『ポッピンQ』特別インタビュー連載 「GO TO POP IN Q」vol.4 音楽担当Team-MAX水谷広実氏、片山修志氏が語る 「今求められる劇伴のかたち」

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 ©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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東映アニメーション60周年記念作品と銘打たれた、オリジナル劇場アニメーション『ポッピンQ』。中学三年生の卒業式、ダンス、異世界などワードは散りばめられているが、未だこの作品の実態は公にされていない。幸いにして試写を拝見する機会を得たが、これは恐ろしく繊細な作品だと思った。一見すると東映アニメらしい娯楽アニメ。だがそこに内包されているのは出会いと別れと、思春期のどうにもならない葛藤と衝動だった。この作品を作った人たちに会ってみたい。そして「何故この仕事についたのか」から作品を紐解いてみたい。そう思い、動かしだした対談インタビュー連載。第四弾は、本作の音楽担当であるTeam-MAXの水谷広実氏、片山修志氏。宮原監督絶賛のその音作り、さらに言えば劇伴を作るとはどういうことなのか?

この連載から少しでも『ポッピンQ』という作品が見えれば……。 さあ、「POP IN Q」を始めよう。


SPICEアニメ/ゲーム編集長 加東岳史
 

左:水谷広実氏 右:片山修志氏

左:水谷広実氏 右:片山修志氏

――『ポッピンQ』音楽制作担当、Team-MAXの水谷広実さん、片山修志さんです。今回は皆さんがなぜ音楽をお仕事にされるようになったかと言うところから、お話をお伺いして、『ポッピンQ』まで行ければなと思っています。

水谷:よろしくお願いします。

片山:同じくよろしくお願いします。

――水谷さんは音楽に触れるというか、生業にするまでのきっかけってどういう導線だったりするんでしょうか。

水谷:音楽に触れるってなるとだいぶ子供の頃になるんですけれども、元々楽器を始めてて作曲をやる人が、多分多いと思うんですが、僕はどちらかと言うと作曲をやりたくて楽器を始めたんですね。そのきっかけはやっぱりアニメやゲーム音楽で、作曲したくてピアノを習いだしたんです。

――それは特殊な印象がありますね。

水谷:そうかもしれないですね。それで大学でもいきなりプロになろうという考えもなくて、福岡の建築系大学に入ったんですけれど、やっぱり音楽やりたいな、と思って東京出てきちゃいました。それでTeam-MAXの主宰である高梨康治さんと東京で出会いまして、そこからお仕事をチラホラやるようになった感じですね。

――片山さんは?

片山:僕はピアノやってる姉がいまして、姉の影響ですね。自分は覚えてないんですけど自分から習いたいと言ったらしくて、小学生くらいまではお稽古に通うぐらいだったんですけど、僕の世代だとありがちな話ですが、『ファイナルファンタジー』が流行ったんです。FFⅧのときにそれまでのファミコンぽい音からオーケストラになって、それを聞いて、「こういう仕事いいな」って思ったのがきっかけですかね。元々音楽に興味はあったんですけど、そういう仕事をしてみたいと明確に思ったのはそのあたりですね。

――お二人ともアニメやゲームがきっかけなんですね、そうすると。

水谷:そうですね、仕事をしたいという気持ちになれるのはそこら辺ですね。

――僕らの世代って学校のピアノで『ドラゴンクエスト』の曲とか弾けるとヒーローになれましたよね。水谷さんは「このゲームの曲!」とかあるんですか?

水谷:僕も世代は同じなんで、ドラクエもそうですけど、親が家でクラシックを聞いていたんでクラシックには馴染みがあったんです、でも小学生の頃とかって学校で習うクラシックとか、親が聞いてるクラシックってちょっと遠いものだったりするじゃないですか、でもファミコンで『ウィザードリィ』って言うゲームがありまして、羽田健太郎先生が音楽を作ってらして、それがバロックだったんですね。それで「あ、これはバロックっていう音楽ジャンルなんだ」というのを知ってからのめり込んでいったというか。それでクラシックを習うためにはピアノか! みたいな。そういうきっかけですね、ゲームではドラクエもみんな好きでしたけど、決定的だったのはもしかしたら『ウィザードリィ』かもしれないですね。

――『ポッピンQ』の音楽を作っている人が『ウィザードリィ』からっていうのが、なんかすごいですね。

水谷:レベルどれだけ上げても首切られて即死したりするゲームなんですけど、僕は好きでしたね(笑)。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――で、そのままお二人ともTeam-MAXに入られて、お仕事をしていくって流れでしょうか。水谷さんはそのまま……?

水谷:当時はTeam-MAXって言う名前は無かったんですけれど、僕と高梨さんの二人でやってたんですけど、Team-MAXになってから新しい子を入れよう、みたいな流れが出来てきて、それで面接したのが片山っていう。

片山:プー太郎してたんです(笑)。

――それは自分から面接に行こうと?

片山:専門学校に通ってて、で卒業した後にプー太郎していた時期がありまして、専門学校でお世話になっていた教務主任みたいな方から、こういう募集が来てるけど、興味があったら連絡をくださいって言われて、デモテープを送ったのがきっかけですね。

――デモテープなんですね。

水谷:そうですね、基本的に紙資料だけではわからないので。

――で、面接がそのうちあって、みたいな?

水谷:そうですそうです。

――実際、お二人ともアニメーションやゲームの作曲をするというプロのフィールドに立たれるわけなんですけれど、初めてやったときというか、プロのお仕事をされたときに印象が違ったとか、やってみたらこんなだった、っていうのはあります?

水谷:自分のイメージではどうしてもライブを見たりとか自分らが演奏する感覚のままだったんですが、言っちゃえばこの仕事ってレコーディングの業界じゃないですか。この業界に入ってみて、レコーディングと生演奏の違い、その、僕らはバンド練習するし、オーケストラの人はリハーサル何回もするし、家でいっぱい練習してきて、その曲を皆にお披露目するって言う感覚があるんですけれど、レコーディングは全部その場でやっていくので、たとえばその場で初見で譜面見て、演奏したらそのままCDになっちゃうみたいな、あまりのスピードと言うか、プロの実力の凄さというのにちょっとビックリしましたね。

――片山さんはいかがですか?

片山:僕も初見はビックリしましたね。始めてみたとき。僕も楽器弾くんですけれども、事前に練習して発表会なりなんなりに臨むというのが当然と言うか、そういう流れで育ってきたので、最初にプロの現場を見学させてもらったときに、その日初めて見る譜面を奏者さんたちが何十曲っていう曲数を二時間、三時間で弾いて帰ってく、みたいな。唖然としてしまって。スタジオミュージシャンて、こういう人たちなんだ……ってビックリしたのを覚えてます。

――スタジオミュージシャンだと、作品に名前もそんなに出ないですよね。でも圧倒的に上手い、って言う印象がありますね。

水谷:そうですね。

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――実際今回の『ポッピンQ』のお話は、どういう流れで曲を作ることになったんでしょうか?「こういう作品がありますよ」っていうのが最初に?

水谷:そうですね、まずご紹介でこういう作品がありますよという話で、プロデューサーの金丸さんと宮原監督とお会いしたんですけれど、金丸さんが僕が音楽担当したTVアニメ『のんのんびより』見てくださって、そういうこともあって、すんなりと最初の話は。で、「お願いしてもいいですか?」という形になりました。

――その前に流れとしては企画書だったり、キャラクター設定というのがあって、絵ができてからっでもないんですか? 台本に合わせてって感じなんですか?

水谷:打ち合わせは簡単な絵コンテがありましたね。

――それで、「ここにこういう曲が」みたいな打ち合わせが行われると。

水谷:はい、概要がわかるだけの動画はありましたね。

――で、今ここに使用音楽の一覧をお借りしたりしてるんですが、曲で言うと51まで、AB分かれているのも含めると53トラックですね。

水谷:あ、でもこれには歌ものも入っているので。実際はもう少し少ないかな?

――それでも50トラックくらいは作るってことですよね。本当に素人質問で申し訳ないんですけれども、どれくらいの製作期間で作られるんでしょうか?

水谷:今回は二人がかりで……えーと……

片山:メインテーマとかも作るの早かったですよね。

水谷:トータルの時間で言うと一ヶ月くらいなのかな。

片山:本格的だと、5月頭が打ち合わせだったんで、一ヶ月くらいですかね。

――僕らからすると、信じられないくらい早いんですけど、これって普通のペースなんですか?

水谷:もっと早い方もいらっしゃると思いますよ。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――今回宮原監督は「とにかく音楽がいいんだ、素晴らしいんだ」ってインタビューの中で何度もおっしゃってて。

水谷:ありがたい話です。

片山:メインテーマはいいですよ!(笑)。

――そうです、メインテーマが本当に良いって話で。曲の作り方としてはどうだったんですか?セッションの中でこういうフレーズで行こうというのか、資料とかキャラクターを見ながら膨らましていくとか、色々やり方はあると思うんですけど。

水谷:最初はティザームービーの初期段階のものを見せていただいたんです。本編のコンテとは別に短いのを見せていただいて、ここでこういうふうにしたいんだっていう監督の思いであるとか、プロデューサーのこういう風に見せたい、この作品の彼女たちに青春をこう見せたいんだっていうのをすごく事細かに熱く語っていただいたんですよね。それをもとに僕の脳みそで、音符に変換したというか、ザックリいうとそういう感じですよね(笑)。

――特に今回の『ポッピンQ』でいうと、テーマは「青春」「思春期」「卒業」、あと金丸さんは「出会いと別れ」が今回のテーマだっておっしゃってたんですけど、ご覧になっていかがですか? 

水谷:今回は二人の曲の分け方も含めて、大成功じゃないかと思ってるんです。最初担当の分け方も漠然としてたんですけれど、ちょうど僕らの音楽の特性とかを話し合ってやった結果、監督の作りたい映画とピッタリハマった感はすごくあって、それが結果説得力のあるものになっていると思いますね。

片山:僕が担当したのは時の谷に入ってからのポッピン族目線的な曲が多かったんです。5人のテーマに関しては水谷さんの曲ができて、筋があったうえでの、時の谷の音楽だったんで、言い方が失礼かもしれませんけれどわりと自由にやらせていただいたというか(笑)。

水谷:片山くんは異世界担当ですね!

――そこはパッキリ別れている気がしますね。作品自体も現代と時の谷でパッキリ別れている作品なので、そこは凄い観やすかった気がします。

片山:これは色んな所で言ってるんですけれども、ヒロイン5人の掛け合いと言うか、重要なシーンだったりするところの曲を担当してないんですが、だからこそ試写の時とか、お客さん目線で見れて、何回もウルッと来てましたね。

水谷:オレが作ったところだからだ(笑)。

片山:客観的に見れちゃうんです。

――そうか、自分が関わってないところに関してはお客さんになれるんですね。

片山:後半のシーンも凄い好きなシーンがいくつもあるので、面白いですね。

――それぞれから見たお互いってどうでしょう? どういう先輩、後輩なのかとか。別に作曲家としても、でも良いんですけれど。

水谷:人間関係の先輩後輩は普段の日常的な話なんですけれど、音楽家としての先輩後輩としては、なんかお互いの良いところがはっきりと見えたなっていうのがこの作品ですね。それまではバラバラに仕事をしてることが多いので、ちょっと絡んで一緒にやろうということはありましたけど。音楽的な絡みはそんなに多くなくて。今回はそれがすごく「片山修志、こういう曲任せたら、すごく頼りになるわー」とかそういう気持ちがすごく生まれましたね。

片山:そんなこと思ってたんですね?

水谷:繊細な音符の配置の仕方をしていくんですよね、『ポッピンQ』はそれぞれのキャラクターがそれぞれに想いを持ってるよっていう部分を出している作品なんで、そういう繊細な部分は彼に助けられたというか。それをすごく感じましたね。

片山:僕は水谷さんが音楽担当した『トリコ』って言うアニメ作品前後から現場を見させてもらっているんですけど、その時からの印象なんですが、音楽って3分から5分くらいあったりするんです。その16小節だったり32小節だったりの繰り返しと展開で成り立っているものなんですけど、水谷さんは4小節とか8小節とかの短いところでスパッと決めて、印象的なメロディーを当ててくるのがすごい上手だなと。『ポッピンQ』のティザームービー見せてもらったときに、「あ、水谷さんだな」って思いましたね(笑)。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――それぞれが自分の作った曲で、これが一押し、このシーンの音楽がっていうのがありますか?

水谷:シーンが出来上がってるときに、監督やプロデューサーが見せたいものはすごく伝わってきてるので、キメのシーンなんかに関してはすんなり作れましたね。自分的に気に入ってる僕の曲は、最初に変身するところがあるんですよ、それでそれぞれの特徴、特技が判明するシーンがあるんですが、そこのシーンは結構華やかに作りましたね。見ている人からしたらアクションシーンなんで、どっちかって言うと効果音的な聴き方をされるかもしれないんですけれど、作り手としては凄い時間をかけて丹念に作りました。

片山:個人的なシーンは水谷さんが言ったシーンの直前なんですけれど、ちょっと緊迫感ある雰囲気のシーンがあって、そこからゲームスタート! って一気に場面が動くところがあるんです。そこは「ゲームっぽく」という監督のオーダーがあったんです。最初は結構シリアスなハリウッド映画っぽく作ったら、色の付いた絵をみたら結構コミカルになってて、そこに合わせて曲もコミカルにしたら真面目に戦ってるけど可愛らしいシーンになって、「ハマった」と思いましたね。

――これも皆さんにお聞きしてるんですが、今年は非常にアニメーション、邦画が豊作な2016年だったと思います。『君の名は。』が先日200億を突破したというところがあり、『この世界の片隅に』があり、『聲の形』がありというところで、『シン・ゴジラ』も含めて邦画が結構豊作な年だと思っているんですね。その中で来年1月公開だったのが、急きょ前倒しになって12月、今年になって2016年劇場アニメのラインナップに入ったんですけれど、、『ポッピンQ』という作品をどう捉えてらっしゃるかっていうのをそれぞれお聞きしたいんです。

水谷:今挙げられた有名作品というか、それぞれもそうなんですけど、作品の向いてる方向が全部違うというか。『シン・ゴジラ』なんてどこ向いてるんだ? っていう作品だと思うんですけど、そういう風に向いている方向が違う中で、「2016年の締めですよ」って思ったらすごい綺麗に締められる、爽やかな気持ちで来年を迎えられる作品じゃないかと。今年の終わりであり来年の始まりであるっていうのはこの映画の終わり方と全く一緒だなって言う意味で、スッキリとした気持ちいい作品になれると思いますね。

片山:ラブ・ストーリーとは違うかなっていうのは正直な印象と言うか感想で。いろんな世代にも見れる作品という宮原監督の言葉は共感できるし、声優さんもおっしゃってたんですけど女性も見られる。プロデューサーお二人のお話だとプリキュアを見てきた、大人になりかけてる世代にも届けたいんだと。

――変身して可愛い女の子が頑張って、友情があって……って気軽にペラっと見れちゃうんですけど、見終わったあとに「僕はこの年代のときどうだっただろう」言うのを凄い思いながら帰ったんです。金丸Pもオタクだった自分に対して「でも今はこうなってるよ」みたいなところはやっぱり思って作っていると。プリキュアだったりアニメーションが好きだった人たちに対しての、僕なりの「アニメーションってこうじゃん」って言うメッセージは込めたかった、そこは宮原監督にお任せしたみたいな話をしてて。

水谷:うんうん、それは凄いわかりますね。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――アニメーションの音楽を作るって、概念的な話になるんですけれど、どういうもんなんでしょう。ドラマもある、実写映画もある、例えばドキュメンタリーだったりバラエティでも絶対に音楽ってあるじゃないですか。そこに対して、アニメーションの音楽を作るっていうのは、どう思われてるんでしょうか。難しい質問になりますが。

水谷:アニメーションというか、音楽自体が今の時代ですけれどもジャンルレスにすごくなっていると思っていて。昔はゲームミュージックならこう、歌謡曲はこう、アメリカのロックはこうみたいなジャンルが明確にあったと思うんです。でも今はジャンルレスになっていて、どの音楽もすべてが融合できるし、どの映像にもどのジャンルの音楽でもハマる、みんなやり尽くしてきたところで今のアニメーションの音楽をどう作っていくかっていうのは、ジャンルじゃないなというか。

――ジャンルじゃない。

水谷:人に刺さる音楽ってジャンルじゃなくて、アニメーションに合う音楽を作るのもそうなんですけど、音楽の新しさって最近ないと思うんですよね。あんま感じないというか、世間で流れてる曲もどこかで聞いたことのあるやつが多いし。そこに新しさって誰も求めてないんじゃないかと思って。1960年代って新しいものに挑戦したりとか、まだ楽器とかアンプとかも含めて、未発達なものが多かったから、みんながチャレンジしてるものがすごく多くて、だからこそ前向きな姿勢で、受け取る側も新しいけど受け取る、わかんないけど受け取る、みたいなのがあったと思うんです。今の場合は受け取る側がどっかにあるものを求めている部分があって、それが自分の中でも絶対あったりするんですよ。僕にとってのアニメーション音楽っていうのはとにかくジャンルの古い新しいじゃなく、「この作品に刺さる音楽」って言うことだけを考えて作らなきゃな、と思っています。新しいことにチャレンジするのも良いんですけど、そういうのって皆が気づかないんじゃないかなと。情報が溢れ過ぎて。

――作品とユーザーに向かって真っ直ぐ行くっていうところですね。

片山:僕が言いたいことは水谷さんとかぶっちゃうんですけれど、僕はアニメーションも実写も分けないように考えていて、実写だから、アニメだからという風には考えてないようにしてるんですけど。やっぱりこう絵があること、絵の情報って凄い強くて、人間は目の情報が8割9割らしいので、絵があって、背景があって、役者さんのキャラクターがあって、声があって。それでもまだ演出的に足りない部分が音楽になるのかな、って思っていて。そういう背景の一部、色の一部みたいなものが目指せて。究極を言っちゃえばお客さんは鳴っていることに気づかないんだけど、音楽があってよかったなっていう矛盾みたいなところが美しいのかなと思う瞬間もあったりして。かといって『スター・ウォーズ』みたいな派手なのも作ってみたかったりするんですけど(笑)。憧れはします。

――誰でも口ずさめちゃう曲とかですよね。

片山:そうですね。でも時代的にそうでもないですし。背景の一部として、ピタッとハマる音楽、メロディーはあると思うんですね、絵が求めている音みたいな。それを見つけるのがやっぱり仕事かなと。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――最後の質問ですけど、先程も言いました「思春期の女の子たちの青春と冒険と出会い、成長の話」なんですけど、思春期のころ、15歳ぐらいの自分に今の自分から何かメッセージを送るとしたら、なんて送ります?

水谷:すごい質問ですね、すぐに答えられるかなぁ……。

片山:「彼女作れ」ですよ!青春は一度しかないですからね!

水谷:そこなんだ(笑)。自分は……アドバイスだったら「ドラクエやりすぎだぞ」って。僕、受験の当日朝にドラクエ4をやってたんですよね(笑)。

――世代ですね。冬でしたよね……そうそう、90年2月11日。僕も覚えてます。

水谷:ああいうときに出すかなー、4月に出してほしいなって(笑)。

――今回インタビューさせていただいた方、殆ど皆さんブレてないんですよね。これが好きでこれをやろうと思って、こうなりましたって。作品を作る方がブレてない方が多くて。

水谷:なんか俺「吹奏楽部入っとけよ」しか言えないかも知れない。

片山:なんかアドバイス系になっちゃいますね。

水谷:中学3年生の自分だと、「もっと自分に自信を持てよ」って言うかな。中学3年生なんて自信ないですからね。

――無いですね。彼女もいませんでしたし。僕らの世代って、そんなに未来が無茶苦茶明るいわけでも、何かに秀でてるわけでもなかったから漠然と不安と期待があった気がします。

水谷:特に同じ世代だとゲーム産業とかも産業として認められてなかった時代じゃないですか。多分片山くんの時代までくるとゲーム産業って一大コンテンツ事業になってますよね。

片山:ちょうどピークだったんですかね。

水谷:僕はスーパーファミコンにちょうど変わるころ。テレビもみちゃダメ、漫画見てるとバカになる、とかかろうじて残っている世代ですよね。

――テレビまんがって言われてましたよね。アニメーション。

水谷:アニメを見ながら「マンガ」って言われてた時代ですね。

――そう考えると、時代は動いてる感じがしますね。多様性もあって。そんな人達が作った『ポッピンQ』という。

水谷:そう、だから今の若い人たちがみて何を感じるのかは僕らも興味ありますね!

インタビュー後記 
劇伴を作る、というのは僕らアニメを見る立場からしたらどれくらい大変なのか想像がつきません。ですが作品のシーンを彩り、印象を与えるのは間違いなく音楽です。作品に添いつつ、決して悪目立ちせずに主張する。そのバランスを見極める仕事。音楽の達人の印象を受けました。水谷さんがおっしゃった「作品に刺さる楽曲を作る」という気持ちは、全てのクリエイターが念頭に入れなければいけないモノのような気がします。次回第五段は総作画監督の浦上貴之さんです。お楽しみに。

インタビュー・文・撮影=加東岳史

作品情報
ポッピンQ
©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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2016年12月23日(金・祝)より全国ロードショー
監督:宮原 直樹 
キャラクター原案:黒星 紅白
企画・プロデュース:松井俊之/プロデューサー:金丸裕/原作:東堂 いづみ 
脚本:荒井 修子/キャラクターデザイン・総作画監督:浦上 貴之 
CGディレクター:中沢大樹/色彩設計:永井留美子/美術設定:坂本 信人/美術監督:大西 穣/撮影監督:中村俊介/編集:瀧田隆一
音楽:水谷 広実( Team-MAX )、片山 修志( Team-MAX )
主題歌:「FANTASY」 Questy(avex trax)
アニメーション制作:東映アニメーション 
配給:東映 
製作: 「ポッピンQ」Partners 

 【キャスト】
瀬戸麻沙美、井澤詩織、種﨑敦美、小澤亜李、黒沢ともよ 
田上真里奈、石原夏織、本渡 楓、M・A・O、新井里美 
石塚運昇、山崎エリイ、田所あずさ、戸田めぐみ 
内山昴輝、羽佐間道夫、小野大輔、島崎和歌子
 
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