夏代孝明 色とりどりの楽曲で見せたワンマンライブツアー・新宿BLAZE公演レポート
夏代孝明
夏代孝明 1st Single「クロノグラフ」発売記念ワンマンライブツアー 2016
2016.7.24 新宿BLAZE
5月25日に1stシングル「クロノグラフ」をリリースし、その記念として東名阪ワンマンツアーを行なった夏代孝明。このレポートでは、ツアー初日となった東京・新宿BLAZE公演の模様をお届けする。ちなみに、夏代(なつしろ)という名前にちなみ、ライブ当日(7月24日)の午前6時には彼のオフィシャルファンクラブがスタート。また、ライブは午後6時開場ということもあって、「1日に2回も自己顕示欲をおしつける感じになってしまっていますが」と笑いを誘っていたが、彼にとっても、駆けつけたオーディエンス達にとっても、間違いなくスペシャルな1日になった。
場内がゆっくり暗転し、黄色く光るペンライトがフロアで灯る中、BGMにあわせてオーディエンス達がクラップをはじめると、まずはサポートメンバーが登場。「夕立のりぼん」のイントロを奏で始めると、夏代が姿を現わした。フロアから大歓声があがる中、「東京のみなさん、今日はよろしくお願いします! 声出していきましょう!」と夏代。途中で「一緒に歌ってください!」とオーディエンスの声を求めながら、疾走感のあるセンチメンタルなロックナンバーを伸びやかに歌い上げた。
そこから「アスノヨゾラ哨戒班」「風来」を立て続けに披露。オーディエンス達は、ペンライトを振ったり、身体を軽く揺らしたりと、それぞれが楽しそうに曲を聴いている。年齢層はかなり幅広く、また本人も「今までは(男性ファンの割り合いが)レアガチャのSSクラスぐらいの感じだったのに!」と喜んでいたが、男性ファンの姿も多く見かけた。その光景から、彼が歌う曲やその歌声が、老若男女問わず多くの人達を魅了していることを感じさせる。そんなオーディエンスひとりひとりを見ながら、歌をしっかりと届けていく夏代の姿はとにかく楽しそうで、それに誘発されるように、オーディエンスもどんどん笑顔になっていく。
この日のライブは「今までの活動とこれからの活動の架け橋になるようなライブにしたい」という想いでセットリストを組んだそうだ。彼がこれまで動画サイトにアップしてきた「ワールド・ランプシェード」「Fairytale,」「銀河録」といったボーカロイド楽曲をはじめ、1stシングルでカバーしたHYの「366日」も披露。ステージ後方から光が射すドラマティックなライティングが手伝うなか、名バラードを見事に歌い上げれば、「エレジー」「君のことずっと好きだった」といった最新作から、「フィルライトメッセージ」「ユウエイ」といったやや懐かしいものまで、夏代本人が作詞作曲した楽曲達も交えながらライブを進めていく。
夏代孝明
バラエティに富んだ様々な楽曲を、抜群の歌唱力でもって次々に披露していった夏代だったが、サポートメンバーを紹介しているときに突如ドラムソロを無茶振りしてみたり、ライブ前日に配信スタートした某ゲームにまつわる話をしてみたり、MCはかなりラフな雰囲気。オーディエンス達との会話をしっかりと楽しんでいる。そんな親しみのある気取らないキャラクターも、彼が愛される理由のひとつだろう。ちなみに、彼は「最近、作曲マシーンになっている」とのこと。ツイキャスでワンコーラスのみ発表している楽曲達を、夏以降、形にして届けたいとのことだった。
ライブは「そろそろやんちゃな曲をやりたい気がするんですけど」「ここからギアを2つ、3つあげていこうと思います!」と、後半戦へ突入。「共犯者」ではコール&レスポンスを繰り広げ、続く「バレリーコ」ではオーディエンス達が何度も飛び跳ねる。さらに、フロアの手拍子が楽曲の暖かみのある空気を盛り立てた「おはよう。」をはじめ、「天体観測」「シュガーソングとビターステップ」といったJ-POPカバーを畳み掛けると、「楽しい!」と満面の笑みで叫ぶ夏代。そして、次が最後の曲になることを告げ、「クロノグラフ」を披露した。
ちなみに、「クロノグラフ」とは「時計本来の機能である時刻の表示に加え、時間の記録のためのストップウオッチ機能が搭載された時計」のこと。この日のライブは、彼がこれまで活動してきた時間の中で生まれた曲達を披露し、未来へと向かっていく姿を描いたものであり、そんなライブを締め括るのに、これ以上ふさわしい曲もないだろう。歌い終えた夏代は、「これからもよろしくお願いします!」と力強く叫んでいた。アンコール含めて全18曲。大きな拍手と歓声を送るオーディエンスへ向けて、まっすぐに想いを伝えたステージだった。
レポート・文=山口哲生