祝10回！『世界まるごとクラシック2017～祝10回！！みなさまのおかげでここまでこれました！～』青島広志にインタビュー

作曲家、指揮者、ピアニスト、イラストレーターとして多彩な活動を繰り広げる青島広志が取り組んでいる『世界まるごとクラシック』が来年の公演で10回目を迎える。『世界まるごとクラシック』は、青島本人が指揮・お話を務め、スクリーンにオーケストラ演奏のライヴ映像を映したり、照明の演出を取り入れたり、聴衆参加の曲があったり、子供から高齢者まで誰でも楽しめるコンサートとして人気がある。

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－－ 『世界まるごとクラシック』が今度10回目となりますが、まずは、その感想をきかせてください。

「あっという間でした。最初、シアター オーケストラ トーキョーとは初対面でしたが、9年経って、ほとんどのメンバーの名前がわかるようになりました。今では、私にとって、一番仲の良いオーケストラです。9回もやっているといろいろなことがあるのですが、大雪で電車が止まったときのコンサートが特に記憶に残っています。たいへんななか、来てくださったお客さんには特別な感慨があります」

－－ 今回のプログラムは、10回記念ということで、誰もが知っている名曲が並んでいますね。

「これまで9回のなかの良いものをとってきました。今回は重要な作曲家の聖年 （アニバーサリー・イヤー） がないので、そういうしがらみもなく選ぶことができました。今回は明るい曲ばかりで、飽きる暇がありません」

－－ オーケストラの編成が大きく、演奏時間も長い、ラヴェルの《ボレロ》が楽しみです。

「ラヴェルの《ボレロ》では、主旋律を誰が吹いているのかわかりにくいので、映像で見せるようにしたい。テレビでも同じ手法を使ったりしますが、テレビでは15分の曲を全部放送するのは稀です。たとえば、トロンボーンのソロは、他の楽器のソロが終わったあと最後にすごく高い音域を吹かなければならないのでものすごく緊張するところです。だからその奏者の様子を吹く前から撮ってもいいと思うのです。１番奏者のソロを聴く２，３番奏者の表情も映してみたい」

－－ シンフォニーでは、ドヴォルザークの交響曲第９番《新世界より》の第４楽章を取り上げられますね。

「《新世界交響曲》の第４楽章では、第１，２，３楽章のテーマが帰ってくるのですが、そこでは映像に説明の文字や楽譜も一緒に出したいですね。この楽章ではシンバルが一発だけそんなに大きくない音を出すのですが、そこも映してほしい」

－－ 青島さんが描かれる作曲家の似顔絵もこのコンサートを楽しいものにしています。

「9年間で、絵が溜まりましたね。200人以上の似顔絵を書きました。作曲家でこんなに作曲家の顔を書いた人はいないのでは（笑）。昨年から作曲家の似顔絵を入れたマグカップやバッジを作ったりしているのですが、バッジがすごく売れているのです（笑）。LINEスタンプも作りました。よく使われているそうです。私はパソコンを使わないので自分で見ることがないのですが。私は機械や金属製品が嫌いなのです。それは、感電するので電気のそばに近寄ってはいけないという祖母の教育をいまだに守っているだけです。だから、実は、金管楽器も好きじゃない（笑）」

－－ 《ガイーヌ》の『ばらの乙女の踊り』や『剣の舞』、《くるみ割り人形》の『花のワルツ』などのバレエ音楽も楽しみです。

「シアター オーケストラ トーキョーは、もともとKバレエカンパニーの公演で演奏するオーケストラで、バレエ音楽がうまいのです」

－－ もちろん、今年も聴衆参加の曲がありますね。

「今年もお客さまと一緒に歌って踊る久石譲さんの《さんぽ》をやります。振り付けは、本家本元の私のものです。当て振りなので、すぐに覚えられます」

－－ 最後にメッセージをお願いいたします。

「私にとって、1年の中で最も大きなイベントなので、できることは全部やってしまおうと思っています。是非、家族で来てください。そして家族で語り合ってほしい。演奏中でも子供と大人で話してもらってもいいと思います。そういう曲を選びました」

（取材・文：山田 治生　撮影：岡崎 雄昌）