灼熱と嵐の中で観たThe Birthday×SPECIAL OTHERSライブレポ

2016.8.31
レポート
音楽

『たとえばボクが踊ったら、♯001』 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

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「関西で魅力的なキモチいいフェスしたくて」と主催者の意図を伝えたのは、当日MCとして参加したFM802のDJ加藤真樹子だ。2年間じっくりあたためていたという『たとえばボクが踊ったら、♯001』が、The BirthdayとSPECIAL OTHERSの2マンというカタチでお盆の8月14日(日)に大阪・服部緑地野外音楽堂にて開催された。

連日35℃を越す真夏の炎天下。満員御礼のオーディエンスが待ちわびる中、1組目のSPECIAL OTHERSはダンサブルな「ROOT」からライブをスタート。野外で聴くのが抜群にハマる一曲で、どこか急かすようなエレピとギターのユニゾンに気持ちもどんどん加速させられてゆく。

SPECIAL OTHERS 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

灼熱の太陽を真正面から浴びるメンバーたちは、うだる暑さをなんともまろやかに気持ちよく感じさせるような演奏をみせ、オーディエンスを笑顔で踊らせてくれる。続くオーセンティックな匂いをまとった「Good Luck」では、転がる鍵盤の音に体も心地よく揺らされ、会場全体に晴れやかな 開放感が満ち溢れていく。そこからは名曲の連打が続き「Have a Nice Day」、「STAY」と披露していく中で、客席のうねりはさらに増していった。

SPECIAL OTHERS 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

それにしても、観客も一緒になって歌い一体となるサビのコーラスがもたらす高揚感、ダイナミックな音の厚みに酔いしれる観客の顔がみていると、なんとも気持ち良さそうだ。さんさんと太陽の光が降り注ぐ中、多くの挙げた手がゆれる。滝のように汗が垂れるがそれでも踊ってる方が気持ちいい。あらゆる環境を心地よくさせてくれるSPECIAL OTHERSのライブだ。ファンキーなビートが炸裂し、各メンバーがソロで魅せてくれる「BEN」で熱気は更に上昇し、ギターのファニーなメロディと鍵盤の反復されるメロディが絡み合う「LIGHT」まで、終始止むことなく、オーディエンスの身体を心地よく揺らし 熱く爽やかに包み込んでくれた。

SPECIAL OTHERS 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

SPECIAL OTHERS 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

SPECIAL OTHERSのライブが終わり、ふと空を見上げると灰色の雲がみるみる広がり、一気に大粒の雨が落ちてきた。雨が降っていても本番直前には止んだ……という実績も多数ある“晴れバンド”・The Birthdayだけに、きっと転換の30分ほどの間にすぐ止むだろう……という期待は空振りになった。主催者の素早い判断で、屋根付きのステージ後方の客席が急遽開放されたのだが、それでもやっぱり屋根のない最前列や前方で待つファンが多く、The Birthdayのライブを間近で観ようと待ちわびる熱い想いを感じることができた。そして、おさまるどころか豪雨が勢いを増す中、The Birthdayのライブが始まった。

The Birthday 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生


過酷になるほど燃えるのは人の性なのか、のっけから続くロックな選曲で観客のテンションは既に最高潮。「LOVE GOD HAND」からガンガンに攻める演奏、メンバーのテンションも高い。「FULLBODYのBLOOD」の演奏中には2度ほど特大の雷鳴が轟き、その度に歓声が湧き起こるなど異様な盛り上がり。客席はサビだけにとどまらず常に拳を突き上げシンガロング状態だ。「I KNOW」後には、チバユウスケ(Vo/Gt)が「ハロー! 大丈夫? 無理せず」と客席を気遣うが、当の本人たちも雨を正面から受け止め、びしょ濡れ状態だ。

チバユウスケ(Vo/Gt) 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

フジイケンジ(Gt) 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

「カレンダーガール」「ROCK YOUR ANIMAL」と演奏は続き、シャワーのような雨の中さらに踊り狂うオーディエンス。何度も光るまるで舞台装置のような稲光、そして雷鳴とバンドサウンドのセッションがさらにテンションをヒートアップさせてくれる。ヒライハルキ(Ba)のぶっといベースラインではじまった「LOVE SHOT」ではチバのブルースハープもうなる。「なぜか今日は」や、「くそったれの世界」では、チバの歌声が切なさを帯びハートをギュッと掴まれる。「今、豪雨の中の服部緑地だーー!」とチバが叫び、「涙がこぼれそう」へと続く。

The Birthday 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

「Oh yeah! 楽しいね」とチバ。最後の曲は「声」だ。The Birthdayのライブには“特に”という表現は当てはまらないが、明らかに悪条件といえる状況には、メンバーも奮い立っていたのではないだろうか。ライブも、それを間に当たりにしているオーディエンスもずっと最高潮を保ち続けた、1時間ほどの圧巻のステージだった。

The Birthday 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

アンコールではSPECIAL OTHERSをステージに招き、「MOTHER」をスペシャルセッション。ここで土砂降りの雨がようやく止んだ。どこかサンバの風味の加わった「MOTHER」の演奏中に、チバがジャンベを演奏するSPECIAL OTHERSのYuya "SEGUN" Matayoshi(Ba)やキーボードのYuma "REMI" Serizawaらを紹介しつつ、即興でのソロを煽る。コール&レスポンスも、SPECIAL OTHERSのファンを気遣い、わかりやすくナビゲーションしてくれていた。ステージ上も客席も大合唱と爽やかな笑顔で終焉を迎えた。

The Birthday & SPECIAL OTHERS 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

炎天下から豪雨、雷鳴と、対極な状況をわずか3時間ほどで行き来し、まるで白昼夢を見たようだった真夏の一日は、間違いなく来場者の記憶に残ったことだろう。帰路につく途中、ふと空を見上げると夕焼けに虹がかかっていて、つい先ほど聴いたThe Birthdayの「I KNOW」の<虹色カミナリ 落としまくってさ~>という歌詞とリンクするかのよう。なんだか野外ライブの神か魔物に微笑まれた、大当たりな日だったように思えた。

The Birthday×SPECIAL OTHERS 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

取材・文=zakkiiee 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生

イベント情報
『たとえばボクが踊ったら、♯001』

日時:8月14日(日)
会場:服部緑地野外音楽堂
出演者:The Birthday / SPECIAL OTHERS

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