WAHAHA本舗、最後の全体公演『ラスト3』喰始、柴田理恵、大久保ノブオ、インタビュー
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ワハハ本舗『ラスト3~最終伝説~』インタビュー
WAHAHA本舗の最終伝説が今はじまる
柴田理恵、久本雅美を看板女優に、演出家・喰始(たべ はじめ)の率いるWAHAHA本舗(ワハハ本舗)が、2017年5月24日の東京公演を皮切りに全国をまわる最終公演『ラスト3~最終伝説~』に向け動き出した。
喰始、柴田理恵、2代目座長の大久保ノブオ(ポカスカジャン)が『ラスト3』について取材に応えてくれた。場所は「1984年、まさにここからWAHAHA本舗が始まった」という都内の稽古場だ。
30年以上の歴史はあるが古びておらず、床はよく磨かれ整理整頓も行き届き、壁を埋める色とりどりの衣装はコーナーごとのタグで管理されている。テレビでは到底放送できない破天荒なステージをくり広げるWAHAHA本舗の、舞台にかける硬派な一面に触れた気がした。
過去の全体公演
ヤマタノオロチをやっつけてください
--WAHAHA本舗最後の全体公演、「ラスト」3部作の完結編『ラスト3~最終伝説~』について伺います。開幕は5月24日とまだ少し先ですが、すでに構想はおありでしょうか?
喰 これはもう話してしまっていいと思うんですが、全体公演のコーナーのひとつに、柴田の一人芝居があるんです。歴史上の人物とかキャバレーの女を『大河ドラマ』として一人で演じるシリーズ。そこで『日本書紀』のヤマトタケルノミコトをやってほしいんです。ヤマタノオロチに生贄に差し出される女を助けるという恋の遍歴の物語があって、最後にヤマタノオロチをやっつける。オロチは、地方の龍踊(じゃおどり)みたいなのを若手がやればいいんじゃないかな。なので、(柴田さんに向きなおり)ヤマタノオロチをやっつけてください。
柴田 やっぱり?! やっぱりやるんだ! 勉強しなくちゃ。ラブストーリーがあって、歌があって立ち回りがあって。髪型は顔の両側にこう……、ハイキング・ウォーキングのキューちゃんみたいなのでしょ?
大久保 あ、お似合いですよ! まず似合いますし、想像しただけでおもしろいです。衣装も決まりですね。
柴田 ちょっと待ってよ、まだ決まってないよ?! 大変だなあ。大変なんだからね? 私、すごい大変なんだから※。大変なんだけど……、すっごい楽しそうですね!!(笑)
一同 (笑)
※柴田さんは、全体公演の直前まで別の作品(『わらいのまち』)に出演する予定。
柴田理恵
WAHAHA本舗はお祭り、観ればきっと幸せに
--WAHAHA本舗さんのステージは「お客さん参加型」としても有名ですね。
喰 参加というか、「お客さん巻き添え」かな(笑)。当然、今回もありますよ! ワハハの舞台は、日常ではめったに体験できないお祭りみたいなものなんです。地方の風習で、水をかけられたり墨をかけられたりするお祭りがありますよね。あの感じで、役者が客席に入って、水かけたりピンポン玉ぶつけたり。
柴田 日本の伝統的な奇祭とか奇習みたいなものね。祭だ祭だ、ワイのワイの!ってお客さんも一緒になって、「〇〇に触るとご利益がありますよ」みたいな。
大久保 その通りですね。日本の祭り文化をこのスケールで絶やさず引き継いでいるのは、今やワハハくらいですよ。唯一無二の伝統行事です。これはね、本当にご利益ありますよ!
過去の全体公演
--最終公演であることに、特別な思いはありますか?
大久保 (最後にしようと決めた)喰さんには喰さんの思いがあります。それを受け入れてはいるのですが、本当にこれで全体公演がなくなるという実感が、まだ全然ないんです。ただ、もしこのインタビューを読んでくださる方で、まだワハハの公演を見たことがないという方には、これが最後のチャンスなので、ぜひ見ておいていただきたいです。
僕は、初めてワハハの全体公演を見たときのことが、今でも残像のように目に焼き付いています。ワハハの全体公演をみて、ワハハに入った人間です。生のワハハ本舗を見たのと見ていないのでは、人生はかなり違うんじゃないかと思っていて、いつかなにかに落ち込むことがあった時も、ワハハを思い出せば気持ちが明るくなる、ワハハが人生のエネルギーになると思うんです。
その完結編となる『ラスト3』は、ワハハの多面的な部分、全員が裸になるものそうですし、歌も踊りも、頭良い感じのも、すべてを踏襲したものを作りあげられたらいいなと思います。
あと個人的に意識しているのは、からだ作り。年をとってくると「裸」にも、見ていてツラい裸と笑える裸があるんですよ。今から本番まで何カ月かあるので、笑える裸、笑えるからだに、自分をどう持っていくかですね。
大久保ノブオ
喰 シェイプアップするの?
大久保 いや、鍛えすぎても笑えないんですよ。だらしない、垂れた感じで。
柴田 あ。それなら、充~っ分、もうなってるよ。
大久保 え!なってます?
柴田 なってるなってる! 何を心配してるんだろうって、私、びっくりしちゃった。
一同 (笑)
過去の全体公演
ラストまで、ワハハらしく新しく!
--柴田さんは、最終公演についてどうお考えですか?
柴田 やっぱり裸がないとダメだと思うんですよ、ワハハには! 完結編では、男は全員裸。それから女は裸タイツね。『最終伝説』という名前がついている以上、今までのワハハの良い要素は全部いれて「これが“ザッツ・ワハハ・エンタテイメント”だぞ」っていうものをみせますよ。ただしリバイバルではなく、全部新作です。前にやった『農村ミュージカル』『猿のコーラスライン』とか、また見たいと言ってくださる方はたくさんいらっしゃいますし、今も通用する面白いシリーズもたくさんあるんです。けれど、あえて今回は、新作でがんばります。
喰 僕自身、新しいことやらないと燃えないんですよね。リバイバルなら僕が演出する必要がないな、と思ってしまう。
大久保 生みの苦しみがあった方が、拍手をもらった時もうれしいですよね。
喰 ウケるかどうかちょっと恐いな、不安だな、くらいがおもしろいね。
喰始
--守りに入らず攻め続けてきたWAHAHA本舗が、あえて変えずにきたことはありますか?
柴田 「あくまでもお笑い」という姿勢ですね。ワハハ設立の時からの言葉に、「お笑いに差別はない」というのがあるんです。世間では、今以上に下ネタは下品だとか客いじりはご法度だとかいう声もありましたが、ワハハは面白いと思えばお客さんを巻き込みますし、下ネタだってやります。やるにしてもお客さんを嫌な気持ちにさせないように、創意工夫を凝らします。下手でも歌を歌うし踊りも踊ります。それは楽しませるためです。あえてやります。そういうお笑いをやります、という基本は変わっていません。
喰 自主規制をしたくないんだよね。ワハハを始めた頃、テレビは相変わらずスポンサーとかの絡みで自主規制があった。けれども、舞台はやりたいことをやりましょうよ、という時代だったんです。それが今は、舞台も自主規制するようになってきた。ワハハは、それをしたくない。「つまらないからやめよう」という規制はしますが、面白い限り「ヤバくない?」「嫌われるんじゃない?」っていう自主規制はしたくないですね。
その時、下手なのは構わないんです。でも手を抜いているのは嫌い。一生懸命、全力投球で面白いことに向かっていく姿勢があれば、どんなに下手でも人の心を打つと思っていて、それはお笑いでも同じだと思うんです。あ、ごめんね、あのさ。今ちょっと思いついたんですけどね、素っ裸の梅垣(義明)を黒子が隠すダンスがありましたよね? あれ、隠す側も素っ裸ってのはどうですか?
過去の全体公演
柴田 あっ、面白い! 隠す側も隠されながら踊るんだ!
大久保 助け合いの精神ですね!
(……ここから、いかに裸を隠すかの活発な意見交換……)
喰 こうやって、ワハハが生まれるんです(笑)。
(左から)大久保ノブオ、柴田理恵、喰始
僕は、みんなで大騒ぎしたい
--公演は毎回大盛況です。今もアイデアは次々に生まれています。それでも、喰さんが全体公演を最後にしようと思われたのはなぜですか?
喰 実際、出演者たちも「辞めなくていい、続けましょう」と言ってくれるんです。僕も演出家を辞めるという話ではないんです。けれど、全国をまわる大掛かりな全体公演を、僕の中で一度お休みしたい。休みたいとはいえ、僕ももう69歳です。5年休んだらボケてるかもしれないし死んでるかもしれない。そう考えると、今の形の喰始のショービジネスを一区切りさせたい。そう思ったんです。
過去の全体公演
--「今の形」とおっしゃるのは、選りすぐりのシーンを集めたような構成のことですね。
喰 そう。以前の全体公演は、芝居仕立てのストーリーの中に、歌やダンスやコーナーがあったんです。でも2000人が入る広い会場を使うようになると、ストーリー性のある舞台では、後ろの席の方々はどうしても世界に入りずらくなるんです。そこで僕の判断で、ミュージカルの『ザッツ・エンターテイメント』みたいに、ストーリーを取っ払って、いいシーンだけを観られるように、いいシーンだけを先に作るようにした。これが今の全体公演の定番になりました。僕は、客席も舞台も関係なく、一番後ろもみんなで大騒ぎしたいんですよ(笑)
柴田 お客さんも一体になって盛り上がれるのが、ワハハのいいところだって、ファンの方にもよく言っていただけるんです。
大久保 演者がこんなに客席に降りていく舞台も、そうそうありませんよ。
喰 お客さんあってこそです。34年続けてこられたのも一緒に盛り上がってくれるお客さんがいてくださったからです。なので、最後の全体公演『ラスト3』も、これまで以上に、今一度、お客さんの力で盛り上げていただきたい。今は、そんな気持ちです。
(左から)大久保ノブオ、柴田理恵、喰始
■構成・演出:喰始
■出演:
久本雅美、柴田理恵、佐藤正宏、梅垣義明、すずまさ、なんきん、大久保ノブオ、タマ伸也、省吾、我善導、トニー淳、正源敬三、パーマーイ雅晴、清水ひとみ、兵頭有紀、大窪みこえ、星川桂、矢原加奈子、雨宮あさひ、犬吠埼にゃん、伊地知玲奈、鈴木千琴、石原奈津美、瑛良、仲村唯可、コースケ☆原澄人、村本准也、噛家坊、哀原友則、アポロ、大福神、シェフ米山、菅原鷹志、岡田勝
■会場:東京国際フォーラム・ホールC (東京都)
■日程:2017/5/24(水)~2017/5/28(日)
6月07日(水)18:30 静岡 焼津文化会館 大ホール
6月10日(土)17:00 新潟 新潟テルサ
6月11日(日)18:00 富山 富山オーバード・ホール
6月14日(水)18:30 長野 塩尻市文化会館 レザンホール
6月17日(土)18:00 大阪 オリックス劇場
6月18日(土)18:00 奈良 なら100年会館 大ホール
6月22日(木)18:30 宮城 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
6月23日(金)18:30 岩手 岩手県民会館 大ホール
6月25日(日)17:30 秋田 秋田市文化会館 大ホール
7月01日(土)18:00 広島 広島文化学園HBGホール(旧広島市文化交流会館)
7月02日(日)18:00 山口 周南市文化会館
7月07日(金)~9日(日)大阪 森ノ宮ピロティホール 金18:30 土日14:00
7月13日(木)18:30 鹿児島 宝山ホール(鹿児島県文化センター)
7月15日(土)18:00 福岡 福岡サンパレス
7月16日(日)18:00 佐賀 鳥栖市民文化会館
7月22日(土)18:00 愛媛 松山市民会館
7月23日(日)18:00 高知 高知県立県民文化ホール オレンジホール
7月28日(金)~29日(土) 愛知 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール 金18:30 土15:00
8月02日(水)18:30 北海道 わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
8月06日(日)17:00 東京 オリンパスホール八王子
8月17日(木)18:30 兵庫 神戸国際会館 こくさいホール
8月19日(土)17:00 茨城 茨城県立県民文化センター 大ホール
8月20日(日)17:00 栃木 宇都宮市文化会館 大ホール
8月26日(土)15:00 宮城 気仙沼市民会館 大ホール
■公式サイト:http://wahahahompo.co.jp/