グルーヴィジョンズの作品を、見られる・知れる・買える! 個展『GROOVISIONS 5x27』をレポート
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2017年1月6日(金)〜2017年1月15日(日)まで、スパイラルガーデン(東京・南青山)にてグルーヴィジョンズの個展『GROOVISIONS 5x27』が開催中だ。
グルーヴィジョンズはFPMやRIP SLYMEのCDパッケージ、PVなどのアートワークを手がけるデザインスタジオ。音楽の分野だけでなく、ポスターや書籍の装丁からプロダクト、空間デザインまで幅広く活動している。
『GROOVISIONS 5x27』は大きく分けて三つの構成となっている。まず、会場エントランス向かって左手では、本展の為に制作された新作映像が映し出されている。そしてエントランス右手にはグルーヴィジョンズが今まで手がけてきたアートワークが一堂に会する。さらに突き当たりの吹き抜けエリアでは、『三三屋(みみや)東京支店』がオープンしている。『三三屋(みみや)』は2016年7月にグルーヴィジョンズが京都にオープンしたセレクトショップだ。
スパイラルガーデンならではの映像作品
グルーヴィジョンズは活動開始時にVJを行っていたということもあり、映像制作は彼らの活動の原点ともいえる。今回展示されている新作映像作品は、縦横比5:27の全長13mにスクリーンに映し出された巨大な作品だ。歩行者の動線と沿うようにして電車が走り抜けたり、グルーヴィジョンズならではのシンプルで愛らしい描線の猫が生きいきと飛び回ったりと、来訪者をワクワクさせる要素が含まれた作品に仕上がっている。
また、映像には街を俯瞰するシーンなども登場する。本展覧会に集う人々の日常の中にある楽しさや、街の賑やかさなどを改めて呈示してくれるようだ。
この映像作品は、本展開催が決まった際に「スパイラルガーデンで行うからこその映像作品を」ということで新たに制作されたという。展示場所に合わせてスクリーンの大きさを決め、映像の構成もその寸法感に合わせた内容となっている。作品を先に制作し展示するのではなく、展示される場所に最もフィットする作品を制作する姿勢に、グルーヴィジョンズのデザイン精神が貫かれている。
上質なクラフトとグルーヴィジョンズのセンスが融合する『三三屋』
新作映像に導かれるようにして奥へ進むと『三三屋』のポップアップショップがある。現在京都のみの展開となっている同店舗は本展にて、『三三屋 東京支店』として、会期中期間限定でオープンしている。店舗のなかでは、実際に日頃京都の三三屋で販売されている商品が所狭しと陳列されている。
店舗で扱っている商品は、洋服から食器、雑貨類など幅広い。デザインは、シンプルで温かみのあるものから、和と洋のデザインセンスが絶妙にマッチしているもの、日本語をユーモラスにあしらったものなど様々だ。店舗では、グルーヴィジョンズがデザインをした三三屋オリジナルの商品なども購入することができる。
三三屋の京都店店長の小林氏によると、同店舗の商品は京都で生まれたものをベースにしているのだという。どれも京都地産の質の良さとグルーヴィジョンズのセレクション、あるいはデザインで統一されている。また店舗名は、清水寺の"今年の漢字"を書いている森清範貫主に毛筆で書いてもらっているとのこと。グルーヴィジョンズと京都文化との深い関わりを感じさせてくれる。
また、店舗内入ってすぐの壁面にはグルーヴィジョンズを象徴するキャラクターであるchappieの映像がipadで流れている。chappieは1994年にグルーヴィジョンズが生んだキャラクターだ。目や髪、肌の色から性別まで変幻自在なchappieのデザイン概念を直感的に理解することができる、楽しい演出が展開されている。
グルーヴィジョンズのアートワークが一堂に
スパイラルガーデンのエントランスから二階に至るまでの壁面部分には、今までグルーヴィジョンズが手がけてきたアートワークが展示されており、展示作品の一部は購入が可能だ。
彼らが手がけてきたポスターや装丁デザインを始め、現在もCDジャケットなどのアートディレクションを担当しているRIP SLYMEのCDの特典グッズや、西日本シティ銀行ALL IN ONEのキャラクター、パッケージやロゴのデザインを担当した"たためるヘルメット"「TATAMET BCP」などが、様々な作品がびっしりと展示されている。
さらに、クライアントワークのみならず、chappieのグッズなどを始め、グルーヴィジョンズオリジナルのクリエイションも展示されている。
グルーヴィジョンズの代名詞的存在、chappieの姿も
本展覧会が開催されている横のカフェ「スパイラルカフェ」にて飾られているchappie(チャッピー)マネキン。1994年の誕生以来、愛らしいフォルムと明るい色使いで人気を博している、グルーヴィジョンズの代名詞的な作品だ。2002年には目や眉毛、体のバランスなどが調整され、現代らしいフォルムにリニューアルしたことでも話題となった。
本展覧会では、様々な様相をしたchappieが展示エリアのそこかしこに現れる。本展覧会で展示されているchappieも、一部は購入が可能とのこと。
グルーヴィジョンズを通じ、日本デザインシーンを振り返る
本展では、1993年に京都で活動を開始してから現在も活動しているグルーヴィジョンズの、今までとこれからを知ることができる。作品を見るだけではなく、展示されているものの一部が購入可能だったり、会場の映像がiPhoneアプリとして販売されていたりということもあって、グルーヴィジョンズファンにとっては垂涎の機会だ。
また、日本のデザイン界の一線で活躍してきたグルーヴィジョンズが手がけたアートワークのアーカイブを辿ることで、これまでのデザインシーンを振り返ることもできるだろう。気になる方はぜひ足を運んでみてほしい。
会期:2017年1月6日(金)~1月15日(日) 会期中無休 11:00〜20:00
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
入場料:無料
共催:有限会社ジー・アール・ヴイ、株式会社ワコールアートセンター
企画協力:スパイラル