劇団スーパー・エキセントリック・シアター 年に一度の本公演『土九六村(どくろむら)へようこそ』稽古場レポート
撮影=引地信彦
10月某日、劇団SET(劇団スーパー・エキセントリック・シアター)の劇団員40名以上が総力を挙げて年に一度挑む本公演の稽古場にお伺いさせていただいた。
今年で創立37年、54回目の本公演となる『土九六村(どくろむら)へようこそ』では、若手中堅を多く抜擢したという。今日はその若手の劇団員達が中心になるワンシーンの稽古だ。
演出も兼ねる座長・三宅裕司が、演技、振付、立ち位置、間のとり方に至るまで一つ一つ場面を確認しながら徹底的に細やかな指導が入る。若手・中堅への演技指導では「面白いことを言おうとしないで、ちゃんと芝居をして」という言葉が随所に出てきたのが特に印象的だった。
撮影=引地信彦
撮影=引地信彦
「役を理解してその役で台本に書かれていることをちゃんと演じれば、それがお客様に伝わり笑いになっていく。笑わせようとすると、それがお客様にばれてしまい、笑いにはならない。」
「役者を指導する時になるべく模範の演技をしない。それを他の役者が真似しても面白くならないから。」
37年培ってきたSETの笑いを若手達に丁寧に伝授していく三宅。指示を出す言葉の端々に演技への情熱を感じた。稽古場は、劇団全員が一丸となって舞台をより良いものにしようという緊張感があり、休憩時間でもお互いにアドバイスをしたり、若手が演技に煮詰まった時にはベテランが話を聞いたり、同じ場面に出る役者同士が何度も細かい動きを納得いくまでやり直すなどより良い芝居への追及に余念がない。
撮影=引地信彦
撮影=引地信彦
そんな中でも演技が面白ければ皆で大声を出して笑い合う(実際、何度も同じシーンをやり直した場面があったが、こちらは何度も笑ってしまった)笑顔の絶えない稽古場で、その暖かい雰囲気がこの劇団SETの芝居のパワーの源となっているのだと感じた。
スーパーエキセントリックなストーリーに劇団の持ち味でもある笑い・音楽・ダンス・アクションをふんだんに盛り込んだという本作。毎回観るたびに明日への元気と共に“何か”を心に与えてくれる劇団SETの舞台、開幕が今から待ち遠しい。
「土九六村へようこそ」
日時:10月21日(金)~11月6日(日)
会場:サンシャイン劇場
作:福田哲平
演出:三宅裕司
出演者:三宅裕司/小倉久寛/劇団スーパー・エキセントリック・シアター