テクニカルでトリッキーなライブ巧者・アルカラは真っ昼間から絶好調
アルカラ
八王子天狗祭 【天狗ステージ】 アルカラ
正午を越えて、フロアに続々とキッズが集結し始めた。天狗ステージに上がるのはアルカラ。リハーサルから余裕たっぷりの4人は、ちょっとした小ネタで早くもフロアを沸かせていた。さすがである。
本編は、疋田による力強いドラミングに導かれる「カラ騒ぎの彼女」からスタート。メンバーの煽りなしでも自然とハンドクラップが起こるところに、彼らへの期待度の高さがうかがえる。そして、その勢いを途切らせることなく「アブノーマルが足りない」へとなだれ込む。若干音がこもりがちなホールではあるが(Vo.稲村曰く、「早口だと何言ってるか分からないパティーン」)、下上による派手なフレージングのベースをはじめ、どの音も粒立ちがよく、鉄壁のアンサンブルとなって鼓膜を刺激する。うーん、実に格好良い。そして、時間を惜しむかのように「チクショー」へ。BPMの上昇とともに場内の熱気も増していくが、今のところ完全にアルカラの勢いの方が上。まだ目が覚めきっていないキッズは完全に置いてけぼりを食らっている格好だ。
アルカラ
テンションが高くタイトな演奏とは反対に、MCでは稲村が緩いトークで笑わせる。開口一番、「初めて八王子に来たんだけど、こんなに素敵なところがあるなんて、僕、知らなかったなぁ」とマトモなことを言ったかと思ったら、「GOOD ON THE REELの千野くんがやりそうなMC」というトリッキーな展開。この後もなぜか散々千野をイジり倒し、最後にようやくこの場に呼んでもらったことをグドモのメンバーに感謝。
「残りの3曲、ずっとGOOD ON THE REELの気持ちで演奏するんで!」と観客を笑わせたまま「LET・IT・DIE」へ突入。バンドの勢いに引っ張られるようにフロアから拳が次々と挙がりだし、「キャッチーを科学する」で盛り上がりはピークを迎えた。フロアの様子に頓着することなく我が道を行き、最終的には完全に自分たちのペースに巻き込むんだからさすがだ。これを見越した上でグドモは真っ昼間というやりづらい時間帯を彼らに任せたのだろう。ふとフロア後方に目をやると、たなしんが観客と一緒になってライブを楽しんでいる姿があった。いい光景だ。
終わってみれば、MCを挟んだ後半と前半は一切演奏を止めることなく、タイトなパフォーマンスで駆け抜けた。4人のライブ巧者っぷりが際立つ35分間だった。素晴らしい。
取材・文=阿刀“DA”大志 撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)
アルカラ
1.カラ騒ぎの彼女
2.アブノーマルが足りない
3.チクショー
4.炒飯MUSIC
5.LET・IT・DIE
6.キャッチーを科学する
7.はじまりのうた