音楽監督デュメイが指揮する関西フィル「第279回定期演奏会」に、マリオ・ブルネロが登場!
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デュメイとブルネロ、夢の共演が実現! (C)S.Yamamoto
今世紀最高のヴァイオリニストの一人オーギュスタン・デュメイと、世界を代表するチェロの名手マリオ・ブルネロの夢の顔合わせが関西フィル「第279回定期演奏会」で実現した。
と言っても、今回デュメイはヴァイオリンではなく指揮棒でブルネロが奏でる愛器「マッジーニ」の香しい響きを完全サポート。
関西フィルの音楽監督であるデュメイのオファーを受ける形で実現した二人の共演は、ブルネロがハイドンの2曲のチェロ協奏曲を一気に弾くという贅沢なものだった。
音楽監督オーギュスタン・デュメイ指揮、関西フィルハーモニー管弦楽団 (C)S.Yamamoto
実はこの定期演奏会のもう一つの楽しみは、音楽監督デュメイがドヴォルザークの交響曲第7番を指揮することだ。デュメイのドヴォルザークと言えば、独自の解釈が光った昨年の「第268回定期演奏会」の交響曲第8番が記憶に新しいが、今回の第7番もきっとアイデアいっぱいの斬新なドヴォルザークを聴かせてくれるはず。
デュメイと関西フィル、そしてブルネロの魅力が詰まった演奏会の模様を、写真を交えてリポートしよう。
今宵は、ハイドンのチェロ協奏曲を2曲を一気に演奏する豪華のプログラム。 (C)S.Yamamoto
世界を舞台に活躍するブルネロのチェロで、ハイドンの協奏曲2曲を一気に聴ける機会は大変貴重。聴衆はもちろん、オーケストラのメンバーもこの日を大変楽しみにしていたのでは。
ブルネロのチェロに寄り添うようにオーケストラをコントロールするデュメイ。 (C)S.Yamamoto
オーケストラが協奏曲第1番の第1主題を奏でた後、登場するチェロの最初の音で心を鷲掴みにされた。
ブルネロの奏でる繊細で高貴な調べは、オンリーワンの響き。デュメイはオーケストラをしっかりコントロールし、両者のサウンドを渾然一体に溶け込ませることに成功。いつもと違う関西フィルの音楽が、残響2秒のザ・シンフォニーホールに鳴り響いた。
曲調の違う2曲のコンチェルトで聴衆を魅了したブルネロ。 (C)S.Yamamoto
調性の違う2曲の異なった魅力を十分に堪能できる充実の演奏。「ずっとこのまま聴いていたい!」と思わせる心地良い時間の後、一斉に起こった割れんばかりの拍手喝采、そしてブラヴォーコール。
デュメイとブルネロが手を取り合った、感動のカーテンコール。 (C)S.Yamamoto
ブルネロとデュメイは何度も手を取り合ってカーテンコールに登場。喜びと達成感にあふれた二人と誇らしげなオーケストラのメンバーを、温かい拍手が包み込んでいた。
アンコール2曲目「アルメニアの歌」では、パンフルートのような響きを聴かせたブルネロ。 (C)S.Yamamoto
ブルネロのアンコールは、バッハの無伴奏チェロ組曲第3番より“ブーレ”と、アルメニア民謡「アルメニアの歌」の2曲。心に響く極上のサウンドに癒された。
前半が終了して、大満足の客席。聴衆のほとんどが微笑んでいる。
休憩の後はデュメイの指揮で聴くドヴォルザークの交響曲第7番。なんと贅沢なプログラム!
定評あるデュメイのドヴォルザークのシンフォニー。 (C)s
ホールに薫るブルネロのチェロの余韻を断ち切るように、ドヴォルザーク交響曲第7番の第1主題が鳴り響く。民族的な主張を内に秘めたロマンチックな音楽は、人気の第8番、第9番にも引けを取らない名曲だ。
音楽することの喜びを教えてくれるデュメイ。 (C)S.Yamamoto
デュメイのドヴォルザーク7番は独自のアイデアに基づく期待通り斬新な音楽だった。とにかく美しい第2楽章、締め付けられるような切なさが堪らない第3楽章。そのままアタッカでなだれ込む第4楽章では手に汗握り…。
緩急自在のデュメイのタクトに付いていこうと、メンバーは凄まじい集中力で対応。その結果、歌心に溢れながらもスリリングなドヴォルザーク7番が完成!
またひとつ、デュメイと関西フィルの名演伝説が誕生した!
管楽器を独自に歌わせた第2楽章の美しさと言ったら…。 (C)S.Yamamoto
終演後、関西フィルの朝倉祥子 事務局長に訊いた。
---- 今回、ブルネロを呼んだ狙いを聞かせてください。
朝倉事務局長:チェロの名手として国際的に活躍しているブルネロと共演することは、楽員にとって大きな刺激となり、より上質な音楽を聴衆の皆様にお届け出来ると考えました。
初めてのリハーサルで、ブルネロのあまりにもデリケートな音楽に、オーケストラの楽員は驚きそして感動しました。極上のppと力強いffと表現の幅が極めて大きく、ソロにオーケストラが全くついていけなかったのですが、デュメイの指導により、ブルネロの音楽に楽員は必死でついていき、日に日に音楽に一体感が出てきました。本番はお客様にも充分楽しんで頂けたのではないでしょうか。ブルネロ自身も指揮活動をしていますので、オーケストラと室内楽的に音を作っていくことが好きな様子でした。関西フィルにとって本当に良い経験が出来ました。
緩急自在のデュメイの指揮に、オーケストラは凄まじい集中力で応える。 (C)S.Yamamoto
---- 大迫力のドヴォルザークでしたね。
朝倉:前半のハイドンが、あまりにも深く、気高い音楽で完結してしまったので、後半のドヴォルザークがどうなるか心配だったのですが、暗く重くならず、デュメイ持前の歌心と元気さで、とても楽しめる演奏になったと思います。デュメイはいつもながら音楽する楽しさを教えてくれますが、一番楽しんでいるのはデュメイ自身なのかもしれません。
---- この先、音楽監督デュメイに望む事は?
朝倉:デュメイから学ぶ事はまだまだ山ほどあります。リハーサルでは楽員に細かく指示を出し、何回も同じところを繰り返し練習し、フレーズごとに音楽を作っていきます。彼の音楽に寄り添えば喜びの中で音楽が出来るでしょう。演奏者が音楽を楽しまなければ、聴衆の皆様にも届きません。日本のオーケストラがまじめすぎるのかもしれませんが、デュメイのもと関西フィルは個性的で美しく楽しく音楽が出来るオーケストラを目指しています。古典とロマン派を中心に、より磨きをかけていきたいと思っています。
ひたむきに音楽に取り組む姿勢が感動を呼ぶ、デュメイと関西フィルのメンバー。 (C)S.Yamamoto
---- ファンに向けてメッセージをお願いします。
朝倉:いつも温かいご声援をありがとうございます。日々聴衆の皆様にご満足していただける演奏が出来るよう、練習を積み重ねています。2017年も楽しいプログラムをご用意しています。最近は若いメンバーも増えてきましたので、是非元気な関西フィルを聴いていただきますよう、宜しくお願いいたします。
以前、掲載した関西フィル来年度の主催演奏会についての記事はコチラを参照。
関西フィルの活動については、楽団オフィシャル・ホームページを参照。
Meeet the Classic VOL.34
■日時:2017年1月26日(木)19:00開演
■会場:いずみホール
■指揮&お話:藤岡幸夫
■独奏:藤原道山(尺八)
■曲目:
アンダーソン/舞踏会の美女
千住明/黄金の海
冨田勲/新日本紀行
冨田勲/武士の一分
坂本龍一/SEVEN SAMURAI
藤原道山/東風
チャイコフスキー/交響曲第5番
■料金:1階席4000円、2階席3000円
■問合せ:公式サイト:http://www.kansaiphil.jp
第280回定期演奏会
■日時:2017年2月24日(金)19:00開演(18:00開場)
■会場:ザ・シンフォニーホール
■指揮:ピエール=カルロ・オリツィオ
■独奏:ルーカス・ゲニューシャス(ピアノ)
■曲目:
ベッリーニ/歌劇「ノルマ」序曲
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲
プロコフィエフ/交響曲第5番
■料金:S席6000円、A席4500円、B席3000円、C席2000円、学生席1000円
■問合せ:公式サイト:http://www.kansaiphil.jp