ホリエアツシのロックン談義 第1回:ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文【前篇】
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後藤正文 / ホリエアツシ 撮影=西槇太一
ノールック「いいね」はあるよね(ホリエ)
~久々の共演やSNSのこと~
――今回、ホリエさんの対談企画の第1回目ということになります。
後藤正文:お、ありがとう!
ホリエアツシ:連載の第一回だしやっぱり説得力が欲しいなっていうところで、ゴッチにオファーしたんだよね。
後藤:……説得力あるの? 俺は(笑)。
ホリエ:うん。俺がこれから色々な人と対談していきますっていう企画の一回目がゴッチって、めちゃくちゃ説得力あるでしょ?
後藤:なるほどね。
ホリエ:例えば違う世代のミュージシャンの話も聞いてみたいけど、まずは我々世代が何を思っているのかを初回で話すっていう。それによって音楽ファンや新世代のミュージシャンに希望を見せていけたらなって思う。
――ASIAN KUNG-FU GENERATIONは結成20周年、ストレイテナーも再来年で20年ということで、世代も活動期間も近くお付き合いも長い二人が、ロックバンドとして最前線で20年やってきた今、どんなことを思っているのか、何を見ているのか。僕はいま34なんですが、一つ下の世代として、ものすごく興味があります。
ホリエ:まず近況みたいなところから話しましょうか。最近のことって(後藤と)あまり話してないので。
後藤:そうだよね。ストレイテナーとアジカン、久々に長崎で対バンだったもんね。
ホリエ:『Sky Jamboree』。
後藤:スカジャンね。あれ、良いフェスになってたね。完全に育ちあがってるというか、素晴らしいよね。
ホリエ:ここ何年かは
後藤:根付いてる感じがすごくしたな。俺たち、10何年前……それこそ2004年くらいじゃないかな、最初に出たの。
ホリエ:それこそ、アジカンとかELLEGARDENとかがドカンと盛り上がってる頃だよね。
後藤:そうそう。俺らもフェスに死ぬほど出てた時期があって、そのとき以来だったんだけど、すごく良いフェスになってたね。うらやましいよ、あんなのが地元にあったら良いのにと思う。
ホリエ:今はちょっとフェスがいっぱいありすぎて、その地域のカラーみたいなものってなかなか出てこないじゃない? その点、スカジャンは長崎で、しかも会場の稲佐山って規模としてはこれ以上拡がりようのない場所だし、1万人くらいの規模で1ステージに全部のアーティストが出るから、タイムテーブルも被ったりがないっていう。そこにすごくこだわってるフェスで。
去年、終戦70周年の年に、俺たちが長崎出身っていうことでトリを務めさせてもらって、その翌年はアジカンをっていう主催者の希望で、テナーからバトンを渡すみたいな。
後藤:ありがたいです。それは本当に。でも、それを引き受けたら『SUMMER SONIC』の東京と被っちゃって、ソロのバンドが出られなくなっちゃった(笑)。
ホリエ:はっはっは!!
後藤:でも長崎行けてよかったよ、楽しかったしさ。
ホリエ:で、長崎でゴッチとゆっくり話したいって言ってたんだけど、打ち上げが結構カオスだったから。
後藤:そうだね。俺も若手にロックオンされちゃったから(笑)。俺が普段からホリエくんばりに若手を転がしてればさ、ああいうところでロックオンされないんだけどさ。
ホリエ:(笑)。
後藤:俺、なかなか若手の前に出て行かないから。
ホリエ:レアキャラだ。
後藤:完全にポケモンボールがバッシャンバッシャン飛んでくる状態(笑)。大変だったな、あのときは。
ホリエ:だからそのときは全然話せてないので、改めて近況の話をすると、今年はゴッチのソロ作品もあってツアーもあって。前作のツアーで見たときに、ゴッチのライブがめちゃめちゃ良かったんだけど、そのバンドでアルバムも作ったんだよね?
後藤:そうそう。で、今回のツアーもすごく良くて。でもあれなんだよね……俺、ライブに友達誘わないから。
ホリエ:あぁ~。
後藤:1回もホリエくんに「来て」って言ったことないと思うもん。アジカンにも誘わないからね、俺(笑)。
ホリエ:めんどくさい?
後藤:めんどくさいっていうか……わざわざ誘われちゃったら行かなきゃならない、みたいになるじゃん? 本当に興味があったら来るだろうみたいな。「行きたい」って言ってくれたらもちろん大歓迎!ってなるけど、自分から友達とかにメールして、「あれ、ゴッチからメール来ちゃった……」みたいな(笑)、「社交辞令で行かなきゃ」みたいになるくらいだったらさ、その席は観たいやつに譲った方がよっぽど良いわけじゃん。
ホリエ:それはそうだよね。
後藤:だから無理に誘わないようにはしてる。
ホリエ:でもアナウンスくらいはしてもいいんじゃない。他のアーティストの情報とかあまりチェックしてない人もいるし。特に俺はそうなんだけど、Twitterとかもうちのメンバーのしか見ないし……OJの深夜の与太呟きとかしか見てないから(笑)。
後藤:そうなんだ(笑)。俺は結構チェックしてるよ。ひなっちのインスタとか見て「あれ、ストレイテナー、今日ライブじゃん。行こうかな?」「でもなぁ」みたいな。
ホリエ:「でもなぁ」(笑)。
後藤:「今日、夜用事あるんだよなぁ」とか、そういう葛藤は一応あるんだ。誰にも言わないけど。
後藤正文 / ホリエアツシ 撮影=西槇太一
ホリエ:そういえば(後藤は)インスタにはあんまりあげてないよね。
後藤:なんていうか……自撮りとか恥ずかしいじゃん。
ホリエ:自撮りしなくたっていいじゃん(笑)。お気に入りのエフェクターとか機材とか普通にあげるだけでも良いし。
後藤:そうなんだけど。機材とかそんなに変わらないし、「また同じ機材撮ってるよ」ってただのアホだと思われるから。
ホリエ:(笑)。「スピーカーケーブル作ってもらった」みたいなので良いじゃん。そういうの見ると機材オタクの人たちとか、楽器関係者とか喜ぶだろうし。
後藤:あぁ~そうか。一応、新しいのを買ったときはやるんだけど、あんまり「いいね」がつかないんだよね、機材は。
ホリエ:え、それは気にしなくて良いんじゃない?
後藤:でも「いいね」の数って表に出てきちゃうからさ(笑)。たとえばホリエくんと一緒にこうやって写真撮ってアップしたとしたら、「あ、ホリエさんと久々ですね!」みたいな、ハートとかコメントとかいっぱいつくじゃん。そのあとケーブルを撮ってあげてもさぁ……
ホリエ:いいじゃん(笑)。
後藤:もう無言だよ、無言。静かに「いいね」はついていくけど、それはもう義理、義理チョコみたいな感じじゃん。
ホリエ:ノールック「いいね」はあるよね(笑)。
後藤:これが何のケーブルかもわかんない、よく見たらウナギかもしれない、くらいで「いいね」押してくるわけで(一同笑)。そう考えるとインスタも迂闊には上げられないな、みたいな。あと、インスタやってるとお洒落ボーイズ達の写真とか見ちゃうわけ。
ホリエ:あぁ~、はい。
後藤:カフェの写真とかさぁ、そういうのを見てると俺なんかは写真とか撮っちゃいけないんじゃないか?みたいな。iPhoneのカメラに釘を刺してトンってやった方が良いんじゃないかっていう気になるよ。インスタってみんなお洒落でさ。
ホリエ:統一感出してる人もいるよね。俺とか全然統一感出せないんだけど。
後藤:「◯◯という概念」とか出してきてるじゃん。
ホリエ:あれは無理やりね。一応シリーズ化した投稿があるほうがいいかなって。見る側も突っ込めるし。
後藤:でもあれ面白いよ、うん。……だから結構、情報も見てはいるんだよね。でもおじさんになってくると体が重くて(笑)、なかなかライブ観に行くぞって気持ちにはなっても、実際足が動くまで2週間くらいかかるから。
ホリエ:確かに(笑)。俺も最近はなかなか海外のアーティストとか観れてない。なんか行った? 最近。
後藤:ウィルコのジェフ・トゥイーディが家族でやってるバンドとか。息子も娘も、奥さん以外全員出てきてめちゃくちゃ面白かった。そういう洋楽は結構チェックして行くんだけど、邦楽はあんまり。だって顔バレするじゃん?
「ゴッチ観にきてた!」とかさ、俺観に行ってないのに観に行ったことになってることあるもん。メガネのやつが来てたらもう「ゴッチ来てた」ってなっちゃうっていう。
ホリエ:影武者いっぱいいるからね(笑)。
後藤:そうだよ! 俺、北海道かどこかにいるときに埼玉にいたことにされたんだから。
ホリエ:俺もあるよ。普通に友達から言われたり。
後藤:だってほら、ホリエくんはもう大船渡にそっくりさんがいたもん。
ホリエ:(笑)。FREAKSだっけ。あれはお客さん?
後藤:お客さん。もうビックリして。……大船渡のライブのときに「セッションしよう」ってお客さんをステージにあげたんですよ。
――はい。
後藤:そしたらギターのやつを見て、Raccoさんが妙にイジりはじめて。どうしたんだ?と思ったら、「お前ホリエに似てんな」って。最初は「何言ってんだ」「似てないっすよ」って言ってたんだけど、終わって物販にいるとき「さっきセッションありがとうございました」って、そいつが来たの。そしたら、「ホリエ!!!」ってなって(一同笑)。それで写真撮ったの。(※編集部注:インスタグラム参照)
ホリエ:まぁ。似てたね。あれは自分でもちょっと似てるなと思ったよ。
後藤:似てるし、寄せにきてるでしょ。あれは。
ホリエ:俺のこと好きなのかな? 俺のことを好きな人が似てるならいいんだよ。別に俺のこと好きじゃないやつが似てるのは癪だけどね。
後藤:でもそのシリーズもあるんだよ。実は寄せてるやつの方が似てなかったりする。
ホリエ:あぁ~。
後藤:だって俺のフォロワーの男の子たちなんか、俺より汚いもん(一同笑)。
ホリエ:それ腹たつよね。
後藤:そうなんだよ! 「お前、俺に寄せようとしてなんでそんなに汚くなっちゃうんだよ」って。しかもわざと汚してたりするじゃん。ゴッチはこれくらい汚れてるだろう、みたいな(笑)。
ホリエ:彼らは「ゴッチなんて小洒落てない」って思ってるわけじゃん。
後藤:そうそう、そうなんだよ! もう「ゴッチの真似」みたいに上げてる写真なんて、もう全員変に汚れちゃってるからね。でも、俺がブスじゃないってことを世間は知らない方が良いんだよ。その方が活動しやすいから。ホリエくんとかさ、細美(武士)くんや大木(伸夫)くんもそうかもしれないけど、付き合いの長い人たちは俺のブスじゃないところを知ってくれてるわけじゃん。
ホリエ:そうだね、メガネ取ったら伊藤英明に似てるとかね。
後藤:(笑)。昔よく言ってたやつね。……で、載るの? この話は?
ホリエ:わかんない(笑)。
後藤正文 / ホリエアツシ 撮影=西槇太一
『ソルファ』もまた60になったらやろうと思ってる(後藤)
~音作り・プロデュースや、ソロワーク、『ソルファ』のこと~
後藤:そうそう。entの新譜、聴いたよ。超かっこよかった。
ホリエ:ありがとう。
後藤:entとストレイテナーって、どういう割合でやってるの? すごく興味あるよ。
ホリエ:今回は5年ぶりに出すんだけど、その間にゴッチはソロを2枚出してて、今ガッツリ(ソロとバンドを)両方やってる状態じゃん。entの場合は、ストレイテナーが動いているときはentとしてそんなに動きたくもなくて、でもentの曲としてちょっとずつ作り溜めて行った結果、5年ぶりにやっと出せるっていう。だからわりと時間の経った曲もあるんだけど。
後藤:entの曲だと思って作ってた曲が、ストレイテナーにハマっちゃうことはないの?
ホリエ:わりと最初の段階から分けてるかな。
後藤:あ、そうなんだ。それは俺も一緒だね。「これはアジカンにはちょっと合わないな」とか。
ホリエ:ソロの方が、コードが結構多彩というか。アジカンってあんまりいっぱいコード使わないじゃん? わりと1コードでリフで展開していったりとか、サビも4つくらいでループしてっていう曲が多いけど、今回のソロを聴いてるとピアノでどんどん新しいコードを鳴らしてるなって。
後藤:うんうん。
ホリエ:俺が結構コードフェチであり、メロディ好きなので、「このコードにこのメロディが載るのか」みたいなことを感じたんだけど、それはアジカンには無い感じだなと思って。1~2曲めあたりからもう、ワクワクした。
後藤:なんていうか、開放弦鳴らしっぱなしとか、そういうのが好きで。コード名も知らずにやってるんだけど、基本的には。
ホリエ:俺もそうだよ。
後藤:それで後から調べたりね。で、アジカンの場合は音域を空けておかないとリフが出てこなくなっちゃうから……複雑なコード進行をするとあたっちゃうんだよ、どこかで絶対。不協和音も全然気にしないで建ちゃん(喜多建介)とか弾くし、整理が難しい。
ホリエ:アジカンの場合はコード譜みたいなのを作ったりする?
後藤:作るよ、一応。ルートしか書いてないけど。でもGotchバンドはメンバーの音楽の理解度が高いから、あの人たちは分かった上であてたりずらしたりしてるっていう。
ホリエ:学術的に音楽を理解してるっていうね。
後藤:そうそうそう!
ホリエ:ストレイテナーも、楽譜とかコードとかは全然打ち合わせせずにやってるし、entは一人でやってるものだから、全く気にしてないんだよね。もう、ずーっと同じアルペジオの中でコードが4つ変化してたりする。
最近はプロデュースとかもさせてもらうことがあって、プレイヤーとして色んなところで活動してる人、たとえば(佐藤)亮くんとか、majikoちゃんの現場でもギターを弾いてたりとかするんだけど、レコーディングの現場とかに立ち会うと、すごいよね。学術的に音楽をやってんなぁと。
後藤:そうだよね。
ホリエ:いいよね。俺たち知らなかったよ、ああいうの。
後藤:一応ちゃんと話したらわかるんだけど、でも……長嶋茂雄的なポジションにいたいわけよ。
ホリエ:わかるわかる(笑)。「ギャーン」とか「ポローン」とか擬音でいい、みたいな。
後藤:そう。誰か他に分かってる人がいるときは任せちゃって良いと思ってる。ソロのときだったら井上(陽介・Turntable Films)くんとか、シモリョウ(the chef cooks me・下村亮介)が超詳しいから。
ホリエ:ギターと鍵盤にそれぞれ詳しい人がいて。
後藤:だから任せちゃう。彼らはもう、右大臣と左大臣みたいなものだよね(笑)。
ホリエ:そういう活動があると、バンドだけをひたすらやるのとは違う意味があるというか。
後藤:そうだし、どうして長嶋茂雄でいたいかっていうと、奔放にやりたいから。学理みたいなものも確かに必要なんだけど、あれにはある種の檻みたいな部分もあって。平均律だって檻だと思ってるし、論理的なことってある種、人を縛ったりするから。「なんかわかんないけど良い!」みたいな立場のやつもいた方が、バンドって良くなる気がするんだ。
ホリエ:そうだね。
後藤:でもアジカンに戻ると、「なんだか良い気がする!」っていう感覚タイプが半分以上だから(笑)。そうなると俺が一生懸命……アジカンのときの方が色々と考えるよ。
後藤正文 / ホリエアツシ 撮影=西槇太一
ホリエ:俺もmajikoのプロデュースの現場に行くと、亮くんがいて、syrup16gの中畑さんがドラム叩いてたりとか、すげえメンツでやってて。俺はそこの現場に行くと、プロデューサーでありながら俺が一番知識がないから、めちゃめちゃ勉強して帰るっていう(笑)。
だから、そこでは俺は感覚的なことしか言わないんだよね。感性で「これはかっこいい」「これはナシかな」みたいにジャッジしていって。そこを信頼してもらえてる部分は、もしかしたらあるのかもしれない。
後藤:なるほど。プロデューサーにも色々あって、海外のプロデューサーなんて、譜面読めない人だっていっぱいいるでしょ? エンジニア上がりの人が多いから、どういう音像で録音するのか?っていうこと自体がプロデュースの仕事だったりする。だから、日本だけだよね。なんか作詞作曲も全部するような……
ホリエ:曲を作るような人、コンポーザーがプロデューサーだと認識されがちだよね。
後藤:そうそう。“後藤正文プロデュース”とかだと「ゴッチが曲書いてる」って思っちゃう人が多すぎる。
ホリエ:俺もプロデューサーとしての仕事では、そのバンドなりアーティストなりの魅力を、最大限に生かしたいっていうか。自分がそのアーティストを好きなんだっていう位置からサポートしたいっていうだけなんだよね。
後藤:それでいいんじゃない? リック・ルービンスタイルだから、それ。彼はファンみたいな感じに、「あれが聴きたい」とか「これをやって欲しい」って言ってるらしい。でもそれが大プロデューサーっていう。そういう人もいる。
ホリエ:うん。俺はentのときにはエンジニアの菅井(正剛)くんをすごく頼っていて。自分はイメージと自分でプレイするアレンジを頭の中で描いてるだけで、具体的に「こういう音とかどうですか?」とか、リズムやシンセの素材なんかも、エンジニアがアテンドしてくれるっていう、プロデューサー的な立ち位置でいてくれてるから、まさに海外っぽいのかもしれない。
後藤:なるほど。やり方もやっぱり色々あるよね。逆に俺は全部、一からやるし。
ホリエ:エンジニアもするもんね。
後藤:そう。最初にジョン・マッケンタイアとやったとき(アルバム『Can’t Be Forever Young』)もほとんど自分でやって。楽器の上手い人を呼んで弾いてもらったりするんだけど、それをまたジョッキジョキに切って並べ替えたりとか……ホリエくんから提供してもらった曲も全く変えちゃったしね。
ホリエ:あれね、歌が全く採用されなかったっていう(一同笑)。でも、その逆も面白いかもしれないよね。ゴッチが作った曲を、ent的に再構築するとか。
後藤:じゃあ“entリミックス”やってよ! で、俺もentの曲リミックスしようかな? そういうのもやってみたいよね。
やっぱりさ、バンドって20年もやってくるとだんだん……なんだろうね。ストレイテナーのこの間のアルバム(『COLD DISC』)も素晴らしいと思ったけど、ある種の型みたいなものが見えてきちゃうこともあるから。スタイルというかさ。
ホリエ:そうそうそう。ゴッチは「よかった」っていう感想のあとに、「次どうすんの?」っていつも言うもんね。最近。「今作すごい良かったけど、次のアルバム作れないっしょ?」みたいな。
後藤:ハードルを毎回上げていくなぁみたいなね。でも結局、みんなそういう感覚と戦っていくしかないんだろうね、20年もやっちゃうと。
ホリエ:うーん。そこでいうと、このタイミングでの『ソルファ』のリメイクってどういう経緯なの?
後藤:いろいろな考え方があって。まず最初の、作ったときの『ソルファ』に対して「もうちょっとできたな」っていう気持ちがあって。歌えてないな、とか、もっと良い音で録れたなっていうことを……だんだん思い始めたんだよね。当時は「やりきった!」と思ったんだけど、粗が見えてくるというかね。で、そう思ってるアルバムって2ndアルバムだけで。
ホリエ:あぁ、そうなんだ。
後藤:1stとかも若い音なんだけど、あれは「若かったから」って言い切れるし、『ファンクラブ』以降っていうのも自分たちとしては納得してて。だけど、『ソルファ』に関してはやりたいことと身体のバランスがすごく悪い感じがしてたから。
ホリエ:レコーディング的には結構作り込まれてた印象だったけど、リメイクアルバムは全体的にライブっぽいというか、円熟した大人っぽさよりもパワフルさみたいなものが加わってるなって気がしたんだけど。
後藤:そうだね、うん。
ホリエ:元の『ソルファ』は綺麗すぎてバンドっぽくない、みたいな感覚があったのかな?って。
後藤:作り込み自体は、実は今の『ソルファ』の方が全然作り込まれてるんだけど、なんか前の『ソルファ』はみんなで下駄を履かせてもらった感じがあるというか。コンピューターワークス、ミックスワークによって良くしてもらってる部分もたくさんあったんだよね。今回はそんなにやらなくて良いようにしたかったのはあったな。
ホリエ:それは自分もエンジニアとして録る側になって分かってきたことがあったり?
後藤:そうだね。エンジニアとかプロデューサーをしていると、「ココはもっとできるな」「ココはこんなことしなくていいのにな」って気づくし、興味も大きく変わってたりとかね。
そういう面をアップデートしておかないと――今でもバンド紹介で「はい、ASIAN KUNG-FU GENERATIONです!」って言われたときに、絶対に「リライト」が掛かんのよ。それが2004年の曲でずっと出て行くのも癪だよね、みたいな気持ちも少しあってさ。もう全然変わっちゃってるのに。
ホリエ:すげえコンプかかってんなぁみたいな感じだもんね。
後藤:そうそう「うっわ!」みたいな、圧がすごい(笑)。昔はね、コンプをかけるっていう、そういう時代だったからね。……それに、新譜自体もみんな作りすぎなんじゃないの?みたいな、本当に新しいのかよ?みたいな気持ちが自分に対してもあったし、新曲=新しいっていうことなのか、一番最近作ったっていうだけじゃないか、みたいなさ。
もしかしたら、感覚としては昔の曲の方が「新しい」っていうこともあるんじゃないか?とかさ。それは世界中の音楽にいえる気がしていて。なんか、新しさっていうものに対して、みんな間違えてるんだと思う。どんどん曲を書いて、どんどん曲が増えるから埋もれちゃって。
ホリエ:そうだよね。
後藤:曲が多すぎるんだよ、世の中に。だからもう一回自分たちの演奏をして、スタンダード化していく、みたいな。『ソルファ』もまた60歳になったらやろうと思ってるんだけど。もう一回くらい……60、80、100だよ(一同笑)。生きてる奴らだけでやるっていう。
取材・文=風間大洋 撮影=西槇太一
後藤正文 / ホリエアツシ 撮影=西槇太一
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04.君の街まで
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07.ラストシーン
08.サイレン
09.Re:Re:
10.24時
11.真夜中と真昼の夢
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『ソルファプラス』- a day with AKG -
1.「夕暮れの紅」Recording Documentary
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2017年1月10日(火) 日本武道館
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2017.1.11 Releasse
品番:初回盤デジパック TYCT-69108
1.How To Fly
2.悲しみが生まれた場所
3.Autumn Nightmare
4.Healer
5.Perfect Light
6.The Awakening
7.Forever and Ever
8.Imagine
9.素子-Soshi-
10.Sunset Moonrise
11.Silver Moment 12MIX
「Autumn Nightmare」配信リンク
iTunes URL:(http://po.st/it_ent_element)
レコチョク URL:(http://po.st/reco_ent_an)
The Birthday×ストレイテナー
2017年3月16日(木)
時 間:開場 18:00 / 開演 19:00
会 場:恵比寿 LIQUID ROOM
出 演:The Birthday ストレイテナー
主 催:J:COM/エニー
企画制作:福和家プロモーション
※未就学児童入場不可
お問合せ:
JCOM
一般販売 2017年1月28日(土) 〜