妙な〈妖精の踊り〉等が聴きどころ。第3部は、マルグリートが歌う〈トゥーレの王〉から、〈鬼火のメヌエット〉を挟んで、〈メフィストフェレスのセレナード〉〈愛の二重唱〉まで、オペラティックな魅力に富んでいる。第4部はリズミカルな〈地獄への騎行〉が聴きもの。そしてラストのピュアな美しさが感動を呼ぶ。ちなみに〈ハンガリー行進曲〉〈妖精の踊り〉〈鬼火のメヌエット〉は単独の管弦楽曲としても名高い。

 この9月、東京シティ・フィルと東京交響楽団が続けて本作を演奏する。ライヴ自体が貴重な上に、クラシックの醍醐味“聴き比べ”ができる稀な機会だ。オール日本勢の前者、海外勢主体の後者の比較も妙味だし、併せて聴けば新たな発見や楽しみを味わえるに違いない。

 さらにダンス公演でも、『ファウスト』を題材にしたフィリップ・ドゥクフレ カンパニーDCAによる『CONTACT─コンタクト』が、10月に彩の国さいたま芸術劇場などで上演される。しからば秋は「ファウスト」に浸ろう!

文:柴田克彦


Information
ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」


●東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:高関 健
ファウスト:西村 悟 メフィストフェレス:福島明也
マルグリット:林 美智子 ブランデル:北川辰彦
合唱:東京シティ・フィル・コーア、江東少年少女合唱団
第300回記念 定期演奏会
9/10(土) 14:00 東京オペラシティ コンサートホール
S¥6,300 A¥5,300 B¥4,200 C¥3,200 プラチナ(60歳以上)PS¥4,800 PA¥4,000 U20(小学生〜20歳・座席指定不可) ¥1000 U30(21歳〜30歳・座席指定不可)¥2,000
問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
http://www.cityphil.jp

●東京交響楽団
指揮:ユベール・スダーン
ファウスト:マイケル・スパイアーズ
メフィストフェレス:ミハイル・ペトレンコ
マルグリート:ソフィー・コッシュ ブランデル:北川辰彦
合唱:東響コーラス、東京少年少女合唱隊

第644回 定期演奏会
9/24(土) 18:00 サントリーホール
S¥10,000 A¥8,000 B¥6,000 C売切

第57回 川崎定期演奏会
9/25(日) 14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
S¥10,000 A¥8,000 B¥5,000 C¥4,000

問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
http://tokyosymphony.jp

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