『Animelo Summer Live 2016 刻 -TOKI-』万感の締めくくりとなった3日目レポート到着

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2016.9.8
 C)Animelo Summer Live 2016/MAGES.

C)Animelo Summer Live 2016/MAGES.

Animelo Summer Live 2016 刻 -TOKI-
2016.8.28(Sun)さいたまスーパーアリーナ

日本が誇るアニメ音楽の祭典といえば『Animelo Summer Live(以下アニサマ)』だ。2005年からスタートし、今年で12年目を迎えるアニサマ。8月26日から28日までの3日間をさいたまスーパーアリーナで開催し、会場を熱狂の渦に巻き込んだ。今回のアニサマのテーマでもある『刻-TOKI-』に合わせて、出演アーティストたちが楽曲とアニサマに出演するにあたっての想いをステージから歌声にのせて届ける。その中でも、特に印象に残るパフォーマンスを披露してくれた3日目のメンバーにスポットを当てて特集する。

まず、オープニングナンバーを飾ったのはTVアニメ『うしおととら』のOPテーマを担当する筋肉少女帯の「混ぜるな危険」からスタートした。もちろん、ただ歌うだけではない。アニサマならではの熱さは開始早々披露された。一緒にメインステージに立ったangelaがコラボレーションとして、噴き出す炎の演出の中で熱唱し、2万7千人の観客を圧倒させる。ロックチューンの楽曲と赤色のペンライトに彩られ、真っ赤に染まる会場に圧巻した。さながらロックフェスを思わせるアクトで、幸先のよいスタートを切っていく。

 

熱が冷めやらぬうちに、地球防衛部、小倉唯と可愛さのあるアニメユニットやチャーミングな声優アーティストの歌声でたまアリの空気を震わせた。特にロックバンドの後にキュートさのあるアーティストを登場させることで、少し変わった雰囲気を味わうことが出来た。

その勢いを落とすことなく、さらに助長させたアーティストがステージに姿を現す。ソロとして初めてアニサマに出演する戸松遥だ。ひまわりで満たされた衣装を身にまとい、TVアニメ『ソードアートオンラインⅡ』OPテーマ「courage」のサウンドが流れると同時に、イメージカラーのオレンジでフロア一面を染め上げる。彼女の持ち味でもある明るさと爽快な笑顔を見せながら、たまアリに歌声を響かせた。続けてTVアニメ『となりの怪物くん』主題歌「Q&Aリサイタル!」に突入し、場内の熱気を一気に急上昇させる。間奏では「ハ・ル・カ、ハ・ル・カ、L・O・V・E・ハ・ル・カ」とオーディエンス全員のシンガロングがこだまし、たまアリを激震させるかのような盛り上がりを見せた。ラストにはメインステージに立ちウィンクを送るファンサービスも忘れない。最高の笑顔で、ステージを後にした。

このままヒートアップし続けるアニサマを貫き通すのか、と思いきや、少しブレイクタイムを取ることに。戸松の出番の直後にグランドピアノの前に座り、自ら弾き語りを始めたのは青のドレスに身を包んだ飯田里穂。まるでクラシックコンサートに来ているかのような雰囲気で、ソロ曲「片想い接近」をしっとりとした和みのある音色で鼓膜を揺らしてくれる。イントロが終わると、マイクを手に持ちメインステージを歩きながら会場中に手を振って、オーディエンスの声援に応えた。TVアニメ『ラブライブ!』の主題歌を歌うμ'sのメンバーとして活躍していた彼女とは違う、ソロアーティストとしての一面を垣間見る。にこやかな笑みで会場中に手を振る姿から、“癒し”をもたらしてくれるかのような感覚を覚えた。飯田里穂という人間が描き出すパフォーマンス、人柄を感じることが出来るステージング。ソロシンガーとしての彼女に今後も注目したいと思った瞬間だった。

さらに、Pileがソロアーティストとしてアニサマのステージに立ち、壮観なストリングスカルテットでオーケストラを思わせる演出を見せる。μ'sのメンバーでもあった彼女も人を惹き込むステージングと熱さを見せつけた。ソロとしての立ち居振る舞いに、思わずくぎ付けになってしまうほどだ。

続いて紹介したいアーティストは、紅色のナポレオンジャケットを着こなし、颯爽とステージに登壇した三森すずこだ。TVアニメ『ランス・アンド・マスクス』主題歌「Light for Knight」を力強い歌声となびかせるような手振りで見る者を魅了していく。ミュージカル女優の経歴を持つ彼女ならではのステージパフォーマンスに圧倒されるばかりだ。MCでは、なんと7回連続でアニサマに出場するという誰もが驚く功績を公表する。もはや彼女にとって、夏の到来は“アニサマ”を意味していた。その後、ピンクのドレスに衣装チェンジした三森は、TVアニメ『アウトブレイク・カンパニー』OPテーマ「ユニバーページ」をリズミカルに歌い上げる。まるで物語の1ページをめくるかのようなダンスと歌詞に、楽しさだけでなく、視覚から表現する面白さでオーディエンスを盛り上げた。10月には自身初の日本武道館公演も控えており、ますますの期待を寄せる三森の活躍に目が離せない。

興奮冷めやらぬ勢いを見せたところで、今度はファンシーあふれるpetit miladyのメンバー、竹達彩奈、悠木碧のターンに入る。歌声が聞こえるけれど、姿が見えない彼女たちが現れたのは、アリーナ後方だった。トロッコに乗って会場中を周り、ファンに手を振る光景から愛らしさを感じさせてくれる。

 

今回、アニサマのテーマでもある『刻-TOKI-』をより強く感じさせてくれたアーティストがいた。それは、黒崎真音だ。白い甲冑をイメージした衣装を着てTVアニメ『東京レイヴンズ』の主題歌でもある「X-encounter」を歌った。歌い出しは驚きを感じない切り出しだったが、MCで語った彼女の言葉に空気が一転する。6年連続でアニサマに出場してきた黒崎、そんな彼女にとって様々なことに挑戦してきた時間だった。自身が所属する音楽ユニット『ALTIMA』がアニサマ初日の出演時に活動休止を発表。アニソンアーティストとして上を目指していくため、思い切って新しいことにチャレンジしてきた経験が今の黒崎真音を作り上げたと告白した。想いを告げる彼女の姿からは、歌手として活動できることに対する感謝の様子が伺える。そのままTVアニメ「グリザイアの果実」OPテーマ「楽園の翼」へ進展した。アニサマのステージで歌えることへの喜び、力強い歌声から彼女の気持ちを汲み取ることが出来る。彼女が刻んできた活動の集大成を堪能できたひと時だった。

それから鮎川麻弥、Minamiと爽快なアッパーチューンを奏でるシンガーたちがアニサマの熱を高くさせていき、前半戦を終えた。休憩をはさんで、登場したのはTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』の主題歌を歌うbattaとTHE DUが立て続けにマイクを握る。そのまま燃えたぎるような熱さを生み出すかと思ったら、ゆいかおり、TrySail、西沢幸奏が、ポップサウンドやバンドサウンドの楽曲を放った。

さらに、アニサマの名物でもあるコラボパートでは、アーティストとしてデビューしたばかりの沼倉愛美と三森すずこがTVアニメ『ONE PIECE』主題歌の「Believe」を歌う。まだまだ終わらず、今度はALI PROJECTがpetit miladyと共に、TVアニメ『聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>』OPテーマ「緋ノ糸輪廻ノGEMINI」で妖艶なテイストの曲を披露した。

そして、アニサマ3日目のトリを飾ったのは、荘厳なBGMと共にメインステージに姿を見せたangelaだ。「いくぞアニサマ!」と、ボーカル・atsukoの一声で歓声が沸き起こった。アニサマ3日目のトリを初めて任され、フルスロットルで「DEAD OR ALIVE」を会場中に響かせ「KINGS~蒼い春~Peace of mind~Shangri-La~騎士行進曲」とメドレーを次々と放った。ラストナンバーでは、angelaの名を轟かした代表曲「シドニア」のキラーチューンが繰り出される。そのまま全力全開で夏を締めくくるのかと思いきや、さらに会場の熱気を高める重大発表が行われた。なんと、2017年3月4日(土)に日本武道館でワンマンライブを開催することが決定したのだ。発表を聞くやいなや、オーディエンス全員が絶唱し、地鳴りが起こるかのような大歓声を上げる。まさに夏の祭典を飾るに相応しい最高のパフォーマンスを体感させてくれた。

もはや日本を代表するほどにもなったアニメ音楽の一大フェス「Animelo Summer Live」12回目の開催だが、今年は出演者が大きな岐路に立ったのではないだろうか。アニサマへの連続出場、ユニットの活動中止、音楽の聖地でのワンマンライブ決定、これほどの驚きと興奮のライブに立ち会える機会などそうそうない。アニメ音楽だけでなく、夏フェスの1つとしても熱いシーンを目に焼きつけることが出来た。ライブ、アーティスト、観客が三位一体となって燃えたぎらせる感情を、ぜひ読者にも肌で感じ取ってもらいたい。

取材・文:唐一元
(C)Animelo Summer Live 2016/MAGES.

セットリスト
Animelo Summer Live 2016 刻 -TOKI-
2016.8.28(Sun)さいたまスーパーアリーナ

01.混ぜるな危険 / 筋肉少女帯×angela
02.週替わりの奇跡の神話 / 筋肉少女帯
03.絶対無敵☆Fallin' LOVE☆ / 地球防衛部
04.沸点突破☆LOVE IS POWER☆ / 地球防衛部
05.Honey♥Come!! / 小倉 唯
06.ハイタッチ☆メモリー / 小倉 唯
07.courage / 戸松遥
08.Q&Aリサイタル! / 戸松遥
09.片想い接近 / 飯田里穂
10.Melody / Pile
11.伝説のFLARE~ドリームトリガー / Pile
12.Light for Knight / 三森すずこ
13.ユニバーページ / 三森すずこ
14.青春は食べ物です / petit milady
15.azurite / petit milady
16.もってけ!セーラーふく / ゆいかおり×petit milady
17.X-encounter / 黒崎真音
18.楽園の翼 / 黒崎真音
19.Z・刻をこえて / 鮎川麻弥
20.Patria / Minami
21.時すでに始まりを刻む / Minami
22.chase / batta
23.Crazy Noisy Bizarre Town / THE DU
24.Ring Ring Rainbow!! / ゆいかおり
25.Promise You!! / ゆいかおり
26.whiz / TrySail
27.High Free Spirits / TrySail
28.Brand-new World / 西沢幸奏
29.The Asterisk War / 西沢幸奏
30.Night Drivin’ / 小野賢章
31.STORY / 小野賢章
32.叫べ / 沼倉愛美
33.Believe / 沼倉愛美×三森すずこ
34.SAVIOR OF SONG / ナノ
35.Rock on. / ナノ
36.絶世スターゲイト / 蒼井翔太
37.イノセント / 蒼井翔太
38.波羅蜜恋華 / ALI PROJECT
39.緋ノ糸輪廻ノGEMINI / ALI PROJECT feat. petit milady
40.亡國覚醒カタルシス / ALI PROJECT
41.DEAD OR ALIVE / angela
42.KINGS~蒼い春~Peace of mind~Shangri-La~騎士行進曲 / angela
43.シドニア / angela
44.PASSION RIDERS / アニサマ2016出演アーティスト

 

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