湖月わたる、水夏希、姿月あさとらが歌と踊りで「生命讃歌」を描く『Cosmos Synphony Pukul（プクル）－時を刻む愛の鼓動－』

2017年12月から東京、大阪にて『Cosmos Synphony Pukul（プクル）－時を刻む愛の鼓動－』が上演される。2017年11月17日（金）に本作の稽古場の様子が公開され、湖月わたる、水夏希、蘭乃はな、舞羽美羽、坂元健児、大貫勇輔、島地保武、岡幸二郎、そして日替わりで出演する姿月あさと、春野寿美礼、彩吹真央らが美しく神秘的な歌と踊りで作品の中から4場面を披露した。

「鼓動」という意味を持つ「Pukul（プクル）」では、バリ、韓国、中国、インド、グルジア、ロシアのバレエ、中近東などの踊りの要素を取り入れて、宇宙の星たちの誕生を描かれる。構成・演出・振付は元宝塚歌劇団OGにして、現在オリジナルミュージカルの製作を多数手がける謝珠栄だ。

囲み会見の場では、謝、姿月、湖月、水が登壇し、現在の稽古の話から作品世界の話まで語った。

謝は、「元々アジアの民族舞踊を多くの方に楽しんでいただきたいという思いがありました。それを叶えてくれるのは宝塚歌劇団の後輩しかいないと思い、彼女らと共にショーを作るという企画が始まりました」と本作の誕生秘話を語る。

湖月は「謝先生はエネルギッシュで先生が作るものは大好き。この作品も先生の中からあふれ出てきたんだなって感じましたね。私たちもそのエネルギーを受け取っています」とコメント。水も「謝先生の作品に出る場合、闘いになるかなと思っていましたが（笑）、退団してなお、想像を絶する闘いになっています。自分と向き合い、作品と向き合い、生きているってすばらしいということをお客様に伝えていきたいです。お客様にも生命讃歌を味わいにいらしていただきたいです」とアピールした。

「スペシャルゲスト、という名の割には相当登場していますね」という言葉に笑う姿月は「台詞と歌詞がかなり多いです。でも、先生が思う言葉を語り部として私がお客様に届けないと、皆が懸命に踊っていてもそのメッセージがうまく伝わらなくなってしまうので、自分の役割を果たそうと思います」と意気込んでいた。

今回参加している男性ダンサーの話になると、湖月は「女性ではできないことをやってくださいますね。男役でもできないことをやってくださるので…私たちもふんだんにリフトしていただいています（笑）。この大きな私たちを…ああ、私か！」その言葉に思わず他三人が噴き出していた。ダンサーの中には振付を生業としている者も多く、謝は「ここの場面は自由にやっていいよ」と一任することも多いとのこと。「彼らに『ポーンと跳んで』というと、ポーンの意味がわかっているのでイメージ通りに跳ぶんですよ。ピョーンではなく、ポーンと」大先輩の表現に笑いが止まらない宝塚の後輩たちだった。

この舞台中、踊りが何より大変だと語る湖月と水。湖月は「超大変です。外国の方が日本舞踊を踊るのが大変なように、身体の根本的な使い方が違うと思いますね。今は徐々に自分のものになってきていると思いますが」と進捗を説明。水も「退団して以来様々な踊りをやってきましたが、それでもやったことのないジャンルのダンスがまだこんなにあるのか、と思いながらやっていますね」と語り、複雑な手脚の動きを見せつつ「新しい筋肉の開発を目指しています」と笑う。すると湖月が「本当に毎日筋肉痛なんです！今まで筋肉痛になったことがない、というところが筋肉痛になるんです。この痛みが生きる喜びですね。身体が生きているって喜んでます！」とアスリート張りの発言をすると、再び皆が笑い出していた。

公開稽古では「宇宙の鼓動」「星たちの鼓動」「星の一生」「銀河の回転」の4場面が披露された。主に歌パートを担当する、岡、坂元、そしてスペシャルゲストの姿月、春野、彩吹がそれぞれの音色で“虚無”の宇宙空間からいかにして星々が生まれ、そして太陽とその周りを取り囲む星々ができたのかを語り、湖月、水、蘭乃、舞羽らと男性ダンサーが踊りで物語を表現する。彼らの周りを「時の矢」を持った大貫がたびたび登場し、流れるような美しい踊りで世界を進めていくのが印象的だった。

取材・文・撮影＝こむらさき