吉田都が語る『吉田都×堀内元 Ballet for the Future 2016』(東京/金沢)の見どころとは
-
ポスト -
シェア - 送る
©Shunki Ogawa
2016年夏、最高にエキサイティングな舞台が登場する! 22年にわたりバーミンガム・ロイヤル・バレエ団、英国ロイヤル・バレエ団で最高位であるプリンシパルを務めた吉田都(特別ゲスト)と、巨匠ジョージ・バランシンに見出され東洋人として初めてニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパルに任命された堀内元(芸術監督・出演)という世界が認めた破格のスターがタッグを組み、昨年に続き東京と金沢で旋風を巻き起こす。今回は、特別ゲストとして出演の吉田都に公演の見どころを伺った。
吉田と堀内は同世代で幼少から互いを認めあう仲だ。「今と違ってバレエを習う男の子は少なく、そのうえ上手でいらしたので、双子の弟の充(じゅう)さん(バレエダンサー、振付家、大阪芸術大学准教授)とともに有名でした」
堀内がプロの登竜門であるローザンヌ国際バレエコンクール受賞を契機に渡米してから3年後、吉田もローザンヌ受賞を果たし英国に旅立つ。「元さんがニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパルになったニュースはイギリスでも話題になりました。先を行く先輩のような感じでした」
©Shunki Ogawa
その後も堀内がロンドンでの仕事の際に吉田の舞台を観劇するなど交流を重ね、1999年以降堀内がディレクターに就いている米・ミズーリ州のセントルイス・バレエに客演を重ねた。盟友の仕事ぶりを「心穏やかに本番を迎えられるように心づかいをしてくださる。バレエ団の雰囲気はアメリカ中部の気質を反映しオープンで純粋で明るいですね」と語り全幅の信頼を寄せる。
堀内作品を2013年以降セントルイスや日本で踊ってきた。「元さんの振付はアメリカンで自由な感じがよく出ているので踊っていて楽しい。解放感を味わいました」
昨夏の吉田と堀内の名を看板に掲げた『Ballet for the Future』は堀内の創作やバランシン作品で構成されたアメリカ・バレエのスタイルを通した新鮮なプログラムだった。吉田は堀内が振り付けた軽妙洒脱な『La Vie』をリズミカルに踊り、フレデリック・アシュトン、ケネス・マクミランの作品に代表される演劇的な英国バレエを得意としてきた彼女の新生面を印象付ける。芸術性とエンターテインメント性を兼ね備えた極上の饗宴に客席はヒートアップし熱狂的なカーテンコールが続いた。「お客様に喜んでいただけてうれしかったです。友人からも『本当に楽しそうに踊っていた』と言われました」
「吉田都×堀内元 Ballet for the Future」より ©Hidemi Seto
金沢公演でも客席からの“熱”を感じたという。「金沢で踊るのは初めてでしたが、お客様の熱い気持ちが伝わってきました!」
『Ballet for the Future』では次世代への継承をテーマに世代を超えた俊英が共演する。「若いダンサーたちがエネルギーあふれる踊りを披露してくれたのがうれしかった。私は彼らに直接教えるというよりも、どのように稽古に向きあいリハーサルをして本番にもっていくのかをみてほしい」
今年は上演作品を一新しパワーアップをはかる。なかでも吉田たっての願いで堀内の代表作『Romantique』を、堀内をパートナーに若いダンサーたちも一緒に東京と金沢で初めて踊るのが眼目だ。「踊るのは3回目なので元さんに相談しながら創りあげていく。初めて踊ってから何年も経ち私自身も変わっていますから、また新たなものになると思います」
「吉田都×堀内元 Ballet for the Future」より ©Hidemi Seto
今春、ハンガリー国立バレエ団で恩師である英国バレエの大御所ピーター・ライトが振り付けた『眠れる森の美女』の主役パートを中心に教えるなど後進の指導にも力が入る。今回の公演でも堀内が指導するバランシンの『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』を踊る米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)に同作を踊ってきた立場から助言したいと意気込む。
吉田と堀内を旗頭に据えて次代を担うダンサーが集結し、観客の「熱」も受け止めて日本のバレエの未来を切り開く。舞台と客席が一体となる至福の時間、真にクリエイティヴで刺激的なステージを思う存分体感したい。
舞踊評論家:高橋森彦
「吉田都×堀内元 Ballet for the Future」より ©Hidemi Seto
■『吉田都×堀内元 Ballet for the Future 2016』出演者からのメッセージ
日時:2016年8月31日(水) 18:30開演
会場:東京文化会館大ホール
日時:2016年9月3日(土) 18:30開演
会場:本多の森ホール
<出演>
芸術監督・出演:堀内元(セントルイス・バレエ芸術監督、元ニューヨーク・シティ・バレエプリンシパル)
米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
寺田亜沙子(新国立劇場バレエ団ファースト・ソリスト)
森ティファニー(セントルイス・バレエ)
木村綾乃(ワシントン・バレエソリスト)
清水健太(ロサンゼルス・バレエゲストプリンシパル)
奥村康祐(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
岡田兼宜(ダズル・ダンスカンパニー出身)
上村崇人(セントルイス・バレエ出身)
荒井茜/北元咲和歩/小坂こよみ/塩谷綾菜(アートバレエ難波津)/
藤井彩嘉(シュツットガルト・バレエ)/細井佑季/毛利実沙子/山本茅美//
岸本亜生/小山憲/高須佑治/豊永太優/樋口響//
ほか、国内外で活躍する気鋭のダンサー達(女性//男性//50音順)
■「Romantique」(振付:堀内元)
出演:吉田都、堀内元、他
■「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
(振付:ジョージ・バランシン/バランシン・トラスト上演許可取得)
出演:米沢唯、奥村康祐
■「More Morra」(振付:堀内元)
出演:寺田亜沙子、清水健太、他
■他
※音楽:録音音源