ダンスボーカル・グループ戦国時代を駆けるDa-iCE、XOXら9組が集結した『SHIGA NOW』をレポート
SHIGA NOW 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
SHIGA NOW
2016.10.1(Sat) 大津市民会館
秋晴れのなか、大津市民会館にはティーンを中心に多くの人々が集結した。e-radio(FM滋賀)開局20周年を記念した『SHIGA NOW』が、開幕のときを迎える。ダンスボーカル・グループを中心に、旬のアーティストをピックアップし滋賀から発信! そんなテーマを掲げ、進行を担うe-radioのパーソナリティ、岩田泉未の号令のもと、まずはオープニング・アクトとしてガールズ・グループ、Caratが場をアゲていく。どこかあどけない歌声が、ゴージャスなルックスとのギャップを生む、実にキュートな彼女たち。フロントの3人に加え、DJ Monaもステージに降り立ち、前代未聞(!?)な4人でのフォーメーションで会場の視線をさらっていく。90年代フレーバー香る「東京IMAGINE」や、ヘルシーな「Hope to see you again!」と、くるくると変わる虹色のショーで颯爽と駆け抜けていった。
岩田泉未 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
Carat 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
オープニング・アクト2組目のUNIONEは、JINの「僕らはダンス・グループではないですが、皆さんの心に届くよう頑張ります」との言葉に偽りなく、鮮やかなハーモニーを惜しみなく披露。ドラマティックな歌声のJIN、男らしさ溢れるISSYのパフォームにYUTAのハスキーなボーカルが冴える「LOVE ME RIGHT」に続いては、新曲「未来DELIGHT」を。スイートなSAMの声質とYUUKIの明朗でポップネスな歌声が弾け、幅広い歌世界をモノにする手腕を発揮! 鮮烈な存在感を刻み付けた。
UNIONE 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
2組がしっかり温めたステージを一層熱気で昂らせたのは、エンタテインメント集団・BOYS AND MENの弟分であるBOYS AND MEN研究生だ。今回はリーダーの寺坂頼我をはじめ、野々田奏、清水天規、中原聡太、松岡拳紀介の5人が登場。元気印!な歌声に加え、一挙手一投足に全力を懸ける姿は何とも微笑ましい。「ボクたちのONE」ではサビでのフリを丁寧に教授し、詞の世界感を表すように見事に会場をひとつにした。祭り感ある新曲「ドドンコ Don’t worry」など、最後まで全力投球、熱っぽいステージを繰り広げてくれた。
BOYS AND MEN研究生 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
“龍”の猛々しさと、情趣美ある“優雅”さを持ち合わせた龍雅-Ryoga-がステージへ。「ROCK THIS WORLD」から、ラウドなパフォーマンスで、瞬時に空気を一変。今回はパフォーマーの後藤慶太郎が海外での仕事のため、4人での登場となったなか、本人たちが感じていたという不安など微塵も感じさせないド迫力の絶景を湧出させていく。壮大なバラード調の入りからは打って変わって硬派なダンス・ナンバーと化す「FOREVER」、重厚感満載の「Enter The Dragon」と、サディスティックに攻め立てていく彼ら。ジェントルな岸本勇太の歌声に、艶やかながら獰猛さもたたえる井出卓也のラップがからみ、ラスト「Glory Days」までひとつの瞬きすら許さない、圧巻のひとときとなった。
龍雅-Ryoga- 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
先ほどまでの硬派なムードとは、ある種真逆のアプローチで客席の心をキャッチ! ストリート系の読者モデルとして活躍するとまんやバトシン、志村禎雄に、オーディションで輩出された田中理来、木津つばさのふたりを加えた5人からなるXOX(キスハグキス)の登場だ。軽快な口笛が誘う「Skylight」から始まるやいなや、軽やかにステージの端から端まで舞うように踊る。瑞々しい感性が光る「Niceday」を経て、志村の半ば無茶ぶりで、お目当てのアーティストの名を会場全員で叫ぶ一幕が。そのおかげか、ラストの「Ex SUMMER」では、これまで以上にオーディエンスの歓声も巨大なものに。過ぎ去った夏を惜しむこの歌のように、彼らが去った会場には客席のラブコールが長く響いていた。
XOX 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
Caratを覗けば、全て男性グループが占める『SHIGA NOW』において、彼らに負けずとも劣らない男前さを発揮したのは、FAKYだ。グループ名の“ニセモノっぽい”なんて言葉が逆説的にクールに感じるほど、キレキレのステージをお見舞いする。Lil’ Fangの「e-radio、20周年おめでとうございます! 滋賀に来られて嬉しいな」と、口を開けば等身大のチャーミングな表情をこぼすも、ひとたび音が流れ出すとキリッとスイッチが入る様は圧巻。近年のポップスの流れを汲みつつ90年代の生っぽいR&Bのムードも取り込むなど、懐の広いサウンドも聴き惚れる一因だ。キャッチーな「Candy」でシメるも、早くも次回が待ち遠しい……。そんな本物の輝きをステージに残した彼女たちに拍手!
FAKY 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
彼らが降り立つや体感温度はグッと上昇! 熱視線を一身に浴び、FlowBackの時間が始まる。まずは メロウな「Come A Long Way」を。一分のスキもなくシンクロする5人は、凄まじい吸引力で客席を惹き付けて離さない。楽曲制作からパフォーマンス、FlowBackを作り出す全ての要素を自らの手で彩る演出力には脱帽。 「ここはホールだぞ! まだまだ声出るだろう」と煽るJUDAIの言葉を合図に、歓声はさらに大きなものに。その歓声に「やればできんじゃん!」なんて最高の笑顔で返してくれるものだから、テンションは上昇の一途だ。さらにシティーライクな「Be Mine」、リスタートな明るさの「Wake Me Up」で、実時間以上の濃密さをもたらしてくれた。
FlowBack 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
YUYA率いる関西発のグループ・X4がトリ前に。白く揃えた衣装で姿を現すやいなや「Dive into your love」から、ダイナミックなパフォーマンスを連発! YUYAの伸びやかな歌声が反響し、グッとパノラマ感を増幅していく。続く「Killing Me」では、雄々しいダンスで挑発的に攻めると、爽快な「声にしたなら」では客席からシンガロングが自然発生。最早煽る必要もない人気の高さを見せつけていく。ラスト「#musicconerdose」では一層ギアを上げ続ける5人。ショーマンシップ高くキメつつも、その内実は熱い彼ら。場を懸命に鼓舞する横顔からは、客席との距離を縮めるべく誠実にパフォーマンスする思いが見え、愛される理由を存分に感じられたひとときとなった。
X4 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
いよいよ『SHIGA NOW』も終幕へ。今日イチの歓声が包み込む中、ド頭から流れるように身を翻し軽やかに踊るDa-iCE。包容力ある歌声の雄大、幼さの残る華やかな想太の声質。このふたりのボーカリスト、どちらも4オクターブを歌いこなすという実力派だけに、ライブでの凄まじさは特筆モノだ。煌びやかなミディアム・テンポの「BILLION DREAMS」を経て、早くもラスト1曲。「これで最後の曲です」というメンバー、客席の双方にとって悲しいお知らせを誰が言うかでもめる微笑ましい一幕などもありつつ、最後は全員でタオルを振り回す、疾走感ある「パラダイブ」で、これぞ大団円! という熱狂のエンディングを迎えた。
Da-iCE 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
このボーカル・グループ戦国時代において、自分たちだけのカラーを持つことはとてつもなく難しい。しかし、Da-iCEをはじめ、『SHIGA NOW』の面々は隠しても滲み出るような個性で、一歩抜きん出た顔ぶれと言えるだろう。そんな存在感ある9組による4時間超えのステージによって、あっという間に終わりを告げる濃密な1日となった。
取材・文=後藤 愛 撮影=SLOT PHOTOGRAPHIC/渡邉一生
【日程】2016年10月1日(土)
【会場】大津市民会館大ホール
【出演】Da-iCE、X4、XOX、BOYS AND MEN 研究生、FlowBack 、FAKY、龍雅 -Ryoga-、UNIONE、Carat
【MC】岩田泉未 (「charge!」火曜日パーソナリティ)