A9 過去と現在、未来を1本の線で繋ぎ、思い出を超越した一夜
A9 将/撮影=intetsu
A9 XII ANNIVERSARY LIVE“NO NAME”-名前は未だ無い-
2016.8.28(SUN)新木場STUDIO COAST
A9としてイチから新しい夢に向かっていきたい。その想いが一夜限りのスペシャルライブを実現させた。
8月28日(日)に新木場STUDIO COASTで開催された結成12周年の記念ライブ『A9 XII ANNIVERSARY LIVE“NO NAME”-名前は未だ無い-』は、彼らが2004年から2005年までの2年間に発表した初期の楽曲だけを演奏するという内容。この日のためにデザインされた衣装も事前に公開され、はソールドアウト。追加席が販売されるほどの超満員となった。
A9 /撮影=intetsu
暗転とともに怒涛の大歓声がCOASTを揺らし、ステージの紗幕に2016年から年を追って遡る形で映像が映し出されると、懐かしさと驚きの声があちこちで上がり、“平成二十七年八月二十八日”の文字がオープニング曲の「平成十七年七月七日」へと変わり、「さあ! 始めようか」という将の合図でライブがスタートした。
ミラーボールの光が回る中“俺たちはここから始まった”という意志を表明するような派手な衣装に身を包んだメンバーが初期のナンバーをソリッドに引き締まった音で鳴らすと、場内からはたちまちシンガロングが沸き起こった。当時を再現するかのごとく眼帯を付けた沙我のベースで始まる「華一匁」ではイントロから大歓声。
A9 ヒロト/撮影=intetsu
「みなさんが足を運んでくださって、僕たちもいつもと違う装いでいつもの何十倍もハイになっています。2度とこういうライブはないと思いますから12周年という大切な日を大事に一緒に味わっていきましょう!」
将の言葉に続いて久々に披露された「グラデーション」では虎のタッピング奏法がスパイスとなり、シングル「百合は蒼く咲いて」のカップリングに収録されていた「聖者のパレード」ではヒロトが熱く燃え盛るようなギターソロを響かせた。当時の振り付けを再現しながら歌う将と盛り上がるオーディエンスはまるで“あの頃”にタイムスリップしたかのよう。と同時にこのライブが結成当時のアリス九號.をただ懐かしんで再生するものではないということがボーカル、演奏、アティチュードからビシバシ伝わってくる。日本のみならずアジア各国で熱狂的に支持されている彼らの“原点ここにアリ”の楽曲のメロディの良さをより際立たせるアクトは、時に12年前のナンバーが今のA9と地続きであることを感じさせてくれた。
A9 虎/撮影=intetsu
リアルタイムで観たことがないファンのために将がノリ方をレクチャーし、全員をその場に座らせてエリアに分けてジャンプしていく「メロウに沈んで」や、当時のメンバー紹介曲で音源化されていない「明治」(チョコレートのCM曲をメタル風にアレンジしたナンバー)が披露されると沸きに沸く場内。「一緒に歌いませんか?」と呼びかけた「朱い風車」は大合唱となった。
「若干みなさんの顔も若返っているように見えました」と虎が笑わせ、将が「僕たちもそうなってるんじゃないかなと思うんですよ」と返し、Naoのドラミングが冴える夏にピッタリのナンバー「H.A.N.A.B.I.」が投下され、“和洋折衷”をコンセプトに活動していた頃の曲が鳴らされていく。
1人だけ露出度が高い背中のあいた衣装をいじられた沙我が「次の曲はメンバーさえも忘れていた曲」と紹介し、「本日ハ晴天ナリ」が11年ぶりに披露されたのも貴重なサプライズ。シューゲイザー的アプローチで鳴らされたこの曲が新曲のように響いてきた。
A9 沙我/撮影=intetsu
曲もレアならMCもレアで、ヒロトが「僕ら、最初に高田馬場AREAでライブしたんですけど、5万人の前でやってるつもりで演奏してましたからね」と当時からデカい夢を描いていたことを明かし、雪山で撮影したミュージックビデオの帰り道に機材車ごと崖からスリップして落ちそうになったというエピソードとともに透き通るようなセンシティブなミドルバラード「百合は蒼く咲いて」を披露するなど、見所、聴きどころ満載。
「無限の花」ではメンバーが順番に去っていき、Naoだけが残り、Naoコールに沸いたドラムソロへと突入。今年のツアーでも披露された「Siva&Diva」はドラムに沙我のベースが加わり、メンバーが奏でる音が徐々に加わっていく演出で見せ、みんながメンバーの名前を呼ぶセクションが盛りこまれた当時のライブのキラーチューン「ハイカラなる輪舞曲」では将とヒロトが向かい合い、沙我がセンターでベースを弾きながらネックにキスするおなじみの見せ場で沸かせた。
A9 Nao/撮影=intetsu
「昔からメロディアスでポップなバンドだったんです」と将がバンドの特性について振り返り、「暴れ足りないヤツいるか!?」と煽り、ありえない選曲で楽しませたライブは終盤戦へ。「百夜ニ黒猫」が放たれると場内はヘドバン続出。妖しさと迫力が増した「闇ニ散ル桜」で本編は幕を閉じた。
そしてアンコールでは青春プレイバック? メンバーの登場を待つ場内に、当時のラジオ番組を録音した初々しいメンバーの声が流れ、驚きの中、再びステージに登場したメンバーは何と学生服姿! 「まさかここまでやってくれるとは!」と言わんばかりの歓喜の声で新木場は大興奮。5人が高校生のバンド少年に扮したミュージックビデオ「春夏秋冬」を再現した格好で出てきたからだ。
沙我が「かなり勇気が要りました。高校生に見せたいんだけど、新橋のサラリーマンっぽくない?」と笑わせ、ヒロトに突っ込まれた将も自らを「幕張メッセにいる(コスプレしている)人みたいだよね」と分析(?)し、ハンドクラップの中、人気曲「春夏秋冬」を披露。ステージもフロアも笑顔に包まれ、ヒロトと沙我が向かい合い、ネクタイをいじり合うやんちゃな場面も飛び出した。
A9 /撮影=intetsu
ダブルアンコールではTシャツに着替えて、「本日ハ晴天ナリ」同様、11年ぶりの披露となり、レア中のレアと言ってもいいナンバー「葬園-名も無き君へ-」が届けられ、イントロで「ウォーッ!」という声が上がった「極彩極色極道歌〈G3〉」では虎がシャウトし、ヒロトがカオスになっているフロアーの波の中に身体を任せ、沙我が前列のファンとハイタッチするなど大盛り上がり。
沙我が今回のセットリストを組んでみての思いについて「すでに今、いろんな発見があって、思い出が詰まっている曲は最強なんですね。今日、やってみていいなと思った曲があったら、これからもやり続ける曲があるかもしれない。そうじゃなかったら、やる意味がないし、今後のライブに良い影響を与えていくはずだと思ってます」と伝え、将が「武道館でもいい。東京ドームでもいい。みんなとまた上を目指したいと思って、今日のライブを企画しました。君たち一人ひとりとまた一緒に夢を作っていきたい」と熱い想いを話した。
ラストナンバーは5人が出会って初めて一緒に音を出した思い出のナンバー「タイムマシン」。
A9 /撮影=intetsu
まるで夢を見ているかのような3時間。目撃した人はこの日のライブが彼らの過去と現在、未来を1本の線で繋ぐものでもあり、思い出フラッシュバックを超越したものであったことに胸が熱くなったに違いない。不動のメンバーで12周年を迎え、困難も乗り超えてきた5人が過去を置きざりにせず、過去に甘んじるわけでもなく、ここからリスタートして再び上を目指す決意を告げる姿に彼らを好きになって良かったと思った人も多かったはずだ。
終演後のスクリーンには「特報」の文字が映し出され、伝説のニコ生番組『A9ちゃんねる』が復活し、12月24日にディファ有明で開催されるクリスマスライブが二部構成となり、一部が「A9ちゃんねる」であることを発表。2017年1月に全国ツアーが行なわれることも報じられ、歓声の中、「With Guest」と映し出された文字がさらなる期待感を煽った。
取材・文=山本弘子 撮影=intetsu
A9 /撮影=intetsu
2016.8.28(SUN)新木場STUDIO COAST
02. 華一匁
03. グラデーション
04. 聖者のパレード
05. メロウに沈んで
06. 明治
07. 朱い風車
08. H.A.N.A.B.I.
09. 本日ハ青天ナリ
10. 百合は蒼く咲いて
11. 無限の花
12. Siva&Diva
13. ハイカラなる輪舞曲
14. 白夜二黒猫
15. アゲハ
16. 闇ニ散ル桜
<アンコール>
17. 春夏秋冬
18. 銀の月 黒い星
<Wアンコール>
19. 葬園-名も無き君へ-
20. 光彩ストライプ
21. 極彩極色極道歌<G3>
22. タイムマシン
2016/12/24(SAT) ディファ有明
Dress Code:WHITE
[FC最速先行]
2016/9/7(水) 23:59まで
https://a9-numbersix.com/contents/58871
Tour 【BLACK PERIOD】
2017/1/12(THU) 名古屋CLUB QUATTRO
2017/1/13(FRI) 名古屋CLUB QUATTRO
2017/1/19(THU) 渋谷CLUB QUATTRO
2017/1/20(FRI) 渋谷CLUB QUATTRO
2017/1/26(THU) 梅田CLUB QUATTRO
2017/1/27(FRI) 梅田CLUB QUATTRO
With Guest