ヒステリックパニック、2016年を振り返る とも「チャレンジの1年」 Tack朗「種をまいた1年」

インタビュー
2016.12.3
ヒステリックパニック

ヒステリックパニック

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2012年に名古屋で結成された、ラウドロックバンド・ヒステリックパニック。今年の春には、バンド初のワンマンツアーを行ない、7月にメジャー2ndアルバム『ノイジー・マイノリティー』をリリース。さらに秋には再びワンマンツアーを行うなど、精力的に活動した2016年となった。そんな1年を、とも(Vo)とTack朗(G/Vo)に振り返ってもらったインタビュー。とも「チャレンジの1年」、Tack朗「種をすごくまいていた年」と語ったその真相とは。

──2016年はどんな1年でしたか?

とも:今年はワンマンツアーを2回やったんですよ。春にバンド初のワンマンツアーをして、秋にまたやったんですけど。それまでは対バンでやっていたし、ハコの規模も小箱から中箱って言われるレベルだったのが、地元の名古屋だと1000人以上のキャパになったりして。それもあってチャレンジの1年だったかなと思いますね。

Tack朗:でも、ワンマンは苦労したよね(笑)。

とも:俺、ずっと言ってたんですけど、ワンマンが嫌いなんですよ。

──なぜまた?

とも:ライブって対バンだから楽しいっていうところがあって。そこは終わった後の打ち上げ含めてでもあるんですけど……勝負したい感じがあるんですよ。だから、せめてツーマンでやりたくて。

Tack朗:ワンマンだと見えない敵と戦っているというか(笑)。昔の自分達のライブのクオリティとか。

とも:そう。ワンマンって張り合えないっていうか、盛り上がって当然じゃないですか。このバンドって、自分達を知らない人とか、このジャンルを普段聴かない人にどうアプローチするかを考えているけど、ワンマンってそういう意味では最初からみんな味方じゃんって思っていたから、あまり好きじゃなくて。でも、実際にやってみたら、マイクを客席に向けたときの声がとにかくすごくて、一瞬素に戻るぐらいビックリしちゃったんですけど(笑)。そういうワンマンならではの部分もわかったし、Tack朗が言ってたような難しさもわかった1年でしたね。

──Tack朗さんは、2016年はどんな年だったと思いますか?

Tack朗:俺は、種をすごくまいていた年だったと思います。今まではラウドロック畑の人達と長くしてきたところもあったんですけど、ラウドだけじゃないバンドさんとツアーを廻ることが多かったりして、いろんな出会いがあったのが印象的でしたね。

とも:今回のツアーって、ラウドな人達もいれば、アイドルとかラッパーの人もいたりしたんですよ。

Tack朗:もうめちゃめちゃだったね。

とも:異種格闘技感が半端なくて。元々そういうことをやりたいなとは言っていたんですけど、なかなかおおっぴらに出来なかったのが、今年は本当にいろんなジャンルの人達と出来たので、それを今後も広げていきたいと思っています。

──元々、異種格闘技的な対バンはしたかったんですね。

とも:したかったし、自分達だったらできるんじゃないかなって。他のバンドはジャンルに追従している感じがあるんですけど、自分達はどこかに足をつけるというよりは、ひょいひょいいろんなところに行っているので。

──僕としては、そうやっていろんな場所に打って出るスタンスはすごく好きなんですけど、色眼鏡で見られてしまうというか。たとえば、ヒステリックパニックの楽曲って、ラウドだけどポップでキャッチーじゃないですか。そうなると、ラウドが好きな人からは「柔い」と思われるし、ポップが好きな人からは「怖い」と思われる可能性もあって、その辺の難しさもあるのかなと思ったんですけど……。

とも:自分達は結成当初から色眼鏡バンドなんで、色眼鏡上等!ぐらいの感じなんですよ。「ヒスパニってちょっと……」って思われることもあるかもしれないけど、思われたら勝ちだと思っていて。まずは、好きでも嫌いでも何でもいいから、とにかく何かを思ってもらうことが大事だと思うんで、俺としては色眼鏡で見られてナンボだと思ってますね。

ヒステリックパニック・とも

ヒステリックパニック・とも

──そこはTack朗さんも同じく?

Tack朗:一応ラウドっていう括りで結成したので、昔はガチなハードコアの方々と対バンしたりすると、浮いてるかなって感じたことはありましたけど。でも、最近はそれがもう俺らの個性だと思っているので、どこへ行っても「ヒステリックパニックでーす!」みたいな感じでやれているし、ラウドじゃないバンドさんとやらせていただくことが増えたなかで、俺らのポップさとキャッチーさはそこでも絶対に戦えると思えたので。

とも:だから最近は全然気にしてないです。土足でズカズカ入っていって「すんませーん!」みたいな感じでやっているので。

──ワンマンは張り合えないから好きじゃないとか、色眼鏡上等とか、ベースとして常にファイティングポーズを取ってるバンドなんですかね。

とも:俺個人が思うスタンスとしては、ニコニコしながら中指立てている感じですかね。メンタル的には全然ピースフルだし、全然笑顔なんだけど、後ろに回している手は中指立ててるみたいな。そういうちょっとした反骨精神みたいものはあるし……性格は悪いですね(一同笑)。

──今年は7月にメジャー2ndアルバム『ノイジー・マイノリティー』をリリースされましたが、改めてどういうアルバムだったと思いますか?

とも:根っこにはラウドがあるんですけど、さっきの異種格闘技みたいなものも踏まえつつ、全方位に向けたアルバムになっていて。かつ、自分達のやりたいこともできたし、音楽的に進化できたアルバムだと思いますね。でも、5人全員がそのときに表現したかったことは全部できたけど、ツアーやワンマンを経て、見えてきた課題とかやりたいものがまた出てきたので、思考は完全に次のフェーズに向かってるんですけど。でも、それはやっぱりあそこで一回やり切れたからだと思うんで。

──作り始める時点ではどういうものにしようと思っていたんですか?

とも:敷居は低くしようみたいな話はしてましたね。それこそ、さっきみたいな「怖い」とか「聴きにくい」というのをなるべく排除したいなっていうのはあって。

Tack朗:たしかに、デスボイスが多少減ったけど、その分ラップとかメロディーが活きている曲が多くて。トリプルボーカルのバランスも絶妙だし、1枚目の『オトナとオモチャ』はバタバタしていた中で作っていたから、自分的に詰め切れなかったところもあったけど、今回に関しては考え抜いて納得できるものを出せたので、自分のなかでは今のところ最高傑作です。

──全方位ということもあって、エクストリームな曲もあれば、バラードやインストもあるし、MIXやコールを入れている曲もあってバラエティに富んでますが、いつも曲はどうやって作ってるんですか?

とも:Tack朗と$EIGOが主に作曲をしていて、そこにみんなが乗っかっていくんですけど。たとえば「なんてったってラウドル」は、作曲者的にはライブで映えるようなメタリックでハードコアな感じの曲を作ろうっていうことだけで……そこに俺がアイドルの曲にしようって歌詞を書くんで、結果そうなるっていうか。

Tack朗:いつも歌詞と曲を別行程で進めていくから、どんな歌詞がくるのか正直わからないんですよ。

──なんでこの歌詞になったんだろうっていうことも?

Tack朗:ありますね。

とも:たぶん、8割ぐらいそれですよ。

Tack朗:「シンデレラ・シンドローム」のサビのメロディーって、3ヶ月ぐらい自分の中でトーナメント戦をして、やっと勝ち抜いたやつに決めたんですけど、この歌詞が来たときに、こいつバカかと思って(笑)。でも、しばらくして、こいつ天才だなって思いましたけど。

──この歌詞はうまいなぁと思いました。いわゆる「キラキラ女子」と呼ばれる人達がテーマになっていて。

とも:そうですね。イタい人達のことを書いてます。

──でも、ユニークさをしっかり交えているのがおもしろいなと思ったんですが、歌詞はいつもどう書いてるんですか?

とも:歌詞のテーマのストックみたいなのがあって、来た曲に対して合う/合わないって判断する感じなんですけど。「シンデレラ・シンドローム」はリード曲にするっていう話だったから、とびきりシンプルにして、普段は日本語としてちゃんと聴き取れない曲も多いけど、聴き取れるようにしようと。でも、歌詞を見てハっとするっていう2重の仕掛けが出来ているし、そこがヒスパニのおもしろさだと思っていて。それがうまいことハマった曲ですね。なんか、ああいう人達って自分のわがままを正当化しようとするじゃないですか。「女の子だから」っていう理由で。んなもん関係あるかいバカタレがっていう……それを言いたかった曲ですね。

Tack朗:それって、元カノへの恨みをここで晴らそうとかそういうこと?

とも:それはさすがに性格悪すぎるだろ(笑)。

Tack朗:あははは(笑)。

とも:でもまぁ、そういう毒気みたいなやつは、意識してるというよりも、ただ俺の性格が悪いだけで勝手に入っちゃう部分としてあって。綺麗事は言いたくないっていう自分ルールみたいなのがあるし、世の中にあるメンタル的に病んでる曲って、最終的には「それでも大丈夫だよ」とか「明日があるさ」的に終わったりするけど、そういうのは嫌いなんです。

──あと、「Brain Dead」も風刺的ですけど、ポップさも相まってちょっと怖いぐらいでした。

とも:このバンドって、言いたいことみたいなのは別になくて、思ったことを言っているだけなんですよ。でも、この曲に関しては、言いたいことは言ったけど、テーマとしてはちょっと堅かったですね。言ってしまえば、聴いてくれる子達もちょっと皮肉ってるし。

──まぁ、聴いてくれる子達=世の中の人達と捉えるのであれば。

とも:なんか、今の子ってなんでも信じちゃうじゃないですか。ネットで流れてきたなんの信憑性もない情報を簡単に信じちゃってるなと思ってたから、それを書いたんですけど。でも、そこがちょっと大人目線すぎたのかなと思って。

──僕はこの歌詞すごい好きでしたよ。

とも:それこそ大人から人気があるんですよ、この曲(笑)。それこそ風刺っぽくていいねって言っていただいたりして。自分ではめちゃくちゃ気に入ってるし、皮肉るのも好きなんだけど、ちょっと堅かった。

ヒステリックパニック・Tack朗

ヒステリックパニック・Tack朗

──でも、そこを気持ちよくバシっと決められるバンドでもあると思いますよ。

とも:そう言っていただけると。俺はポップに皮肉りたいんですよ。ドロドロしたメロディーでドロドロした言葉を歌っていたら、ただのドロっとしたバンドになっちゃうけど、Tack朗とかが持ってくるメロディーって基本明るいし、そこに俺が毒々しいものを足すとヒスパニになるっていう方程式があるんで。あと、そういう毒々しいことは俺じゃなくてTack朗に歌わせるっていう(笑)。

Tack朗:お前そんなこと考えて歌詞書いてたのか!

とも:あははははは(笑)。

Tack朗:でも、堅いという話で言うと、『ノイジー・マイノリティー』って、リスナー目線に落としきれていなかったところがあるんですよね。自分達はより音楽的な表現をしたいと思う反面、リスナーの子達が俺らに求めてくれるのはわかりやすさとか、おバカな感じであって、そこはちょっと矛盾があったんですよ。だから、そうやって求められているものをアウトプットしつつも、そのなかに俺らが表現したいものを込めたいなと思っていて。

とも:ビートルズがね、「100曲作ってからが勝負だ」って言ってたよ。

──あぁ。100曲作っていく間にいろんな思惑とかが抜けていくというか。

とも:そうです。まだ俺らはその境地に達してないんで。

Tack朗:今ってどれぐらい作ったっけ? 50は超えた?

とも:うん。でも、まだ70は行ってない。だから今はとりあえず作れってことだよ。

──あと、「世界の尾張」という地元のことを歌った曲もありますけど、これは前からずっと歌いたいテーマとしてありました?

とも:ありました。なんだったら、この曲はシングルカットしたかったし、PRキャンペーンとかに使ってほしくて。この曲、シャウト入れてないんですよ。もう全然使えるんで、今からでも河村市長のところに持って行きたいです。

──地元で活動するというのは大事にしたいスタンスですか?

とも:そうですね。東京怖いっすもん。さっき新宿歩いててめちゃくちゃ怖かったし。矢場町(愛知県)のほうが安全なんで。

Tack朗:電車の乗り換えも難しいしね。もちろん東京で活動するほうがスムーズにいくこともあるかもしれないけど、俺としては活躍している人達が名古屋から離れていっちゃうのがすごい寂しかったんですよ。だったら俺らは残りたいなっていうのは、現時点ではありますね。これから先はどんな環境になるのかわからないので。でも、今は名古屋に根ざして、名古屋から発信していきたいなっていう気持ちです。

とも:ONE OK ROCKぐらい売れたら考えます!

──そうなると、地球のどこに住もうかなって話ですからね。

とも:そうっすね。で、いろんなとこに別宅を建てたいです。

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