『フラメンコ曽根崎心中』大阪公演、阿木燿子&宇崎竜童会見
(左)宇崎竜童/(右)阿木燿子 撮影:清水俊洋
「大阪の人に認めていただかないと、次のステップが踏めない」(阿木)
日本を代表する作詞家の阿木燿子が作詞&プロデュースを担当し、公私ともにパートナーである宇崎竜童が音楽監督・作曲を務めた舞台『フラメンコ曽根崎心中』。文楽ではおなじみの世話物の傑作『曽根崎心中』を、フラメンコの音楽とダンスをフューチャーして大胆に描き出した、究極の和洋折衷と言える舞台だ。この作品が3年ぶりに『曽根崎心中』を生んだ土地・大阪で上演されるのを前に、阿木と宇崎の会見が開かれた。
「子育てのごとく育てて来た作品で、最初に大阪でやらせていただいた時よりも、数段この子は成長していると思います。フラメンコは喜びだけでなく、激しく切なく、痛みをともなうものにすごく合っている表現。心の底から自信作と言える作品はなかなか少ないですが、これは本当に誇るべき、奇跡のような作品です」(阿木)
「音楽的には、純粋なフラメンコにはありえない、邦楽(の楽器)も加えた複雑なアンサンブルに仕上がっています。振付も日舞の要素が入ったオリジナリティのある踊りだし、日本人だからできる舞台だと思います。常に「遺作になってもいい」というパフォーマンスを作り続けていますが、いつもその初心に引き戻される不思議な作品です」(宇崎)
撮影:清水俊洋
フラメンコのカンテ(歌)はスペイン語が常識だが、本作の歌詞はすべて日本語。今回は阿木&宇崎とのコラボレーションで数々のヒット曲を生み出したアイドル・山口百恵の長男、三浦祐太朗が主人公徳兵衛のカンテを担当するのも話題となっている。
「昨年新しいミュージシャンを探した時に、たまたま「いいかも」と思ったのが祐太朗さんでビックリしました。若干湿り気があって胸に突き刺さってくる、百恵さんとすごく響きが似た声なんです。昨年百恵さんがご覧になった時は、観ている間中感動してずっと泣いてらっしゃいました」(阿木)
「最近の男性シンガーの声は、透明感があるけど感情がともなわない感じがするんです。祐太朗君はその真逆で、憂いがあって、耳から直接ハートに直撃していく珍しい声の持ち主。今徳兵衛は祐太朗君しかいないだろうなあ、という思いです」(宇崎)
『フラメンコ曽根崎心中』過去の公演より
将来的には海外公演も視野に入れているという2人。しかしその前に、大阪の人にいかに喜んでもらえるかが課題だとも。
「大阪の人は笑うことも怒ることも好きだから「入場料分だけ笑わせて泣かせてくれ」という声が聞こえてきそうな気がして(笑)。東京になかったシーンみたいなものも加えて、大阪の人に「よくやった」とほめてもらえる舞台にしていきたいです」(宇崎)
「1人でも欠けると、音的にも舞踊的にも全然違ったものになるので、必ずこのメンバーで海外に行きたい。でもその前に、大阪の人に認めていただかないと、次のステップが踏めないと思ってるんです。大阪でやるのは特別な思いがありますし、お初天神にはかなりお参りに行って成功を祈願していました。何もお返しをしていないので、本当にお返しができるような…お初と徳兵衛が成仏できるようなものにできればと思います」(阿木)
『フラメンコ曽根崎心中』
■日時:10月17日(土)・18日(日) 17日=13:00~/17:00~、18日=13:00~
■会場:シアターBRAVA!
■料金:S席10,000円 A席7,000円(全席指定)
■プロデュース・作詞:阿木燿子
■音楽監督・作曲:宇崎竜童
■出演:鍵田真由美(お初/踊り)、佐藤浩希(徳兵衛/踊り)、三浦祐太朗(徳兵衛/歌)、三原ミユキ(お初/歌)、ほか
■公式サイト:http://sonezaki.jp/