「バンドを応援したいんです」“DJライブキッズあるある中の人”は純粋なライブキッズだった
ライブキッズあるある中の人
Twitterでライブキッズが共感できることをつぶやき、現在4万人を超えるフォロワーがいるアカウントを運営している、現在話題沸騰中のライブキッズあるある中の人。それだけでなく、DJとしても活動し自身が企画・主催するイベント『ライブ行きたい』も開催している。今回は、謎のベールに包まれた彼の音楽と出会ったエピソードや、主催イベント『ライブ行きたい』で伝えたい想いなどを語ってもらった。
――今回のインタビューでは、ライブキッズあるあるの中の人について音楽のルーツを紐解いていきながら、『ライブ行きたい』というイベントについても聞いていこうと思います。では、まず自己紹介からお願いします。
ライブキッズが“あるある”と思えることをTwitterでつぶやいている、『ライブキッズあるある』というアカウントの管理人こと、ライブキッズあるある中の人です。よろしくお願いします。
――よろしくお願いします。まず、ライブキッズあるあるさんの音楽との出会いから聞いていきたいのですが、音楽に興味を持ったのはいつごろですか?
小学生の時に、音楽番組のランキングチャートに出てくる、バンドサウンドが強いJ-POPを聴き始めてから、“僕はバンドが好きだ”ということに気がついて、それからロックを聴き始めました。中学生以降は、ヴィジュアル系や洋楽・邦楽のラウドロック、4つ打ちが流行った時は4つ打ちなど、特にジャンル問わずなんでも聴いていましたね。
――初めてライブに行ったのは、どういうキッカケだったのでしょうか?
初めてライブを観に行ったのが中学生の時で、友達がライブの取ったので一緒にライブ行かない?と誘われて。大阪のなんばhatchにメロコアバンドのライブを観にいったのがキッカケでした。
――初めてのライブの感想はどうでしたか?
まず、音が大きいと思ったのと頭の上に人が飛んできたりしたのが、僕にとって全て衝撃的でおもしろかったです。それからライブに観に行くことにハマりました。
――そこからは結構な頻度でライブへ行っていたのですか?
そうですね。中学生の頃はあまりお金が無かったので、行きたいライブだけ行っていたんですけど、バイトが出来るようになった頃からは、異常なくらいライブを観に行っていました(笑)。
ライブキッズあるある中の人
――現在4万人を超えるフォロワーがいるTwitterの『ライブキッズあるある』アカウントですが、やり始めたキッカケはなんだったのでしょうか?
3年前に、『ライブキッズあるある』を作ったのですが、当時からTwitterにいろんな“あるある”のアカウントがあっておもしろいな〜と思いながら見ていたんです。その時に、僕はライブが好きだし、ライブあるあるを呟いたら流行るんじゃないかな?という思いつきがキッカケで始めました。
――ちなみに、お気に入りのライブキッズあるあるはありますか?
そうですね……。“お母さんが好きなバンドの名前をちょっと間違えて覚えている”とか、これはライブキッズというかライブ会場あるあるなんですが、“列に並んでいると、おばちゃんに「今日なんかあるの?」って聞かれる”とか、“肩をトントンってされたら、ダイブの合図”とかよくあると思いますね。
――すごくありますね(笑)。今のライブキッズと比べて、昔と変わったと感じる部分はありますか?
少し昔にメロコアが流行っていた時のライブキッズは、小さいライブハウスにも頻繁に行っていたと思うのですが、最近はフェス文化の進歩もあったりして、ライブハウスに行く人が減ったと感じます。好きなアーティストのワンマンライブや、フェスくらいしか行かないライブキッズが増えていて、今はライブキッズというよりフェスキッズみたいな感じに近いのかもしれないですね。
ライブキッズあるある中の人
――なるほど。ライブキッズあるあるさんは、DJとしても活動もされていますが、DJを始めたキッカケは?
もともと僕はDJイベントに行ったこともなくて、DJに関する知識がなにもなかったのですが、ある時、仲の良いバンドマンに「自分たちの主催するイベントにDJで出演してくれないか?」と頼まれて、そこからDJをやり始めました。
――その時は、どんな曲を流していましたか?
初めてのDJだったので、何を流そうかすごく迷っていたんですけど、その日は出演するバンドのジャンルに合わせた曲を流しました。イベントにきている人たちが、ちょっとでも転換中に楽しんでくれるといいなと思って選曲しました。
――DJの選曲は、いつもどのように決めているのですか?
僕は、イベントに来たお客さんの着ているバンドTシャツを見たり、SNSでその日のイベントをエゴサーチして、みんながどんなバンドが好きなのかを調査してから、何を流すか決めますね。あとは、曲に合わせて一緒に歌ったりサークルモッシュしたりして、お客さんが参加出来て楽しむことが出来る曲を基本的に選んで流しています。
ライブキッズあるある中の人
――自身の企画した主催イベントを開催したり、DJなどの音楽的な活動を始めてから、ここはブレたくないという部分はありますか?
いつでも、お客さん目線でないといけないと思っています。僕は、バンドが曲を生み出すことや、練習することがすごく大変だと思っているので……そこに敬意を表して、DJとしてじゃなくお客さんとして、また来たくなるようなおもしろいイベントを作ることで、バンドを応援したいんです。そこはずっとブレないところです。
――ライブキッズあるあるさん自身が、純粋なライブキッズなんですね。
そうですね。今でもライブはを買って観に行っています。実は今年の『COUNTDOWN JAPAN』に、DJで出演が決定したのですが、出演が決まる前に2日券のを買っていたので、「あっ、買ったのに……」ってなんとも言えない気持ちになりました(笑)。
――それは複雑な気持ちになりますね(笑)。では、活動していく中で嬉しいと感じる瞬間はどんな時ですか?
僕のイベントに来てくれたお客さんや、出演してくれたバンドに「楽しかった」とか「すごくいいイベントだね」って言われることが嬉しいですね。あと1番ドキドキするのは、SNSなどで、みんなに自分のイベントの情報解禁する時がドキドキします。
――僕も、自分の書いた記事を皆さんに見てもらう時はそういう気持ちになるのですごく共感できます。
絶対喜んでくれるだろうって思いながら発表した時に、1000リツイートとかいくと、“オッシャー! 勝った!”ってなりますね(笑)。今回の『ライブ行きたい』の詳細を発表した時もリツイートがすごく伸びました。出演するバンドもそのリツイート数を見て喜んでくれているので、それも嬉しいですね。
ライブキッズあるある中の人
――今はTwitterの管理人とDJ活動、そしてイベントを主催されていますが、他にはなにか活動をしていますか?
他の活動は、ライブキッズがあるあると思えるような、おもしろグッズを作っています。“ぼっち参戦”とプリントされているTシャツや、“好きなバンドが被っていたら話かけてください”って書いている缶バッチを作っていて、それを見たキッズ達が、初対面でも話をしやすいようなキッカケになって友達が作れるというグッズを作って、ヴィレッジヴァンガードで販売しています。
――活動の幅がすごく広いですね。この主催イベント『ライブ行きたい』についてですが、このイベントのコンセプトを教えてください。
今回のイベントの表テーマはライブキッズの為なのですが、裏テーマが僕が応援したいバンドをフックアップするというコンセプトだったんです。なので、幅広い層のお客さんたちに見て欲しかったので、最初の告知ではバンドを発表せず、僕だけの力で、すでに何箇所かソールドアウトしている状態にして、バンドにオファーを出したんです。そうすれば、色んな人にライブを観てもらえるし、バンドにとって得な部分がたくさんあると思ったんですね。僕はライブキッズなので、バンドを応援したいっていう気持ちが根底にあるんです。だから、このようなイベントを開催するという僕なりの形で、頑張っているバンドを応援していきたいという思いでやっています。だから、僕もイベント中にMCで、バンドの物販を買ってほしいとか、今回のイベントは無料だけど、気に入ったバンドがいたら次はを買ってまた観に行ってほしいということを伝えていますね。
――そういうところも、バンドを応援することにおいて大事なところだと思います。
そうですね。もし、このイベントをたくさん開催して、“無料だし楽しいから、このイベントだけ行こう”という感覚が当たり前になるのはダメだと思うんです。そうなってしまうとバンドの価値も下がってしまうので、そういうところもイベントで僕からお客さんに伝えていきたいと思っています。
ライブキッズあるある中の人
――なるほど、ありがとうございます。では、最後にSPICE読者のみなさんにメッセージをいただけますか?
今回開催した『ライブ行きたい』というイベントは、大きいキャパのライブだけではなく、小さなキャパの箱で観るライブも楽しいという良さを知ってもらって、今まで小さいライブハウスにあまり行ったことがない人たちも、気軽に足を運んでほしいと思っています。そういったことも含めて、僕が作っているクッズの“ぼっち参戦”Tシャツなどは、“ライブハウスに1人できてもいいんだよ”という想いや、そのグッズをきっかけに友達を作って、次は“ぼっち参戦”じゃなく、新しくライブ会場で出来た友達と一緒にライブに遊びにいけるといいなと思って作っていて。それがキッカケで、ライブに行きたいとかライブハウスっていいなと思う人が増えるといいな思います。そして、またライブハウス規模でのツアーもやって欲しいという声をたくさんいただき、今後も開催したいと思っているので、これからの活動も楽しみにしていてください。
取材・文=K兄・けんじろ〜 撮影=K兄