『古典芸能×近代建築で船場を遊ぼう』大阪で11月23日まで無料開催中!
『古典芸能×近代建築で船場を遊ぼう!』会場のひとつ芝川ビル(撮影/石橋法子)
大正末期から昭和初期にかけて大阪は「大大阪(だいおおさか)」と呼ばれていた。文化・芸術・産業の中心地として栄え、日本一の人口を誇っていたのだ。そんな当時の記憶と文化を色濃く残す大阪・船場地区を舞台に、今秋も大阪市中央区役所主催のカルチャーイベント『古典芸能×近代建築で船場を遊ぼう!』が9月14日(水)~11月23日(水・祝)まで開催される。4回目の今年は、連続テレビ小説「あさが来た」で一躍注目を集めた「五代友厚」をテーマに多彩な”遊び場”が揃う。共同企画・運営を担う公益財団法人山本能楽堂、大阪商工会議所、船場近代建築ネットワークのメンバーが会見を開き見所を語った。
左から、山本章弘さん、槇山愛湖さん、木戸信成さん、生駒伸夫さん、橋本卓児さん、中野順哉さん
「大大阪時代」の熱気を芸能・食・学問で体感しよう!
芝川ビルで開催される【船場アカデミー】は、船場ならではの講師陣が芸能・食・学問にまつわる講座を行う人気の遊び場だ。芝川ビルの前身で戦前、芝川又四郎が「一流の講師による本物の授業を通して、真の教養を身に付けてほしい」と創設した「芝蘭社(しんらしゃ)家政学園」の理念を受け継いだもの。昨年に引き続き『大阪寿司の伝統の秘密』講座を受け持つ吉野寿司7代目の橋本卓児さんは「戦前、船場には日本中の海産物が運び込まれ、冷蔵庫のない時代から持ち帰り寿司を提供していた。酢でしめたり、煮炊きしたり。素材一つひとつに色んな仕事をすることで、日持ちを可能にしていた。そんな日本の食文化の礎を築いたとも言える、大阪の食文化の価値を大阪寿司を通して感じていただければ」と話す。同じく、『船場と能楽堂』講座を担当する能楽師・山本章弘さんは「無形の技芸は人から人へ受け継がれていくもの。それをずっと見守っていくのが山本能楽堂であり有形のもの。芝川ビルにもかつて花嫁修行の生徒さんたちが通われていたのだと思うだけで熱いものが込み上げ、イベントを盛り上げていきたいなと思う次第です」。山本能楽堂は当時の旦那衆が自分たちの社交場として創設したもの。当日は、大阪人の粋なたしなみとしての能楽が語られる。
【船場アカデミー】会場の芝川ビル。界隈には装飾性に富んだ近代建築が多数現存する
【音楽絵巻】は、室内楽団「日本テレマン協会」代表の中野順哉さんが、講談師・旭堂南左衛門さんと2000年から二人三脚で続けるオリジナルコンサートのシリーズ。その土地ならではの伝統・伝承を題材に、これまで発表した作品は100を超えるという。今回はリュート演奏とともに新作講談『五代友厚の真相』をお届けする。「歴史を振り返ると、偉人たちが様々な問題に対して下した選択は、あたかも先見の明があったように思われますが、果たして本当にそうだったのか。実際にはもうひとつのコンセプトがあったのではないのか。五代友厚にとってはそれが大阪だったのではないか、という謎解きをしてみたいと思います」。「西国史観から見たもう一つの明治」を副題に、教科書では知り得ないロマン溢れる語りになりそうだ。
意匠を凝らした芝川ビルの階段手すり
また、【ディープに巡る!五代友厚クイズラリー】で回遊ポイントとなる近代建築の楽しみ方を、船場近代建築ネットワーク・生駒ビルヂングの生駒伸夫さんが教えてくれた。「建築学的にはテラコッタ、煉瓦、大理石の階段など、見た目の様式や装飾の部分ですが、一番はその場に身を置いてもらうこと。『もしかしたら、ここにも五代友厚が来たかもね』と、空気に触れて感じることで歴史の痕跡など伝わるものがある。時代と共に失われる有形物が多いなか、現存している今のうちに訪れて大事にしていただいたら、この先100年、200年と残っていくのではないか。何度でも訪れたくなる地域として、多くの方に親しんでいただきたいですね」。近代建築は愛好家が多く、クイズラリーの抽選プレゼントにも専門家と巡るまちあるきツアーのがあるほど。興味のある人は要チェックだ。
特製「五代友厚ブック型ふせんメモ」
各種イベントはいずれも無料なうえ、クイズラリーに正解すれば、先着1,000名に特製の「五代友厚ブック型ふせんメモ」をプレゼントするなど特典も満載。その他、関連事業もあるので申込みなどの詳細は公式サイトをぜひチェックしよう。
◎全プログラム無料、事前申し込み・予約が必要な場合あり
◎公式サイト&「船場を遊ぼう」イベント申し込みフォーム
http://www.noh-theater.com/sembawoasobo2016.html
■2016年9月14日(水)~11月23日(水・祝)
会場:近代建築、標跡、神社など市内全34箇所から各編ごとに指定場所を巡る
☆抽選で350名の正解者にプレゼントあり
☆先着1,000名の正解者に「五代友厚ブック型ふせんメモ」プレゼント
■2016年10月22日(土)
会場:芝川ビル4Fモダンテラス
<プログラムA>
・「泊園書院と船場」講師:藪田貫(関西大学名誉教授)
・「料亭のお話」講師:湯木潤治(株式会社本吉兆 代表取締役)
<プログラムB>
・「イギリス菓子はおもろい!!」講師:BROADHURST'S Peter John/永田敦子(TIKALショコラティエ)
・「五代友厚と紅茶」講師:田中京子(NPO法人日英友好協会会長)
<プログラムC>
・「船場と文楽」講師:豊竹英太夫(文楽・太夫)
・「五代友厚と大阪会議」講師:徳光正子(「花外楼」五代目女将)
会場:芝川ビル4Fモダンテラス
<プログラムD>
・「大阪寿司の伝統の秘密」講師:橋本卓児(吉野寿司7代目)
・「船場と落語」講師:桂紋四郎(落語家)
<プログラムE>
・「船場は生きた建築ミュージアム」講師:高岡伸一(建築家・大阪市立大学特任講師)
・「船場と能楽」講師:山本章弘(重要無形文化財総合指定保持者)
■2016年11月12日(土)
会場:山本能楽堂
・「五代友厚の真相」講談:旭堂南左衛門、リュート:高本一郎