エイクボーンのサスペンスコメディ『扉の向こう側』で、元宝塚雪組トップスター達が華やかに競演

インタビュー
2016.8.29
『扉の向こう側』

『扉の向こう側』

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『扉の向こう側』(英題“Communicating Doors”)は、イギリスを代表する喜劇作家アラン・エイクボーンにより1994年に執筆されたドタバタ・サスペンス・コメディーである。ホテルのスイートルームの“コネクティングドアー”(隣室に繋がる二重扉)を使い、40年の歳月の中でをタイムワープする荒唐無稽でありながら、不思議な優しさと心地よさを感じる、肩の凝らない上質なコメディー作品だ。そんな『扉の向こう側』が11月に兵庫と東京、名古屋の3か所で上演される。演出は板垣恭一が担当し、キャストには、壮 一帆、紺野まひる、岸 祐二、泉見洋平、吉原光夫、一路真輝といった今のミュージカル界を牽引する華やかな面々が集結。今回SPICEでは、演出の板垣恭一と、元宝塚歌劇団・雪組の歴代男役・娘役トップスターである壮 一帆、紺野まひる、一路真輝へインタビューを実施し本作の魅力について伺った。 


――今回は、元宝塚雪組の男役トップスター、娘役トップスターの方が、メインの女性陣を演じるということで話題となっていますね。

板垣:僕自身が宝塚に詳しいわけでは全くないのですが、流石に皆さんのご活躍は存じあげておりました。非常に光栄かつ、緊張するなと思っております(笑)。紺野さんとは、先ほど初めてお会いしたんですよね。でも、一路さんとは以前舞台をご一緒していますし、壮さんも映像関係の仕事で関わらせていただいたので、面白い企画だなと思いました。これは女性3人の話なので、その女性を全て元宝塚の方がやってくださるという、不思議な信頼感があります。そういう意味では、緊張しつつ、安心もしつつという感じですね。あと、お三方に限らず、ミュージカル界の俳優さんたちが揃って、ストレートプレイを上演するのも見どころです。思わずノリノリで、仮チラシに「歌いません!踊りません!」と書いたんですけれど(笑)

演出:板垣恭一

演出:板垣恭一


――ぜひ、歌っていただきたい方々ばかりなのですが……。

壮:じゃあ、フィナーレ・ナンバーを踊りますよ!

板垣:最後に、15分のショーがつきます。いえ、つきません(笑)

一路:岸祐二さんは歌う気満々でしたよ(笑)

板垣:1人一曲ずつ、こっそり歌ってるとかはありかな(笑)

一路:そしたら結局、音楽劇になっちゃう(笑)
 

(左から)板垣恭一、紺野まひる、壮 一帆、一路真輝

(左から)板垣恭一、紺野まひる、壮 一帆、一路真輝

――出演者の皆さんは、ストレートプレイに関してはいかがですか。

壮:私は初めてなんです。現役の頃にストレートプレイを観せていただくと、皆さんよく台詞を覚えるなと思っていました。自分にもこの日が来るとは。でも、セリフ量は一路さんが一番大変そうですね。長ゼリフも多くて。

一路:大変そうです(笑)。でも、壮さん、早いうちに挑戦できて良かったよね。私は、10年間ミュージカル女優という、すごく大きな十字架を背負ってました。産休で帰ってきてから初めてストレートプレイに挑戦した時も、結局、音楽劇っぽくなっちゃった経緯があったんです(笑)。私も本当のストレートプレイは近年しかやってないから、早いうちに色々経験できるのは、いいことだと思いますよ。

壮:ありがとうございます。「脚本は渡された時から早めに覚え始めた方がいい」というアドバイスもいただいてます。なので脚本を早く……(笑)

紺野:台詞の量が、ものすごく多いですからね。私も、ストレートプレイはこれで4本目。前回は、蜷川さんの作品だったので、7年ぶりなんですよ。だから、すごく緊張します。台詞忘れたらどうしようって。

板垣:あぁ、プレッシャーが(笑)。頑張ります! でも、ストレートプレイを専門にやっている方が初めてミュージカルに出演されると、歌と踊りをどうやって覚えるの?ってことになるんですよ。両方見てきた身としては、皆さんは意外とちゃんと着地なさると思います。絶対大丈夫ですよ。

(手前から)一路真輝、壮 一帆、紺野まひる

(手前から)一路真輝、壮 一帆、紺野まひる

――では、ストーリーとそれぞれの役柄について、教えてください。

板垣:これは、女性3人の話なんです。アラン・エイクボーンの資質として、とても観やすい喜劇になってます。結構大胆なタイムスリップモノでありながら、それが決して安っぽくはなく、世代を超えた女性たちの友情物語として、ちゃんと完結するようになっている。とても面白い台本なんです。だから、この台本の中で、お三方のバランスがどうなるかというのは、まじめな話としてとても気になるところでもあり、楽しみにしています。

あと、エイクボーン自身が、映画の『サイコ』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を入れたってハッキリ戯曲集に書いてるんですよね。もちろん、元ネタがわからなくても全然楽しめるんですが、エンターテイメントな仕掛けも随所に入っているので、その辺もお楽しみいただけるんじゃないかと思っています。

壮:私、実は宝塚をやめて2年なんですよね。そして、これが3作目なんですけど、1作目に男役があり、2作目が性別を超越したお坊さんの役で、今回やっと女性の役が来たと思ったら、SMクイーンの役。まず、女性を演じるというベースメントが定まらないうちに、ここに飛び込むその怖さがあります。ただ、今なんとなく思っているのは、やっぱり形からは入りたくない。壮一帆の人となりをどれだけ出せるかというのが今回の私のテーマだと思っているので、少し足が開こうが、声が低くなろうが、やっぱり、こういう作品ですから、それが自分の役になるように。あんまり、女、女というのを意識せずに作っていけたらいいのかなと思っています。

板垣:あ、壮さんにこの役をやることを面白がっていただけた。演出家として僕は、その人と役が重なり合った時をちゃんとつかまえたいなと思ってます。

壮:役の上で通じ合ったときが、すごく私は好きです。こうやってお喋りしている以上に、芝居をしてて通じあった時に、その人となりが見えてくる。芝居を通して、目の奥を通して、その人の本質が見えてくる瞬間が大好きなので、今回もとても楽しみですね。特に、最後の、女性3人の芝居をとても楽しみにしています。多分、お客様もそこを楽しみにしている方が多いんじゃないかと思うんですが。あと、3人で同じ舞台に立つのも、今回が初めてなんですよね。まひるとは、新人公演で一度組んだことがあるのですが、一路さんは観客として観せていただくばかりだったんです。でも、今回はどんどんぶつからせていただいて、少しでもいいものが出せたらなと思っています。

板垣:はい。そして、一路さんにはメインとなる時代(現代)の、主人公の男性の妻を演じていただきます。

一路:宝塚出身の後輩たちとは、いざ稽古に入ると、違う時代を過ごしていたはずなのに、不思議な共通点や似たところがいっぱいあるんです。だから今回の、関わっていた時代は違うんだけど、1人の旦那という共通点を持っている中で女性たちが意気投合していくという設定で、一緒にお芝居をできるのは、とてもやりやすいんじゃないかと楽しみにしています。

あと、板垣さんの演出は、すごくヴィジョンが出来ていますね。でも最初からはあまり教えてくれないんです。私達がどう出てくるかを「とりあえず、やってみて」みたいな感じで待つ期間があって、そこが面白いところでもあり、ちょっと怖い部分ですね(笑)。でも、前回はミュージカルだったから、今回は違う板垣さんが見られるのかなと、楽しみにしています。

板垣:僕は、俳優さんが作る芝居が好きなんですよ。俳優さんが思いついた演技だと、公演が始まってからの伸びが違うんです。だから、燃料を投下しながら、何が起きるか楽しんでるところはあるかもしれない。

紺野:だから、私たちも色んなことを考えて挑まないといけないですよね。俳優に任せられている部分が多いので、頑張ります(笑)。今回は、20年ごとに舞台が変わっていくお話なので、私は、25才と45才の元妻役を演じさせていただきます。壮さんが出てくるところが現代だと思っていたら、それは20年後の未来で。一路さんが妻だったところが現代という設定になるんですね。

一路:それじゃ、未来のSMクイーンってことか。そしたら、やりたい放題ね。誰もわからないし(笑)。だから型にハマらなくても、色々できるよね。ロボットかもしれないし(笑)。

紺野:なんだか楽しくなってきた(笑)! でも私はそうすると、皆さんがまだ居ないところの、古い時代を担当することになるので、その空気感を見た目や聴いている音楽などで表現できるといいなと思っています。この3人で良かったなと思っていただけるように頑張りたいですね。

壮 一帆

壮 一帆

紺野まひる

紺野まひる

――楽しみですね。

板垣:僕が思うこの作品のいいところは、人間の生活が庶民からの目線で、ちゃんと描かれているところなんです。一見、大胆なタイムスリップモノなんですけれど、多くの人に通じる共感できる部分が沢山ある点も魅力です。

実は僕、10年前にこの作品の演出をしているので、先日、その時使った台本を読み返していたんです。男は女の人に「本当にスミマセン」みたいな、「こういうところありますよね、男の人は」って気分になる話です(笑)。女性が痛快に男性をやっつける話でもあるので、男にはこういう可愛いところがあるから許してねっていう部分とか、女性3人が自分の人生に乾杯する部分などをしっかりと描きたいなと思います。そして、いつの時代にも通じる部分も随所にありますので、旦那さんや周りの男性に何か思うところのある女性の方には、ぜひ観ていただきたきたいなと思っています。

『扉の向こう側』

『扉の向こう側』



壮一帆
ヘアメイク:小口あづさ(Nanan)

スタイリスト:Ryoko Kishimoto(W)

グリーントップス、スタッズ付きパンツ/PINKO
>> 問い合わせ先
>> PINKO JAPAN
>> TEL03-5778-9861
>> http://www.pinko.com/en-gb

紺野まひる
ヘアメイク:小口あづさ(Nanan)

スタイリスト:瀬川 結美子

ワンピース
グレースクラス/グレースコンチネンタル△ショールーム
>> 問い合わせ先
>> グレースコンチネンタル ショールーム
>> 〒150-0034
>> 渋谷区代官山町6-6フィオーレ代官山3階
>> 03-5728-3633

一路真輝
ヘアメイク:岩井 マミ(M)

スタイリスト:遠山 真紀(M)

撮影=原地達浩
公演情報
『扉の向こう側』

■作:アラン・エイクボーン
■演出:板垣恭一

■出演:壮一帆/紺野まひる/岸祐二/泉見洋平/吉原光夫/一路真輝
■公式サイト:
http://cubeinc.co.jp/stage/info/tobira.html​

<兵庫公演>
日程:2016年11月11日(金)~13日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

<東京公演>
日程:2016年11月16日(水)~23日(木・祝)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
◎アフタートーク①
 11月17日(木) 13:30 終演後 出演者:壮一帆、紺野まひる、岸祐二、泉見洋平、吉原光夫、一路真輝

◎アフタートーク②
 11月19日(土) 17:30 終演後 出演者:壮一帆、紺野まひる、一路真輝


<名古屋公演>
日時:2016年11月28日(月)18:30
会場:青少年文化センター アートピアホール

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