東京アンティーク散歩vol.2 東日本橋にある"モノ好きのためのサンクチュアリ"『No CONCEPT』

2016.12.26
レポート
アート

アンティークショップ『No CONCEPT』

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問屋街のはずれに出現する、不思議な空間

東京は広い。そして深い。新宿や渋谷といったメジャーな地区から一足のばすと思いがけない街があり、独特な雰囲気を味わうことができる。特に東京の東側、昔ながらの問屋街である浅草橋~馬喰横山界隈はおすすめだ。路上には洋服や雑貨、装飾品があふれており町歩きを存分に楽しめる。ほとんどの店が卸し専門だが小売店もあり、最近は独創的な雑貨店やギャラリーカフェ、アンティークショップなども混在する注目のエリアだ。

そんな問屋街のはずれ、東日本橋駅の裏通りを入ってゆくと、大きなガラス窓をそなえたレトロなビルの一階に不思議な店が出現する。ウィンドウの奥には工具や洋服、さまざまな物が置かれており、 なんの店だろう?と覗かずにはいられない。だが、みればみるほど「これはなに? あれは?」が止まらなくなる。日ごろは目にしない不思議な品々がところどころに並んでいるからだ。

思い切って「これ、なんですか?」とお店の人に聞いてみると、意外な答えが返ってきた。

「私達にも用途はわからないんです。」

ここが今日ご紹介する異色のアンティークショップ『No CONCEPT』である。

 

わくわくしながら"ノーコンセプト"でモノを選ぶ

No CONCEPTはその名の通り、コンセプト、つまり特定の指針を 持たないアンティークショップだ。ヨーロッパのアンティークやジャンク品を多く扱っている。仕入れの段階から詳細不明の"よくわからない物"もあれば、ガラス瓶、時計のパーツ、工具・ 道具類、食器、人形、洋服、、ありとあらゆる品物が並ぶ。これらはオーナーの兼子氏がヨーロッパの蚤の市を回り、好きと感じたら何でもあり、の気分で集めたアンティークである。

オブジェ的なパーツ類

兼子氏は元美術教師であり、その後デザイナー職を経て、個人旅行をきっかけにヨーロッパの蚤の市に通うようになった。仕事柄、工業デザインやタイポグラフィーが好きで、蚤の市で見かける機械のパーツや古工具、玩具など、丁寧な手仕事で作られた古いものに心を奪われた。用途がわからないものも心魅かれれば買い集め、ひたすら"好きなモノ"の収集に精を出した。そのうちに蚤の市仲間と意気投合、モノ好きが高じた膨大なコレクションを売る店『No CONCEPT』を仲間とともに東日本橋に開業した。

「ここにある物は頭で考えて選んでないんです。見た瞬間にわくわくするのを感じて買ったものばかりで、、ブランドや従来の価値観にこだわらず、物の存在感をいいなあって思うことが僕には大事なんです」と兼子氏は言う。

「たとえば道に落ちてる石ころや木の欠片だって存在感がいいなあって思うなら、いいものだと思う。なんでもないモノの中に楽しさがあるんですよ。僕は蚤の市のコレクターから始めて、開業したんだけど、、店をやってもマーケティング的なコンセプトを持たずに、アンティークを楽しみたいと思っています。だからこの店の名前はNo CONCEPTなんです。」

イギリスの古いパーツ、Lead seal. 反物をとめていた金具

店内は一見雑然としているようだが、よく見ると細かくカテゴリー分けされ、商品には説明プレートと値段が明確に表示されている。見落としそうなパーツにも丁寧な説明が添えられ、「詳細不明」と書かれているものもある。ひとつひとつのものが大切に扱われ、小さな博物館のような雰囲気すら漂う。これほど細かく商品に説明付けするのは大変な手間だ。

兼子氏は「僕自身が買い手だったときに、アンティークを買うときに値段や説明を聞きたくても聞きにくいことが多かったんです。ここではお客さまに安心して商品を見てもらいたい」と語る。商品の価格設定もリーズナブルで、"買い手感覚"を重視する心使いがうれしい。

リードフィギュア。錫製の小さな戦士たち

感性の羽を伸ばし、アンティークを自由に遊ぶ

古い工具や工業部品のパーツなどが目立つNo CONCEPTの品揃えから、男性客がメインかと思いきや女性客も多いという。男女問わず、ブランドや歴史、カテゴリーにこだわることなく自分の好みのものを探しにやってくる。つまり感性重視の人々だ。

昔の使い捨てパイプ。クレイパイプと呼ばれる。

魅力的な形の栓抜き

モノそのものの存在感を喜んでくれる人との会話はとても楽しい、と兼子氏は目を輝かせる。「美意識は人それぞれですよ。自由でいい。いろんな人がいるから。価値があると決まった骨董品もいいけど、自分自身が好きと感じるモノって大事です。僕らはアンティークやジャンクのわくわく感の橋渡しなんです。僕らが見つけたわくわくする物に、お客様もわくわくしてくれる。そんな出会いに僕らはもう一度わくわくしてるんですよ」

この店ではアンティークのウンチクはいらない。審美眼も不要だ。シンプルに好きなものは好きと、わくわくすればそれでいい。モノ好きのためのサンクチュアリだ。何にもとらわれず、No CONCEPTで感性の羽を思い切りのばして欲しい。

店内は広く、見ごたえ十分

 

店舗情報
No CONCEPT

場所:〒103-0004東京都中央区東日本橋1-3-5 三光ビル1F
TEL/FAX:03-5829-6113
営業時間:11:00~21:00(年中無休...たまに休みます)

公式ホームページ:http://www.no-concept.info/
公式Facebook:https://www.facebook.com/noconcept2012/