川平慈英たちが創るパワースポット! ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』顔寄レポート
『ミュージカル ビッグ・フィッシュ』顔寄より
ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』 が、2月7日より日生劇場で上演される。
先日、都内の稽古場で行われた “顔寄”と言われる全スタッフとキャスト集結の場を取材した。始まる前から親子のように言葉を交わしふざけあう川平慈英と浦井健治、すでに熱い眼差しで打ち合わせに臨んでいる白井晃、笑顔で声をかけあうキャスト達からは、外の寒さを凌ぐ温かなエネルギーを感じられた。
ティム・バートンの最高傑作
原作となるティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』は、2003年に公開されたファンタジー映画だ。2013年にはブロードウェイでミュージカル化され、本作でついに日本初舞台化を果たす。
アメリカ英語の「fish story」というスラングには、ホラ話という意味がある。本作で川平慈英が演じる主人公・エドワードも、荒唐無稽、奇想天外なエピソードで自らの半生を語り、人々を楽しませる。
息子・ウィル(浦井健治)も幼い頃こそ父の話に魅了されていたが、大人になるにつれ父子関係に不和が生まれ、ウィルの結婚式をきっかけに2人は絶縁状態となる。それから数年後、「エドワードが倒れた」という知らせで再び始まる親子の交流。エドワードの語るファンタジーの世界を織り交ぜ描かれていく、心温まる物語だ。
エドワードの妻サンドラを霧矢大夢、ウィルの妻ジョセフィーンを赤根那奈が演じる。さらに、藤井隆、JKim、深水元基、鈴木福(Wキャスト)、りょうた(Wキャスト)、鈴木蘭々、ROLLYなど個性豊かなキャストたちが脇を固める。
愛とハグで溢れるカンパニー!?
「どっきりじゃなかったんですね」
川平慈英の第一声に、場の空気が和む。はじめに川平は、演出の白井、霧矢ら共演者、そして今回のスタッフたちと共に、日生劇場という素晴らしい劇場で名作上演に参加できることへの喜びと感謝の気持ちを述べた。
そして一度言葉を区切り、「いいものにしたいですね」とスタッフ、キャストを見回した。「温かい心になれる、ほっこりした気持ちになれる、日生劇場がパワースポットになるような作品を目指したい」と意気込みを語り、家族愛に溢れる本作だからこそ「ハグが蔓延(はびこ)るような稽古場にしたいですね。誰かに何かがあっても、(ハグをするジェスチャーで)『大丈夫』という、そういうハグ」と呼びかけ、共演者たちの笑いを誘った。
人生をふり返り、温かい気持ちに
意外に思われる方も多いかもしれないが、本作は白井にとって日生劇場での初演出作となる。
「先日美術打ち合わせをしていて、日生劇場にはこんなセリがあるのかとハタと気づき、そこでやっと、自分は日生劇場で演出するのが初めてだと気づきました(笑)。とても新鮮な気持ちです。演出のお話をいただいたときには数作の提案がありましたが、“これがやりたい!”と真っ先に手を出したのが本作でした。映画も印象的ですし、ミュージカル版の台本は映画とまた違う部分もあり、日本で初上演するものとして、より日本人らしい詩情にあふれた舞台になると感じました。親子のことは誰しもなにがしかの心当たりがあるもの。人の人生を考えながら、つい自分の人生も考えてしまう。そんな作品にできたらと思います。慈英は本当に大変だと思うけど(笑)、個性豊かなメンバーが揃いましたから、エドワード(川平慈英)とウィル(浦井健治)の喧嘩を、みなさんで楽しみながら盛り上げてください!」と締めくくった。
(取材・文・撮影:塚田史香)
■会場:日生劇場
■出演:
川平慈英/浦井健治/霧矢大夢/赤根那奈
藤井隆/JKim/深水元基/鈴木福(Wキャスト)/りょうた(Wキャスト)/
鈴木蘭々/ROLLY ほか
■音楽・詞:アンドリュー・リッパ
■演出:白井晃
■公式サイト:http://www.tohostage.com/bigfish/