シンガポールの新星、Charlie Limの歌声に会場中が酔いしれた夜

レポート
音楽
2016.12.27
Charlie Lim 公式サイトより引用

Charlie Lim 公式サイトより引用

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今月7日、Charlie Lim(チャーリー・リン)が、青山の月見ル君想フで約4年ぶりとなる来日公演を行った。

Charlie Limは、シンガポール出身のシンガー・ソングライター。14歳の時にオーストラリアに渡り、メルボルンの大学では、ジャズ・パフォーマンスを専攻していたという。2011年にデビューEPを発表し、2015年にはダブルEP、『TIME/SPACE』をリリース。現在はシンガポールを拠点に活動している。

初めて彼の作品を聴いた時、マシュマロのようにふんわりとした優しい歌声と、ジャズ、フォーク、ソウル、ブルースなどのジャンルを超越した、心地よいサウンドに胸が躍った。

最新作『TIME/SPACE』の前半、『TIME』は、どこか内省的な歌詞とメランコリックなメロディーがストレートに響いてくる。中でも、「Bitter」の曲展開と美しく激情的なファルセット・ヴォイスには、聴くたびに心を揺さぶられる。

 

一方『SPACE』では、エレクトロニックなビートと奥行きのあるサウンドスケープが広がり、より実験的な音作りが印象的だ。

 

前回はバンドを帯同しての来日だったが、今回はソロでのステージ。ソロの場合はセットリストを決めずにステージに立ち、その日の雰囲気やオーディエンスの反応を見ながら演奏曲を決めていくと、MCで語っていた。

独自の解釈によるマイケル・ジャクソンの「Billie Jean」からフランク・オーシャン「Thinkin Bout You」まで、音楽の引き出しの多さを感じさせるカヴァー曲を織り交ぜながら、自身の楽曲は、CDで聴くのとはまた一味違うアレンジで聴かせてくれた。ギターだけでなく、時にピアノを弾きながら歌い、その場で声をサンプリングしてループさせたり、エフェクトをかけて声色を変えたりするところなどは、聴覚のみならず、視覚的にも楽しませてくれた。シンプルなアレンジだからこそメロディーの良さが更に際立ち、繊細ながら包容力のある彼の優しい歌声に誰もが酔いしれていた。「次はどの楽器にしようかな……」と、曲間で少し悩むシーンがあったが、決め込まずに即興的な演奏が出来るのは、それだけライヴを積み重ねてきた証ではないだろうか。

今年は本国でメジャー契約を結び、現在、ニューアルバムの制作準備に入っているという。彼の頭の中で溢れているであろうアイディアやサウンドが次作ではどのように具現化されるのか、今から完成が待ち遠しい。

作品情報
Charlie Lim『TIME/SPACE』
 

1.Intro 
2.Blah Blah Blues
3.Choices 
4.Bitter 
5.Light Breaks In 
6.Conspiracy 
7.Knots 
8.Nothing More Cruel 
9.I Only Tell The Truth 
10.Outro 
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