『シン・ゴジラ』のヒットで注目? もうひとつの怪獣映画『大怪獣モノ』撮影から封切りまでに密着

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左から、鈴木みのる、大怪獣モノ、飯伏幸太

左から、鈴木みのる、大怪獣モノ、飯伏幸太

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アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明氏が総監督・脚本を務め、12年ぶりのシリーズ最新作として公開が始まった『シン・ゴジラ』が、7月30日から31日までの全国映画動員ランキングで初登場1位を獲得した。(※興行通信社調べ)特撮怪獣モノの大本命たる同作が日本中を席巻する中、もうひとつの怪獣映画が先月封切られていたのをご存じだろうか? その名は『大怪獣モノ』。「B級映画の巨匠」として知られる河崎実監督の最新作にして、『シン・ゴジラ』に対抗し、怪獣とプロレスラーの対決を描いた異色作だ。大怪獣モノから地球を守るために、巨大化した人間・新田が戦う娯楽作で、1965年に製作された怪獣映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』にオマージュを捧げているという。
 

©2016『大怪獣モノ』製作委員会

©2016『大怪獣モノ』製作委員会


主演は新日本プロレスとDDTを退団して、飯伏プロレス研究所を立ち上げた飯伏幸太。飯伏はスーパー巨人・新田として、鍛え抜かれた肉体と必殺技を武器に怪獣に立ち向かう。また、大怪獣モノから地球を守るために、巨大化した人間・新田が戦う作品で、1965年に製作された怪獣映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』にオマージュを捧げているという。飯伏はスーパー巨人・新田として、鍛え抜かれた肉体と必殺技を武器に怪獣に立ち向かう。また、新田を誘惑する謎の女スパイ・リサ役で、女優・プロレスラーの赤井沙希も出演している。『シン・ゴジラ』ヒット中のこのタイミングだからこそ、あえて『大怪獣モノ』の公開までを振り返ってみたい。


『大怪獣モノ』撮影現場より

3月某日、朝から雨が降り続く肌寒い日であるが、撮影スタジオ内には熱気が漂っていた。この日の撮影のメインは、ふたりのプロレスラー。所属していた新日本プロレスとDDTを退団して、飯伏プロレス研究所を立ち上げた飯伏幸太と、鈴木軍のボスとして活躍中の鈴木みのるである。
 

河崎実監督と個性豊かな出演者たち

河崎実監督と個性豊かな出演者たち


おのおのが大怪獣モノとの格闘シーンに挑むこととなり、飯伏は得意のキック、鈴木はチョークスリーパーや打点の高いドロップキックを披露。相手が無抵抗なのをいいことに、やりたい放題というか、怪獣と戯れていることを楽しんでいるようにも思えた。飯伏は「(映画は)プロレスとは全然違う部分があります。新鮮です。普段、セリフとか覚えないし、演技は難しかったですね」と撮影を振り返り、鈴木も「怪獣と戦うのも特撮映画に出るのも初めてなので、楽しかったです。興奮しましたね。プロレスと違って、(怪獣を)壊してはいけない。そこは気を使いました」と語る。

 

大怪獣モノを絞め落とそうとする鈴木みのる

大怪獣モノを絞め落とそうとする鈴木みのる


 

この作品、実は昨年に撮影が行われる予定だったが、飯伏のケガで延期したという。満を持しての撮影に河崎実監督は「全身全霊をかけた」と気合いっぱい。さらに、「10数年前、『いかレスラー』という作品を撮ったのですが、そのときの主役はプロレスラーの西村(修)さんでした。西村さんは凄い棒読みでよかったんだけど、今回の飯伏さんもいい棒読みでよかったですよ。黒澤明監督作品にも棒読みの役者はいっぱい出ています。映画は棒読みなんですよ!!  癖のついた役者はおもしろくありません。だから今回はみんなフレッシュでよかった。最高に豪華なキャスティングでしたよ」とコメントする。
 

飯伏幸太にチョップを指導する河崎実監督

飯伏幸太にチョップを指導する河崎実監督


おバカ映画の巨匠、河崎実監督らしい褒め言葉で出演者たちを大絶賛。間違いなく観客の想像を超える作品になるであろう。なお今回のマスコミ取材には、共演の斉藤秀翼、河西美希、そして先月まで飯伏が所属していたDDTの赤井沙希、鶴見亜門が登壇した。

 

女スパイ・リサ役・赤井沙希にインタビュー

6月某日、出演者の赤井沙希に話を聞くことができた。映画の中では、セクシーに黒のジャンプスーツを着こなす女スパイだったが、この日の雰囲気は真逆で清楚なお嬢様チック。174センチの高身長かつ、プロレスで鍛え上げられたプロポーションの赤井だからこそ演じられたのだと実感した。
 

DDTを中心にプロレスラーとしても活躍中 

DDTを中心にプロレスラーとしても活躍中 

 

――女スパイを演じられましたが、役作りはどのように?

最初、監督に『不二子ちゃんだよ君は』と言われました。撮影に入る前に、女スパイで検索したり、レンタル屋さんに行ってルパンの実写版とアニメ、スパイの洋画も観ました。

――アクションシーンはいかがでしたか?

アクションシーン指導の先生に、プロレス技をやりたいと言いまたが、場所が普通のクラブだったので、受ける側も危ないということでやれませんでした。ブレーンバスターぐらいやりたかったんですけど。だからハイキックや膝蹴りなど打撃がメインになりました。

――DDTというプロレス団体で活動を共にした飯伏選手と一緒のシーンが多いですね。

飯伏さんはプロレスに関しては大先輩でアドバイスしてくれますけど、お芝居はまったくの初心者。大丈夫かなと思ってました。憶えることをまったくしない人なので、台本を読み込むことを勧めました。でも本番に強くて、現場ではセリフは全部入ってましたね。ただ、どんな芝居をしたらいいのか不安だったようで、私の周りをウロウロしてました。私が出てないシーンでも、私が他の人の役になって(飯伏と)セリフ合わせをすることもありました。

――飯伏選手とはキスシーンもありました。

台本見たときに、大丈夫かなと思いました。完全に知り合いとお芝居をするのって初めてだったんですよ。お芝居に関しては私の方がお姉ちゃんだから、(飯伏を)引っ張ってあげないと思って、私が少しでも照れたら、向こうが素になるので、そこは頑張りました。でも、監督にギリギリのところで大丈夫だよと言われて、二人ともちょっと覚悟していたので、逆に恥ずかしかったです。

――これからこの映画を観る方にメッセージを。

台本を見ていて、これがどういう映像になるのかモヤモヤしていましたが、映像になってこういうふうにつながるんだとビックリしました。鈴木みのる選手も普段のままで、モノをガンガンに殴っていました。私はそういう試合が好きなので、面白いなと思ってました。プロレスファンでなくても楽しめる映画です。
 

『大怪獣モノ』は久しぶりの映画出演とのこと

『大怪獣モノ』は久しぶりの映画出演とのこと

 

初日には予想外の展開が……

7月16日、映画『大怪獣モノ』の公開初日舞台挨拶が、ヒューマントラスト渋谷で行われた。登壇したのは、赤井沙希、河西美希、河崎実監督、そして大怪獣モノ。主演の飯伏幸太の姿だけがなかった。

「飯伏さんは今、こちらに向かっていますが、間に合っておりません。この舞台挨拶途中に、飯伏さんが来てくださることを、みんな祈っていてください」

男性司会者から想定外のアナウンスが告げられると、満員に膨れ上がった場内は大爆笑に包まれた。飯伏は数日前までアメリカに滞在していたのである。世界最大のプロレス団体であるWWEの『クルーザー級クラシック・トーナメント』に出場するために。舞台挨拶開始の数時間前には帰国を果たし、劇場に向かっているというが……。主演不在という前代未聞の舞台挨拶が開始されることとなった。ヒロインの美和を演じた河西は「映画は初出演で、演技をするのは何年ぶりという感じで。緊張したんですけど、飯伏さんも緊張していたので、それがやりやすかったというのがありました。飯伏さんはよく『ヤバイ』みたいなこと言ってました」とコメント。

 

舞台挨拶開始10分後ぐらいに到着した飯伏幸太

舞台挨拶開始10分後ぐらいに到着した飯伏幸太

 

河西から赤井にマイクが渡ったところで、ようやく飯伏が到着。息を切らしながらステージに駆け上がった。「ヤバかった」「ダメかと思った」と、焦りの表情を浮かべて口を開いた飯伏。赤井とのシーンでも、相当ヤバかったと振り返る。「赤井さんに誘惑されるシーンは変な感じになりましたね。欲情とかではなく、変な感じなのです。同じプロレス団体で試合をしていた人なので」

赤井も飯伏と同様だったようで、「私も恥ずかしくて、プロレスの試合前のように気合を入れました。恥ずかしくなったらダメだと思って」とコメント。さらに「監督は飯伏さんに『君はチェリーボーイなんだから』と指導してました」と河崎流の演技指導を明かした。
 

 

河崎監督は「僕はフレッシュな人たちを起用するのが得意。みなさんよかったですよ。飯伏さんは最後、うまくなったよね。でも、うまくなったところで終わるのが僕の映画のパターン。『いかレスラー』の西村修も、うまくなってきたときに終わりましたから」と語る。ちなみにもう一匹の主演の大怪獣モノはマイクを向けられると、「鈴木みのる選手が怖かった」と脅えながら語った。

 

大怪獣モノの大きさと迫力はゴジラを超えている?

大怪獣モノの大きさと迫力はゴジラを超えている?

 


取材・文=シン上田

映画『大怪獣モノ』は全国公開中。

作品情報

映画『大怪獣モノ』
 

©2016『大怪獣モノ』製作委員会

©2016『大怪獣モノ』製作委員会

 

キャスト:飯伏幸太、鈴木みのる、斉藤秀翼、真夏竜、河西美希、古谷敏、きくち英一、堀田眞三、赤井沙希
監督、特技監督、脚本:河崎実『いかレスラー』(04)『地球防衛未亡人』(14)、『アウターマン』(15)
脚本:中野貴雄
制作:キングレコード、リバートップ
配給:アーク・フィルムズ

【ストーリー】
大怪獣東京に現る!首都を蹂躙し、その強力な電磁波によって自衛隊の全兵器を無力化した怪獣モノに、なすすべもない防衛省は、捏造疑惑で学会を追放されたバイオ研究の第一人者、西郷博士(真夏竜)に助けを求める。博士が開発した万能細胞「セタップX」を投与された博士の助手、新田(斉藤秀翼)は巨大化して身長40メートルの超人(飯伏幸太)に変身、大怪獣モノに立ち向かう。初戦はモノに勝ち、巨大化した新田はたちまち全国のヒーローとなった。だが、博士の研究を巡り、謎の女リサ(赤井沙希)が新田に近寄る。それを気にする博士の娘・美和(河西美希)。そして再び大怪獣モノが出現し、新田は再び巨大化するが、学習したモノは新田を倒す。再強化するために西郷博士は毒は毒をと最終手段を決断する。果たして新田はモノを倒すことができるのか?そして日本の運命は?

©2016『大怪獣モノ』製作委員会
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