ミュージカルの名曲の花束『BRODWAY MUSICAL LIVE 2015』出演! 悠未ひろ・桐生園加 インタビュー

インタビュー
2015.8.16
悠未ひろ・桐生園加 撮影/アラカワヤスコ

悠未ひろ・桐生園加 撮影/アラカワヤスコ

ミュージカルの名ナンバーだけを集めた「ミュージカルコンサート」も、今ではオペラのガラコンサートのように広く行われるようになったが、そのパイオニア的存在である『BRODWAY MUSICAL LIVE 2015』が今年も華やかに開催される。

誰もが知っている有名ミュージカルの、大ナンバーばかりを豪華出演者が次々に歌い踊るときめきのライブ。その眩い舞台に登場する元宝塚男役スターの悠未ひろと桐生園加が、ミュージカルの魅力、そしてミュージカルコンサートへの意気込み、更に懐かしい宝塚時代の思い出話や、退団後の道のり、また今後への抱負までを、幅広く語ってくれた。

心躍り、感情を揺さぶるミュージカルの魅力

──宝塚歌劇団出身のお二人ですが、まずミュージカルの魅力はどこにあると思っていますか?

悠未 私はとにかく宝塚が好きで、宝塚自体がセリフが歌になり、歌がダンスになりというミュージカル仕立てで作られていますから、それが大好きでこの世界に入りましたので、ストレートプレイよりも先にミュージカルに馴染んでいたんですね。ですから、ミュージカルが苦手だとおっしゃる方が「急に歌い出すのがちょっと…」と言われたりしますが、私は歌がありメロディがあることによって、感情が揺さぶられて物語に入れることこそが魅力だと感じますし、歌や踊りがあることの方に違和感がないです。

桐生 夢の世界で理想のものが目の前で起こる、歌って踊って表現するというのはテレビにはなかなかないものなので、生の舞台で自分もお客様と一緒に作り上げていけるし、観る側としてもその世界に引き込んでもらえる。その華やかさや、一瞬にしてハッピーにしてくれる歌やダンスの力ってすごいなと思います。私自身がエネルギーがあり余っている頃に(笑)ミュージカルに出会ったというのもあるのですが、どこにぶつけていいかわからなかったエネルギーを、人を幸せにできる力に変えられるものだというところが素晴らしいと思います。

──そんな魅力にあふれたミュージカルの名曲ばかりを集めた今回のコンサートならではの魅力は?

悠未 美味しいとこ取りと言いますか(笑)、大好きなミュージカルの更に有名なナンバーばかりが集まっているので、今回は出る側に回らせて頂きましたが、観る側としても「絶対に行きたい!」と思えるコンサートです。

桐生 好きだったミュージカルの主題歌が一気に観られて、しかもその時舞台で実際に演じていらした俳優さんや女優さんが歌ってくださったり、踊ってくださったりするので、本当に悠未さんがおっしゃったように美味しいとこどりですよね。しかも知っている曲、耳になじんでいる曲ばかりが聞けるというのはこんなに楽しいことなのか!と観客として観ている時に感じていましたから、今回出演させて頂けるので、盛りだくさんな内容ですし、皆様に楽しんで頂けたらと思います。

撮影/アラカワヤスコ

撮影/アラカワヤスコ


新しい楽曲に挑むチャレンジ精神

──歌われるナンバーについて、今お話頂けるところで教えてください。

悠未 中河内雅貴さんが振付けてくださって『バーレスク』、私がアギレラのパートを歌います。男役出身ですから、男性の歌を、という気持ちもあったのですが、宝塚を卒業して新たな自分を見つけて行きたいと思っていたところに、『バーレスク』はどうだろう?とご提案頂いて。はじめは「わー無理、無理」と思ったのですが、でも今の時点ではできないと思ってしまうものが、この機会にできるようになったらカッコいいなと、チャレンジ精神で挑戦させて頂くことにしました。

桐生 絶対カッコいいですよ!

悠未 頑張るよ! そこで一緒に踊ってくれるのよね。

桐生 他にもダンサーさんも入って、共演させて頂きます。

悠未 振付も中河内さんと共同で考えてくれると言うので、そのか(桐生)先生、頼りにしています。ここに1人宝塚の人がいてくれるというだけで、どれだけ安心なことか。

──やはり、宝塚出身の方がいるというのは違いますか?

桐生 もうそれは全然違いますよね!

悠未 外に出たら毎公演初めましての方達とお仕事をする中で、同じように育ってきている人がいるというのは大きいんです。学年が離れていて在団中は話したことがないという人でも安心なのに、しかも、そのかとは学年も近いので、本当に心強いです。

桐生 例えば全然知らない先輩には、「私のダンスはどうだったでしょうか?」とはなかなか聞けませんけれど、宝塚の方にならすぐに聞きにいけますし、心の持ちようから違って安心です。

悠未 私は特に退団してからダンスをあまりやっていないので、私をよく知ってくれているそのかが、一緒に考えてくれるというのもすごく頼もしい。

桐生 話し合いながら作っていけるから楽しみですよね。女で踊りますからね。

悠未 一応ね(笑)。

桐生 退団されて何年でしたっけ?

悠未 1年半。12月で2年。そのかは何年?

桐生 4年経ちました。でもこの間まで『CHICAGO』で男役をやっていたし、なかなか抜けないですけど、でもカッコよく踊る為にも、男役の経験は貴重だし、捨てたらもったいないですからね。

悠未 それはわかる。男役をこれまで長い間やってきたことを消すことはできない訳だから、それを活かして、カッコいい部分、強い面を伸ばしていけたらと。

──元男役さんだかこそ出せる、カッコいい女性像がありますものね。

悠未 是非、そこを目指していきたいです。

桐生 私も今回は色々なダンスを踊れるので楽しみにしているんです

お互いの魅力を認め合った宝塚時代

──宝塚時代は一期違いだったお二人ですが、音楽学校時代でのご縁は?

桐生 私が予科生の時に本科生でいらして、本科生の方が予科生のお掃除の監督をしてくださるので、その担当が一緒だと接点があるのですが。

悠未 そのかとは一緒じゃなかったからね。

桐生 でも私は機械担当で、本科生の方がレッスンされる時に音出しをしていたので、そこで踊っていらっしゃる姿はたびたび拝見していました。白鳥の王子などで。

悠未 白鳥の王子ね!(笑)、してました、してました!

桐生 そのイメージが強いです。そして宝塚に入ったら組が違ったので。

悠未 また接点がなかったのよね。でも年に1度全組が集まる『タカラヅカスぺシャル』では同じナンバーを踊ったりもして、よく喋っていたよね。

桐生 着替えなどが組分けでなく学年順でしたから、よく隣で着替えさせて頂いていました。──お互いの男役像や魅力をどう感じていましたか?

桐生 舞台ではすごくパリッとカッコいいのに、楽屋着に着替えるとフニャフニャで(笑)。ギャップってこういうことを言うのかなと。普段はすごく女性らしいんです。

悠未 しっかりしてないんだよね(笑)。見た目は怖そうとまで言われるのに。

桐生 あ、でも私も怖そうとは言われます(笑)。悠未さんは、背が高いし、廊下を歩かれているだけでサマになるし、スターさんのオーラがあったのですが、袖の居方とかが本当にほわほわなので、組が違って普段の姿を知らなかっただけにびっくりしました。でもいざ並んで舞台に立ったらバリバリで、「わっ!私もしっかりしなくちゃ!」とまたびっくりして。

悠未 そんなにびっくりさせた場面あったかなー?(笑)

桐生 ありましたありました。この話は初めてしましたけど。他にスターさんがたくさんいる中で、悠未さんは独特で似ている人がいないんです。個性もあるし迫力もあるし、すごくいいなと思いました。

悠未 そのかちゃんのことは、有名な受験スクール出身で、とっても踊れる人だと聞いていたので、最初から注目していましたね。舞台では勢いがあって、弾け豆みたいで(笑)、こういう人がいてくれると、宝塚の男役にも更に幅が広がっていくな、いい個性だなと思っていました。

桐生 そんな弾けてましたか?

悠未 うん、ちょっとやんちゃ(笑)。勢いの中にはやんちゃって意味も入っているの(笑)。
撮影/アラカワヤスコ

撮影/アラカワヤスコ


新しい世界でのこれまでとこれから

──そんなギャップの魅力と、弾ける魅力で活躍してきた宝塚から、桐生さんが先に卒業されましたが、外の世界のこれまでを振り返っていかがですか?

桐生 舞台で一生懸命やることは変わらないんです。でも退団して一番感じたのは、周りの方のありがたみでした。振付の助手をさせて頂いた時に、舞台をひとつ作る為に演出の先生と振付の先生はこうして夜中まで話し合いをされながら、ひとつずつ積み上げて作業しているんだということを体験して、作る人ってすごいなと思って。宝塚の時にはいてくださるのが当たり前だと思っていましたが、その重要さを痛感しました。演じることはもちろん大変なことですが、土台を作ったり環境を整えるスタッフの方たちにも、観てくださるお客様と同様に感謝の思いが強くなりました。男役でしたから女性になっていかなければ、などの大変さは自分の努力の問題なのですが、周りの大切さに気づけたというのが大きなことでした。

──特に印象に残っている舞台などは。

桐生 私はダンスの舞台が好きなので、最近では『CHICAGO』の特に『DANCING CRAZY』バージョンと、東山義久さんとご一緒させて頂いた『サロメ』です。『DANCING CRAZY』は宝塚OGだけで『CHICAGO』をさせて頂くにあたって、大澄賢也さんのご指導のもと、退団してからあんなに頑張ったことはないというくらい、死ぬ思いでやりました。一方の『サロメ』は、退団してから私は「男性ダンサーの方とどれだけ対等に踊れるか」ということに夢を持っていたのですが、男性のパワーは男役の力とは全然違うことを感じましたし、同時にそこについていこうとすることによって、自分の未知なるパワーを引き出してもらえました。その二作品はとても印象深いです。

──悠未さんは、卒業して1年半ということですが、いかがでしたか?

悠未 今、そのかの話を聞いていてとても共感しました。私も宝塚を退団したあと、本物の男性の中でどれだけ男役が通用するのかに挑戦してみたかったんです。でも男性と女性の違いというのはやはり大きいし、男性の筋力などには全く敵わないのですが、そういう方達と一緒に切磋琢磨してやるからこそ、引き出してもらえる部分というのを、『義経秘伝』や『NARUTO』を通じてすごく感じました。宝塚を卒業した以上、もう男役は一切しませんとおっしゃられる方もたくさんいらっしゃいますし、その姿勢もすごく素敵だなと思うのですが、自分はどうなんだろう?と思った時に、17年間やってきたものを活かして、そこから更に変化していく。ここから自分はどうなるのかな?というのが自分でも今楽しみなんです。なので、男役だけにこだわっている訳ではもちろんありませんし、幅広く色々なものをやっていきたいです。そういう意味では今回のコンサートの『バーレスク』も、自分のディナーショー以外の場で、初めて女性として踊るので、頑張って挑戦して成長していけたらいいなと思っています。

──『義経秘伝』はGACKTさんの舞台で、筋トレなども大変だったのでは?

悠未 ついていくのがそれは大変でしたし、やはり男性と女性の違いがあって、男性は筋肉を外につけたいですからあの筋トレで良いのですが、私は外に筋肉はつけたくないので(笑)、同じようにやろうとすると運動しているにも関わらず筋肉がつきすぎて太ってきてしまうくらいで、スッキリしなくなってしまうのでそれはイヤだったんですね。でもGACKTさんの求める立ち回りをこなすには、筋肉が必要なんです。ただ私の役が男か女かわからない男性という設定でしたから、本物の男性に近づいていってしまうのは、役柄的にも違うし、そのさじ加減が難しかったです。

──続く『NARTO』は海外公演もあった作品でしたね。

桐生 素敵でした!

悠未 観に来てくれたのよね。

桐生 もう、出たくて、出たくて!(笑)すごく楽しかったです。あれは悠未さんにしかできないです。カッコよかったですよね。

悠未 海外での反応がまた全然違って、原作漫画もすごい人気のようで、日本より更に熱狂的な雰囲気でした。客席にもナルトやサスケの格好をして来ている人がたくさんいましたし、字幕も出ていましたが、それ以前に皆さんどういう流れかわかっておられて、日本では1場面終わると頂けていた拍手が、ひとつことが起こる度に頂けるんです。ナルトが助けにきた!わっヒーローがきた!みたいな反応で。それに接して初心に返ったと言いますか、特にマレーシアでは、舞台というよりこの公演の為に広場に作ったというような場所でやりましたから、普段は舞台などは観たことがないという方々の純粋な反応に涙が出る思いでした。自分が舞台をやっている意味を出演者全員がもう一度感じることができたので、貴重な経験をさせて頂きました。

──そうした様々な経験を経て、今後のビジョンや目標はありますか?

桐生 私的なことなのですが、結婚しましたので、いずれ子供を持っても踊り続けていたい。カッコよいお母さん、カッコよい女性でありたいという希望があります。舞台に関しては劇団☆新感線の舞台が大好きなので、カッコよい立ち回りやアクションをやってみたいです。

悠未 あぁ、本当にそのかとは共通点が多い!私も劇団☆新感線の舞台は是非やってみたいです。そして、おこがましいようですが、たくさんの宝塚OGの方がおられる中で、私らしい独自の道を歩いていけたらと思っているので、挑戦しながら道を見つけていきたいです。

──では最後に、改めてこのコンサートに向けた意気込みを。

桐生 1回観たらもう1度観たいというコンサートにしていきたいので、楽しみにして頂きたいです。

悠未 そのかと共演するのは初めてですし、二人で同じ場面を作れるのがすごく嬉しいので、良いコンビネーションで勢いのある場面を作れたらと思います。新しい挑戦のコンサートなので楽しみにしていらしてください。
撮影/アラカワヤスコ

撮影/アラカワヤスコ

ゆうみひろ○東京都出身。97年宝塚歌劇団で初舞台を踏み、発足したばかりの宙組に配属。長身揃いの新しい組の生え抜き男役として活躍し『Le Petit Jardin』『逆転裁判3~検事マイルズ・エッジワーズ』などの主演作をはじめ、数多くの名舞台を残した。13年『風と共に去りぬ』のアシュレイ・ウィルクス役/ルネ役で惜しまれつつ退団後、14年『MOON SAGA 義経秘伝第二章』平教経役、15年『NARUTO』大蛇丸役など、個性的な役柄を立て続けに演じて注目を集めている。

きりゅうそのか○神奈川県出身。98年宝塚歌劇団で初舞台を踏み、踊れる男役として頭角を現し花組から月組で活躍。『Yong Blloods』『Dansing Heroes』などの主演作の他、ショー場面でも大きな足跡を残した。11年『バラの国の王子』『ONE』で退団後、女優としてまたダンサーとしての活動を開始。宝塚OGによる女性だけのブロードウェイミュージカル『CHICAGO』では、ジェントルマンとして男性パートを見事に踊りきり喝采を集めた。

【取材・文/橘涼香 撮影/アラカワヤスコ】 
 
公演情報
『BRODWAY MUSICAL LIVE 2015』

演出◇浜畑賢吉
演出補・振付・ステージング◇本間憲一
音楽監督◇宮崎誠
出演◇(五十音順)上原理生、川平慈英、坂元健児、宝田明、舘形比呂一、中河内雅貴、畠中洋、平方元基、福井晶一 、宮原浩暢(LE VELVETS)、島田歌穂、高世麻央(OSK日本歌劇団トップスター)、土居裕子、悠未ひろ、吉沢梨絵/一和洋輔、桐生園加  ほか
期間:8/28~30
会場:新国立劇場中劇場
お問い合わせ:オフス・ミヤモト 03-3312-3526
サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
公式サイト:http://www.bw-ml.jp/
 
  
演劇キック - 宝塚ジャーナル
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