『RADWIMPSの胎盤』の見どころを対バン相手から予想する 4
RADWIMPS
ハナレグミ
第4回:ハナレグミ
Zepp Tokyoでの2公演を皮切りに、RADWIMPSが全国で多彩な対バン相手と一夜限りの奇跡を描いている『10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤』。本稿ではZepp Nagoyaで出演するハナレグミとRADWIMPSについて書く。
永積 崇によるソロ・ユニット、ハナレグミ。彼ほど「どんなアーティスト」なのか一言で説明しづらい人もなかなかいないと思っている。一言で言うならば弾き語り系シンガー・ソングライターということになるのかもしれないが、それだと彼のごく表層しか言い表せない気がする。とにかくあらゆる音楽的要素を含みながら、それを極めてシンプルに、音楽の「核」の部分を、自身の歌とギター、必要最小限の編成の楽器を持って、1対1で語りかけるかのように届けてくれる。そんなハナレグミは、ハナレグミとしか言い表しようがない。
そういえばRADWIMPSもまた、ロックバンドではありつつも「どんなバンド」なのか定義するのは難しい。これまでのコラムでも触れているようにジャンルも多岐にわたるし、作品によってもその色はガラリと変わる。だからこそ『胎盤』で共演するバンド / アーティストが、ここまで幅広いのだろうし、その一組一組とハモるのだろう。
両者に共通して言えること、特に「歌」に関して言えば、「近い」ことではないか。日常的なものや言葉の数々が心に染み入り、自然と自分のことを歌っているように感じられる感覚。そしてあたたかさ。それはハナレグミの最新アルバム『What Are You looking for』に収録されている、野田洋次郎が作詞作曲した「おあいこ」を聴くだけでも伝わってくるはずだ。また、本ツアー中にRADWIMPSは、かつて永積の所属していたSUPER BUTTER DOGの「サヨナラCOLOR」を披露していたりもする。
『胎盤』の全公演を通して見ても、この日ほど「歌」に聴き入ることにフォーカスできる日はないであろう。言うまでもなく、跳んだり叫んだりといったフィジカルな興奮は最高だし、そういった曲ももちろん演奏される。だが、ライブで1000人単位の観客に向けつつも1対1で歌われる歌に触れ、耳に入ってくる「自分だけのため」の音と言葉に向き合うこともまた、何にも代えがたい体験なのである。