ナイロン100℃結成25周年記念公演第二弾、新作『睾丸』開幕

1993年と1968年、ふたつの時代を結ぶ、25年の因縁のドラマ

7月6日、東京芸術劇場シアターウエストにて、ナイロン100℃の新作舞台『睾丸』が開幕した。

劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ（KERA）が率いる劇団、ナイロン100℃。結成25年を迎えた2018年、まずは今春、記念公演第一弾『百年の秘密』（再演）を上演、各地盛況のうちに幕を閉じた。そして、早くも記念公演第二弾、新作『睾丸』がこのほど開幕した。

『睾丸』は、三宅弘城、みのすけという劇団の看板男優を中心に、劇団員が出演、さらに坂井真紀、根本宗子、安井順平、赤堀雅秋、という実力派の客演陣が顔を揃えている。

物語は、1993年、赤本健三（三宅弘城）宅の居間から始まる。健三の妻・亜子（坂井真紀）は深夜に届いた電報を眺めていた。電報は、遡ること25年前、健三や亜子がまだ学生であった頃の仲間の死を知らせるものだった。健三と亜子には、娘の桃子（根本宗子）がおり、さらに亜子の弟・光吉（赤堀雅秋）が健三宅に居候し、光吉の元には別れた元妻の浩子（新谷真弓）が、頻繁に通ってくる。

そんな健三宅に、ある日、古い友人の立石伸高（みのすけ）が、「自宅が火事にあい焼け出された」と唐突に転がり込んできた。健三と立石、そして亜子は、25年前、リーダーの七ツ森豊(安井順平)と共に学生運動をしていた。立石の登場により、忘却の彼方に追いやってきた、25年前のパンドラの箱が開き始める……。

二人の男の複雑な過去をめぐる人間ドラマであり、どの登場人物たちも一筋縄ではいかないバックグラウンドが潜んでいるようで、展開に目が離せない。劇団員、客演陣の確かで豊かな演技力に引き込まれ、劇団の底力を感じる作品だ。

“四半世紀の歴史を持つ劇団の未来を問う新作“と銘打たれた、今作、『睾丸』。春公演の『百年の秘密』は女性二人を中心とした物語だったが、『睾丸』は男性二人を中心とした物語だ。劇団アニバーサリーイヤーの2作品を通じて、ナイロン100℃全劇団員が出演するという記念すべき公演として見逃せない。

東京公演（7月29日まで）の前売りはすでに全日完売しているが、当日券は、毎公演開演の1時間前より劇場入口にて販売する。また、東京公演終了後は、新潟、宮城、いわきでの公演も控える。