「あいちトリエンナーレ2016」参加アーティスト 制作レポート① 田島秀彦&ヴァルサン・クールマ・コッレリ
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会場の外、街からも楽しめる田島作品は、全体テーマ〈虹のキャラヴァンサライ〉も表している
〜タイルをテーマに無国籍空間を生み出す田島秀彦と、天然素材で大地のエネルギーを造形化するヴァルサン・クールマ・コッレリの制作現場より〜
いよいよ8月11日(木)から始まる、3年に一度の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」。名古屋、豊橋、岡崎の3都市を中心に、現代美術や舞台芸術、普及・教育プログラムなどが展開される今回は、港千尋芸術監督が掲げた〈虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅〉のテーマどおり、日本で初めて紹介されるアーティストも多数含む、世界各国の個性豊かな面々119組が集結する。
そんな彼らの作品制作も、開幕を間近に控え佳境に。そこでSPICEでは、今回から7回にわたって注目アーティストの制作状況をレポートしていきます。アーティスト自らが語る作品解説や制作意図、個々の背景や創作の原点など、生の声やその横顔を知ることで、作品の理解度や親しみがグッと増すはず。「あいちトリンナーレ」をより楽しむ足がかりとしてお役立てを!
さて第1回は、地元・岐阜県を拠点に活動する田島秀彦(1973年岐阜県・各務原市生まれ)と、インドを拠点に活動するヴァルサン・クールマ・コッレリ(1953年インド・パティアム生まれ)をご紹介。いずれもメイン会場の「愛知芸術文化センター」で作品が展示されるので、どちらもお見逃しなく!
まず、これまで産業用の装飾タイルの絵柄を参照しながら、平面や立体作品の制作を行ってきた田島秀彦は、11階の展望回廊で通路型の作品《6つの余地と交換可能な風景》を制作。
全面ガラスの窓から名古屋の中心部・栄の街を一望できるここは、レッド、イエロー、グリーン、ブルー、パープルの5色のカラーフィルムが窓に貼られ、田島の手によってレインボーカラーの空間に一変した。また、通路の片側にはオーガンジーで仕切られた6つの部屋が設けられ、タイルをトレースした18cm四方の作品や、風景の一部を切り取ったスナップ写真、小さな観葉植物などが壁面に多数配されたインスタレーションも登場。“遊牧民の仮設の部屋”をイメージした空間になるのだという。
さらに、天井から100ワット電球18灯を吊るすことで、その明かりや外光の反射効果などにより朝~夜へ刻々と変化する光と色の美しいグラデーションが生まれ、夜には隣接するオアシス21や栄の街から見ると、さながらランタンが並んでいるような光景も楽しめるという。
尚、田島作品は岡崎の六供会場でも展示されるので、こちらも足を延ばしてみては?
田島秀彦《6つの余地と交換可能な風景》/愛知芸術文化センター11階 展望回廊 「地元で開催される思い入れの強い国際展なので、参加が決まってとても嬉しかった。自分らしい作品にしたいと思います」
一方、ヴァルサン・クールマ・コッレリは、“地球から吸い上げたイメージ”をもとに、彫刻や絵画、インスタレーション、パブリックアートに建築、写真など多岐にわたる表現を行っている彫刻家で、今回が日本で初の作品発表となる。息子のヴィシュヌさんを伴い、6月15日~末まで「瀬戸市新世紀工芸館」で滞在制作を行った後、7月1日から「愛知芸術文化センター」に場所を移して制作している。
今回出品されるのは豊田の竹を使ったインスタレーション作品で、テントのように組んだ竹の土台に麻布を巻き、その上からチップ状にした再生パルプと恵那の土、糊を混ぜたものを塗り重ね、内部にはオブジェや楽器などを置くという。楽器は陶製の壺のような形状をしたアフリカ発祥の民族楽器で、この「ウドゥドラム」や瀬戸の粘土で焼いたオブジェのパーツなどを瀬戸で制作したのだ。
作品タイトルは、《バープ オブ ジ アース》。人間が捨てている物質を地球に“食べさせている”と捉え、その生体反応として出たゲップや“地球の囁き”を表現しているという。しかも、人間としてだけでなく、自分が虫だったらどうするだろう? という視点でも制作しているというから面白い。会期中は、打楽器の音を出したり作品に触れてもOKとのことなので、地球の囁きを肌で感じ取ってみよう。
ヴァルサン・クールマ・コッレリ《バープ オブ ジ アース》/愛知芸術文化センター10階 愛知県美術館、12階 屋上庭園 「港芸術監督が私を指名してくださったのが嬉しい。ずっと日本に来たかったので、やっと夢が叶いました」
■テーマ:虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅
■芸術監督:港千尋
■会期:会期:2016年8月11日(木・祝)~10月23日(日) 74日間
■会場:名古屋地区/愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、長者町会場、栄会場、名古屋駅会場 豊橋地区/PLAT会場、水上ビル会場、豊橋駅前大通会場 岡崎地区/東岡崎駅会場、康生会場、六供会場
■料金(国際展):◆普通
■問い合わせ:あいちトリエンナーレ実行委員会事務局 052-971-6111
■公式サイト:http://aichitriennale.jp/