古川雄大、自身初のミュージカル・コンサートを語る~「最高の時間をお届けします」

インタビュー
舞台
2022.3.29
古川雄大 (撮影:池上夢貢)

古川雄大 (撮影:池上夢貢)

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古川雄大が、自身初となるミュージカル・コンサート『古川雄大 The Greatest Concert vol.1 -collection of musicals-』を、2022年4月1日(金)~4月10日(日)、東京・IHI ステージアラウンド東京で開催する。

本コンサートは、昨年(2021年)夏に予定されていたが、惜しくも公演中止となった。しかし、半年の期間を経て、ようやく公演実現の運びとなった。2.5次元からグランド・ミュージカルまで幅広く、数々の作品に出演し、ミュージカル俳優として着実に実力を身につけ、飛躍を遂げてきた古川。満を持してのミュージカル・コンサートは、これまで歩んできたミュージカル俳優としてのヒストリーがぎゅっと凝縮された、スぺシャルな時間になりそうだ。また、共演を重ねてきた花總まりをはじめ、日替わりで出演する豪華なゲストたちとの共演も大きな見どころである。新たな機会を得ての開催に向け、古川に現在の心境や意気込みを聞いた。


■第一部は「歴史」を感じてもらえるような選曲に

――昨年夏、惜しくも中止となってしまったコンサートでしたが、今回あらためて開催が決まり、どんな心境でいらっしゃいますか?

早い段階であらためて公演できる機会をいただいて、とてもありがたいなと感じています。今回、公演実現に向けてもう一度作っていただいた貴重な時間ですので、観に来てくださったお客様に満足していただけるような、「観に来てよかったな」と思ってもらえるような、そんなパフォーマンスをお見せしたいと思っています。

――古川さんにとって、初めてのミュージカル・コンサートになりますが、どのような構成になりそうでしょうか。

第一部は、これまで出演してきた作品の楽曲を歌わせていただくのですが、ミュージカルに携わってきた、自分の「歴史」を感じてもらえるようなセットリストになっています。完全に役になりきるとまではいかないまでも、演じ分けをしながら作品やその楽曲の世界観を皆さんにお伝えできればと思っています。素晴らしい作品に恵まれてきたので、楽曲を絞るのが難しかったのですが、“おいしいところ”を集めた結果、いざ歌うとなるとけっこう大変だな、と実感しています(笑)。第二部では、コンサート寄りと言いますか、自分が出演していない作品の楽曲があったり、ダンス・シーンを盛り込んだり、ゲストの方と一緒に歌ったりと、第一部とはまたカラーの違った構成になっています​。

――演出・振付はTETSUHARUさんです。どのような印象をお持ちですか?

今回ご一緒させていただくのは、僕が初めて『ロミオ&ジュリエット』(2013年)に出演したとき以来になるのですが、個人的にもすごくたのしみにしていました。TETSUHARUさんは、魅力的なステージを作りながら、その中で際立つ振りを付けてくださるんです。たのしい雰囲気をつくりながら、締めるところは締める、といった感じで、とてもいい空気の中でお稽古をさせていただいています。僕の意見も「いいよ」と、取り入れてくださるのですが、それがTETSUHARUさんの中で違和感があった場合でも、必ずいい方向へ導いてくださるので、とてもありがたい関係性だなと感じています。


 

■日替わりの豪華ゲスト陣への思い

――今回、とても豪華なゲストの方々が出演されますが、それぞれの方の印象やエピソードをお聞かせください。初日(4月1日)はこれまで何度も共演されてきた、花總まりさんですね。

花總さんは……もう、“レジェンド”ですよね。僕が『エリザベート』でルドルフ役を演じていた頃から、第一線でご活躍されていて。(2015、2016年に)ルドルフとエリザベートとしてお芝居をさせていただいて、そのあとは『マリー・アントワネット』(2018年)でフェルセン伯爵とマリーを、そしてまた『エリザベート』(2019年)で今度はトートとエリザベートとして共演させていただき、どんどん関係性が近い間柄の役になっていく中で、今回コンサートという形で花總さんとデュエットさせていただけるのは、本当に贅沢です。ただ、ミュージカル・コンサートのvol.1の初日ということもあり緊張もしているので、ホストとしてちゃんと場を仕切れるのか、それが心配です(笑)。でも、あんまりシミュレーションしすぎてもおもしろくないですし、台本無しで挑戦してみようかなと思っています。なので、僕のテンパり具合も一つの見どころになるかもしれないです​(笑)。

――2日目(4月2日)は、廣瀬友祐さんと黒羽麻璃央さんです。

ヒロくん(廣瀬友祐)とは、以前同じ事務所に所属していて、切磋琢磨していた間柄です。共演こそ多いけれどプライベートではあまり遊んだことがなく、不思議な関係性でもあるのですが、ずっと「よき仕事のパートナー」だと思っているので、今回ぜひ出てもらいたくて声をかけさせていただきました​。

(黒羽)麻璃央は、ロミオという、僕と同じ役をやっていますし、また次の世代の新しい風を感じる、勢いのある方です。「新旧ロミオ」の“共演”と捉える人もいれば、「さあ、どっちが上手いんだい?」と“対決”と見る方もいると思いますが(笑)、僕としては「負けられないな」という思いがありながらも、二人のコラボレーションをとてもたのしみにしています。

――3日目(4月3日)の佐藤隆紀(LE VELVETS)さんについてはいかがですか。

シュガー(佐藤)とは、いちばん「異質な声の組み合わせ」になるだろうと思います。この二人の声が混ざると、どんな感じなんだろう?と。そして「この曲、歌うんだ……!」と驚いてもらえる日にもなるんじゃないかな。あまり周りには知られていませんが、実は仲がいいんです。シュガーはコミュニケーション能力が高いので、僕に合わせてくれるんですが、公演でも、そういったところに甘えさせてもらう感じになるのかな、と思いますね。

――4日目(4月5日)のゲストは、木下晴香さんです。

ゲストを呼ぶとなったときに、まず最初に浮かんだのが木下さんでした。彼女のデビューのときから、ロミオとジュリエットとして共演して、そのあとに『モーツァルト!』(2018、2021年)でまた共演したということもあり、この前リハーサルで合わせたときも、「一回でいいね」っていうくらい、しっくりきて。何度も相手役をやっているので、二人ならではの安定感をお届けできたらと思っています​。

――5日目(4月6日)は、山崎育三郎さん。同じ事務所の先輩でもありますね。

育三郎さん(山崎)は、僕がミュージカルに出演する前から第一線で活躍されている方で。共演させていただくようになって、やさしく接してくださったり、背中を押してくださったりと、教えていただいたことがたくさんあります。先輩後輩として、たのしくお話させていただいたり、ヴォルフガングやトートといった同じ役を演じていることもあり、ぜひデュエットができたらと思い、出演をお願いしました。なかなか舞台上で一緒に立つことがない二人の共演が観られると思うので、ぜひそこもたのしみにしていただきたいです

――6日目(4月7日)のゲスト、愛希れいかさんについてはいかがですか。

愛希さんとは、まだ『エリザベート』の一作しかご一緒していませんが、宝塚時代も含め、出演作を何度も拝見しています。共演しているときも思いましたが、舞台姿がとても輝いていて素敵で、唯一無二の歌声も魅力的ですよね。また今年の『エリザベート』でも共演させていただけるということで、本編より一足早く観られる、先取りできるたのしみがある組み合わせかな、と思っています

――7日目(4月8日)は、田代万里生さんです。

万里生さんは、やさしさの塊のような方です。以前、「トルコ行進曲」のジャズバージョンが好きでよく聴いているんです、というお話をしたときに、翌日、その楽譜をくれてびっくりしたんです。その時のエピソードを先日お聞きしたら、わざわざ実家に電話して、親御さんに「この譜面FAXして」ってお願いして僕に渡してくれた、という経緯が発覚して。そういうことを、見返りも求めずナチュラルにしてくださる方なんです。こんなピュアな人、見たことがないです。騙されないか心配なくらいです(笑)。でも、先日歌声をお聴きして、そういう純真さが歌声にもにじみ出ているんだなと感じました。尊敬している大好きな先輩です

――千穐楽(4月10日)のゲストは、明日海りおさんです。明日海さんとはこれが初共演ですね。

明日海さんは、舞台を何度も観させていただいているので、お会いできるのがたのしみな方です。舞台上での輝きや、役から離れたときの姿のギャップも魅力的ですし、憧れる部分もあります。ステージで一緒に歌えるのは贅沢ですね。控え目な方、という印象もあるので、控え目同士がどういう感じになるのか、「古川は第一声、何を話すのか?」と、きっと皆さんも気になっているかと思いますが(笑)、ぜひそこもたのしみに観ていただけたらと思います。

―― 一日だけ、古川さん単独でご出演される日(4月9日)がありますが、ゲストがいらっしゃる日とはまた少し違った内容になりそうですか?

そうですね。ゲストの方とのデュエットがない分、また別の楽曲を歌わせていただく予定です。変わってくるとしたら、第二部での居方でしょうか。一人トークの時間は増えると思います。意外にも、この日を観たいと思ってくださっているお客様が多いと知って、少し驚きました。自分だったら、ゲストがいる日の方が観たいな、って(笑)。僕一人でも、しっかりお見せしなければ、と気が引き締まります。


 

■時間を作ってでも、舞台をやり続けたい

――直近の舞台出演作についてもお伺いさせてください。2月に出演された『シラノ・ド・ベルジュラック』は、ご自身にとって久々のストレートプレイへの出演でしたね。

主演としては約10年ぶりにストレートプレイに出演することができて、念願が叶ったという感じでした。ミュージカルを中心に続けてきた中で、歌も踊りもなく、お芝居で自分はどれだけできるんだろう、と試してみたい気持ちがずっとありました。『シラノ・ド・ベルジュラック』は、たくさんの挑戦が詰まった作品でした。膨大な台詞の量もですが、シラノという人物は詩人で、かつ剣の達人でもあり、いろんなスキルが求められる役でもありました。ラップをはじめ、表現方法も特殊でしたし

――これまで出演されてきたミュージカルとは180度違う世界観の作品・役柄で、新たな一面を見せていただきましたし、芝居の深度という面でも、役者として次のステージに行かれたような印象を受けました。

次のステージ……行っているんでしょうか。自分ではよくわからないですが、そうだといいなと思います。お芝居が好きなので、もっと早くストレートプレイをやりたかった、という思いはありましたが、遅れた分だけ、いろんな挑戦が詰まった作品に出会えたのかな、とも感じています。今後、ストレートプレイもどんどんやっていきたいです。時間を作ってでも、舞台はやり続けたいなと思っています


 

■トートを目指してきた7年間

――2012年の『エリザベート』でルドルフ役を演じて以来、大作ミュージカルに出演して今年でちょうど10年が経ちますが、この10年間は古川さんにとって、どんな期間でしたか?

もう10年が経つんですね。まだ6年くらいだと思っていました(笑)。コロナ禍以降は舞台に立てなかったり、公演が中止になることも多くあったので……。なので、近年の状況を除いて、前回出演した『エリザベート』(2019年)までの期間を振り返ると、ルドルフから始まり、「トートを目指した7年間」だったと思います。最初の頃は、いつかやれたらいいけど、無理だろうなあ、と思っていましたが、『1789 -バスティーユの恋人たち-』(2016年)に出演した頃から、本気で目指してこう、という気持ちになっていって。だんだん、目指す気持ちの温度や濃さが変わっていったんですよ。

――ロベスピエールを演じていた頃に。

そうですね。その頃からグッとスイッチが入って、勢いを増していった感じでした。なので、僕の中ではトートを目指し続けた7年間でした。今年は2度目の挑戦になりますが、トートを演じるということは、自分にとって、いまだに大きなことですね。

――では、この先の10年は、どんな俳優像を目指していかれますか?

目指しているものが、自分でもよくわからないんです。今は明確にはない状態で……。ただ、求められたことに真っすぐに向かって取り組んでいたい、という思いはずっとあります。俳優としてブレずに、与えられたものに常に全力で挑めたら、良い方向進んでいけるのかな、と思っています

――何がどう繋がっていくか、予測ができないのが人生ですものね。

そうなんですよね。僕も、最初はミュージカルに携わっていくことになるとはまったく想像していませんでした。人生、何が起こるかわからないですよね。

――今回のコンサートの一か月後に、アーティスト活動のライブツアー『古川雄大 LIVE TOUR 2022 ~i be~』が予定されています。これまではライブの中で「ミュージカル・コーナー」が設けられていましたが、こちらのライブはオリジナル楽曲のみの構成になりそうですか?

そうですね、今のところなので変わる可能性もありますが、今回はやはりミュージカル・コンサートの後ということもあり、そこはきれいに区別したほうがいいかな、と思っています。なので、オリジナルの楽曲をたのしんでいただけるように、今セットリストを作っているところです

――最後に、公演への意気込みと、お客様へ向けてのメッセージをお願いします。

vol.1ということで、いろいろなことが巻き起こるのではないかと、僕自身もワクワクしています。この先、vol.2、vol.3と続いていくことを願っていますので、まずは、この“原点”となる公演をぜひ見届けていただけたらうれしいです。連日豪華なゲストの方がいらっしゃいますし、何度も聞たくなるようなミュージカルの名曲が揃っているので、絶対に満足していただける内容になっていると思います。全身全霊で挑み、最高の時間をお届けいたしますので、ぜひ会場に足をお運びください

取材・文=古内かほ  写真撮影=池上夢貢

公演情報

古川雄大 The Greatest Concert vol.1 -collection of musicals-
 

■日程:2022年4月1日(金)~4月10日(日)
■会場:IHIステージアラウンド東京

 
■CAST
古川 雄大

 
■GUESTS(日替わり)
4月 1日(金)19:00 花總 まり
4月 2日(土)14:00 廣瀬 友祐
4月 2日(土)19:00 黒羽 麻璃央
4月 3日(日)14:00 佐藤 隆紀(LE VELVETS)
4月 5日(火)14:00 木下 晴香
4月 6日(水)14:00 山崎 育三郎
4月 7日(木)14:00 愛希 れいか
4月 8日(金)14:00 田代 万里生
4月10日(日)13:00 明日海 りお

 
■DANCERS
高橋 祥太
橋田 康
今井 稜
岡田 治己
長谷川 梓
米田 絢美
岡本 麻海
鬼頭 瑠奈​

 
■CHORUS
塚本 直
堤 梨菜
川口 大地
脇 卓史

 
■STAFF
演出/振付:TETSUHARU
編曲:小澤 時史/栗山 梢/茶園 志織/大嶋 吾郎
音楽監督:栗山 梢
音源制作:大嶋 吾郎

 
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