『Talking Rock!FES.』初の野外で開催! “T-STAGE!” 全10組のアクトをダイジェスト・レポート
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『Talking Rock!FES.2016』 撮影=渡邉一生
Talking Rock!FES.2016
2016.7.23(SAT)泉大津フェニックス
音楽雑誌『Talking Rock!』の創刊20周年を飾る『Talking Rock!FES.2016』が、7月23日(土)に泉大津フェニックスにて行われた。今回はメモリアルイヤーということで同フェス初の野外開催で、全19組のアーティストが駆け付けた。そこで今回はメインステージとなる“T-STAGE!”に登場した10組のライブの模様をお届けする。さらにディープなレポートは、9月9日(金)発売の『Talking Rock!10月号』をチェックしてほしい。
Base Ball Bear
Base Ball Bear 撮影=田浦ボン
小出 祐介(Vo/Gt)の「吉川さん(「Talking Rock!」編集長)の夢のフェスティバルだと思います。おめでとうございます!今日はライブと『Pokémon GO』を楽しんでください(笑)」というお祝いメッセージと茶目っ気ある言葉とともに、実力に裏打ちされたテクニックが心ごと躍らせるビートや小気味良いリズムを体感させる。さわやかな疾走感を全身で感じさせてくれるロックナンバーの数々は、深みがあるのに驚くほど耳なじみ良くポップだ。見事、編集長が期待した通りの頼もしいトップバッターを果たした。
小出 祐介(Vo/Gt) 撮影=田浦ボン
THE ORAL CIGARETTES
THE ORAL CIGARETTES 撮影=渡邉一生
正午の強い日差しが照り付けるなか、山中拓也(Vo/Gt)は「『Pokémon GO』より人気出たいねん!」と気合い十分。熱い時間帯をより熱くするような、この沸き上がる感じが彼らの真骨頂だ。「A-E-U-I」では、歌って踊って「オーラルワッショイ」「Talking Rock!ワッショイ」のコールもあり、会場はお祭りムードになる。独特の陰りがありつつもキャッチーなメロディと体を突き動かすリズムに集中し、思わず暑さも忘れて頭は真っ白に。誰もが早くも燃え尽きる!と思った全7曲だった。
THE ORAL CIGARETTES 渡邉一生
androp
androp 撮影=田浦ボン
スタートは<Yeah! Yeah! Yeah!>のサビから始まるアッパーチューン「Yeah! Yeah! Yeah!」。観客は前方へ駆け出し、最初からトップギアになる。さらに「Oh~Oh~」のシンガロングが一体感を生む「Run」に続き、未発表曲2曲のお披露目という大サービスも。うち1曲はレゲエ調の南国ムードで、昼の眩しい太陽とも見事にマッチ。夏のandropを見せたかと思えば、ラストはミディアムテンポの「Hana」の泣けるメロディで、どこか影を感じさせる彼ららしさを残していった。
クリープハイプ
クリープハイプ 撮影=渡邉一生
1曲目、弾き語りから始まる「傷つける」で一気に会場を静寂に変えたかと思えば、「オレンジ」「ラブホテル」で容赦なく心臓を打ち抜いてくるから、高まらずにはいられない。尾崎世界観(Vo/Gt)のハイトーンボーカルが夏空を突き抜ければ、フェス感も200%。新曲「鬼」や「Talking Rock!」編集長との会話から生まれた「社会の窓」も披露し、セットリストも完璧だ。当然、最後は会場の「セックスしよう!」のコールで決める「HE IS MINE」で締め、トータル6曲、非の打ちどころまったくナシ!
THE BACK HORN
THE BACK HORN 撮影=田浦ボン
初っ端から全身全霊、渾身のアクト。そんな姿を見せ付けられれば、拳を振り上げレスポンスするオーディエンスの士気も熱気も上がる一方だ。松田晋二 (Dr)は「今日は吉川さんにしか集められない世代、いろいろなロックバンドの方が集まっています。たっぷり楽しんでいきましょう!」と続け、「美しい名前」などの聴かせる名曲はストレートに心に響き、また煽り続けるパフォーマンスは、会場を大歓声と大合唱のオンパレードにする。終始、盛り上がりっぱなしという夏フェスに相応しい熱を帯びたステージだった。
山田将司 (Vo) 撮影=田浦ボン
THE BAWDIES
THE BAWDIES 撮影=渡邉一生
16時過ぎ、海風が強くなると同時にROY(Ba/Vo)のシャウトでスタート。彼らのアンセムとも言える「IT'S TOO LATE」が鳴り響けば、勝手に体がリズムを取り出し笑顔があふれる。そしてROYの「お祭り、始まっております。打ち上げ花火になれますか?」という言葉に、「YOU GOTTA DANCE」、「YEAH」、「LEAVE YOUR TROUBLES」が並ぶファン感涙のメドレーへ。さらに途中『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のミニコント(?)も披露し、観客は4人のエンターテイナー魂に脱帽!のハッピータイムを満喫した。
ACIDMAN
ACIDMAN 撮影=田浦ボン
まさに圧巻!の様相だったのがこの3人。「カタストロフ」では、繊細かつパワーあるサウンドが生々しく静と動を感じさせ、骨太な「造花が笑う」ではロックを聴いているんだ!という充実感を味あわせてくれる。イントロで歓声が上がった「FREE STAR」や、美しいメロディにじわりと胸が熱くなる「赤橙」、さらに「ある証明」「ALMA」と続くセットリストも涙もの。これを17時の夕方へ向かう淡くせつない空気の中聴けば、グッとこない者はいないだろう。そして、生きることへの感謝を語る熱っぽいMCも音楽同様にしっかりと心に残った。
大木伸夫(Vo/Gt) 撮影=田浦ボン
エレファントカシマシ
エレファントカシマシ 撮影=渡邉一生
のっけから前進する大きなパワーをのせたボーカルとサウンドで、瞬く間に心が奪われる! 新旧の名曲を繋げ、「悲しみの果て」「今宵の月のように」の時を超えて胸を打つナンバーをライブで初体感したであろう若者たちの間からは「かっこいい」の声が! 無論、宮本節も健在で「Yeah!Everybody!!」(宮本)と舞台を走り回り、「RAINBOW」や「ガストロンジャー」でアグレッシブに会場を煽る。最後は「俺たちの1stアルバムの1曲目です」(宮本)と「ファイティングマン」をセレクト。発表当時から今日まで変わらない彼らの温度を伝える。その圧倒的な存在感は全観客の心に強く焼き付いたことだろう。
宮本浩次(Vo/Gt) 撮影=渡邉一生
KANA-BOON
KANA-BOON 撮影=田浦ボン
日が暮れ、夜の訪れと共に登場すると、まだまだこれから!とばかりに「なんでもねだり」のポップさで会場をラフなムードに変え、ダンスチューン「机上、綴る、思想」で観客を気持ち良く踊らせる。さらに疾走感ある「1.2. step to you」では、サビの<remember, remember>のリフレインが頭から離れなくなり、気が付けば甘くてどこかほろ苦いKANA-BOONワールドにどっぷり。前後をビッグネームに挟まれプレッシャーもあったであろう今回、見事に自分たちのカラーで会場を染め上げた。
ASIAN KUNG-FU GENERATION
ASIAN KUNG-FU GENERATION 撮影=渡邉一生
ついに大トリ。期待が会場にあふれる。それに応えるかのように始まった「Re:Re:」は、“もちろん跳ねるでしょう”といった状態で、全員がビートに身を委ねる。2曲目の「リライト」では、当然サビ<リライトして>の大合唱が沸き起こる。その後も「サイレン」「ソラニン」「君という花」などが続く。どれも彼らを代表するナンバーだけに、各曲イントロから歓声が上がり、黄金律とも言える彼らのリズムとメロディが、いつもふっと頭によぎる印象的な言葉の数々を乗せ、体を突き抜けていく。そしてラストはまさに今日の一日を刻みつけよう!と「今を生きて」で締めくくった。
もちろん感動渦巻く会場には拍手が鳴り止まず、4人が再登場。後藤正文(Vo/Gt)が「音楽が好きっていうだけでこんなに人が集まれるって最高だね。ロックフェスはこれがいいんだ」と、ここでまた名曲「転がる岩、君に朝が降る」で濃厚な“アジカンタイム”をさらにパーフェクトにする。愛あるアクト、セットリストが、後藤の「すてきな夜だね」の言葉どおりのすてきな時間を作り上げた。
撮影=渡邉一生・田浦ボン レポート・文=服田昌子・小西麻美
日時:2016年7月23日(土)
会場:泉大津フェニックス
出演者:
<T-STAGE!>
エレファントカシマシ/クリープハイプ/ACIDMAN/androp/ASIAN KUNG-FU GENERATION/THE BACK HORN/Base Ball Bear/THE BAWDIES/KANA-BOON/THE ORAL CIGARETTES
<R-STAGE!>
雨のパレード/サイダーガール/シナリオアート/Awesome City Club/Brian the Sun/GOOD ON THE REEL/LAMP IN TERREN/My Hair is Bad/SUPER BEAVER