『ロックロックこんにちは!Ver.24』2日目ーースピッツのレギュラーイベントにて「SHE’Sにはそよ風を、Hump Backには冬の日差しを感じた」地元・大阪勢とステージで共鳴

レポート
音楽
2022.10.12
『ロックロックこんにちは!Ver.24 ~なにわ24ぎ発見!?~』

『ロックロックこんにちは!Ver.24 ~なにわ24ぎ発見!?~』

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『ロックロックこんにちは!Ver.24 ~なにわ24ぎ発見!?~』2022.9.23(FRI)Zepp Namba (OSAKA)

9月22日(木)・23日(金・祝)、Zepp Namba (OSAKA)で『ロックロックこんにちは!Ver.24 ~なにわ24ぎ発見!?~』が開催された。3年ぶり24回目の開催となった今年。2日目は、スピッツはもちろん、大阪出身のSHE’SとHump Backが登場。互いに共鳴し合った3組のステージに迫る。

『ロックロックこんにちは!Ver.24 ~なにわ24ぎ発見!?~』

『ロックロックこんにちは!Ver.24 ~なにわ24ぎ発見!?~』

竹内まりやの「不思議なピーチパイ」、星野源の「不思議」など、今回のサブタイトルにならった開場中のBGMからも、期待感をじわじわ盛り上げてくれた今宵。暗転してスクリーンに投影されたのは、昨日に引き続き、「こんにちは!ハンター」として探検隊に扮したFM802 DJの加藤真樹子と中島ヒロトからのロックロッククイズにスピッツがチャレンジする、和気あいあいの様子をゆる〜くお送りし、トップバッターのSHE’Sを呼び込む。

■SHE’S

SHE'S

SHE'S

1曲目「追い風」からみずみずしいメロディで会場を満たす4人。深紅の照明を合図にした「Masquerade」では、服部栞汰(Gt)がリードし情熱的なアンサンブルを響かせていく。フロアをみるみるクラップで沸かせた「Over You」を経て、この日への気合いを語る彼ら。

「呼んでいただけて、めちゃくちゃうれしかったです! 長く続いているイベントに、我々も関わることができるとは。一緒に1日を作って帰りましょう!」(服部)

「本当に、光栄以外の言葉が見つからへん! しっかりSHE’Sを残して帰ります」(井上竜馬・Vo.Key、以下同)

SHE'S

SHE'S

広瀬臣吾(Ba)がベースとシンセをニュアンス豊かに使い分ける「Ugly」、そして清廉な音色で魅せる「Letter」では、メロディメーカーとしての確固たる実力をまざまざと示していく。叙情的な歌声を会場いっぱいに降らせる「Ghost」では、木村雅人(Dr)のドラミングが心の扉をノックするかごとく深く共振。全てのエモーションを解放するような強靭な音塊で観る者を揺さぶる、その存在感は何ともたくましい。

SHE'S

SHE'S

SHE'S

SHE'S

「改めてこのステージに立って、スピッツみたいになりたいなと思った。ファンと一緒に生きてきて、その中で新たな層にも見つけられながら一緒に育っていって……今日、ここにはたくさんの世代が集ってる。僕らもそうなりたいですね」と、しみじみ語った井上。けれど今、この場が熱気で満たされているのは、まぎれもなくSHE’Sの奏でた音楽と観客が呼応したからだ。「そんな僕たちを応援してくれているみんなに向けて、一緒に生きていきたいなという思いを込めて作った歌を」と、続いては「Grow Old With Me」をプレイ。ハンドマイクで軽やかにステップを重ね、ラストを飾るのは「Dance With Me」だ。「まだまだ一緒に歌ったりできないご時世ですが、心の中で胸を躍らせて一緒に歌えたらなと思います。人生を踊ろう!」と、満開の笑顔で躍動感にあふれた旋律を弾き倒す。時にステージに転がり、最後の一音までスピッツへの敬愛を胸に高らかに歌い上げたSHE’Sだった。

SHE'S

SHE'S

■Hump Back

Hump Back

Hump Back

姿を現すや、3人で力強く声を合わせるさまに、観ているこちらまで昂る気持ちが伝播。初っぱなの「月まで」から、林萌々子(Vo.Gt)が朗々たる歌声を会場中に放出したのはHump Backだ。特大アンセム「拝啓、少年よ」では、豪速×直球の詞世界をオーディエンスの心のど真ん中に投げ抜く彼女たち。「初めてでも大丈夫、うちらはでっかい声でいい歌を歌うバンド、それだけ!」(林、以下同)と、この上ない自己紹介をブチかまし、客席から無数の腕が伸びる絶景を創出。ぴか(Ba.Cho)はジャンプしながらくしゃくしゃの笑顔をたたえ、Hump Backの世界へと引きずり込んでいく。鋭い言葉を高密度で発射する「僕らの時代」を経て、『ロックロック』への並々ならぬ思いを林が語る。

Hump Back

Hump Back

「スピッツのリハーサルを見て、何の例えでもなく本当にチビりそうになった! 同じ時代を生きて、同じ時代にバンドができて、本当にうれしいです。日本の誇りです!」

ポエトリー的な前段にも引き込まれる「がらくた讃歌」では、とても3人とは思えない極太のグルーヴ、純度100%のメッセージが高潔なほど美しい。美咲(Dr)が叩きつける凄まじいリズムをのろしにした「ティーンエイジサンセット」では、ぴかもピュアネスな歌声を披露。「普段仕事してる少年少女もおるやろ、誰かのお父さん、お母さんとして頑張ってる少年少女もおるやろ。未来は暗いと思わんとってな。うちらがでっかい声で歌うからさ!」と破顔。Hump Backが歌う<少年少女>、それは年齢のことではなく初期衝動そのものなのだと訴えかけてくる。

Hump Back

Hump Back

ガレージ感たっぷりに打ち鳴らす「宣誓」、関西弁のリリックに泣かされる「番狂わせ」と、怒濤のラッシュに拳を突き上げずにはいられない。一転して、しっとり奏でたのは「きれいなもの」。力強いスローバラードにのせ、言葉のシャワーが全身にやさしく染み込んでいく。最後はこの日一番の爆音で鳴らした「LILLY」! Hump Backらしさ全開、笑顔と涙がないまぜのアクトとなった。

Hump Back

Hump Back

■スピッツ

スピッツ

スピッツ

草野マサムネ(Vo.Gt)が奏でる旋律を呼び水にした「恋する凡人」で幕を開けた真打ち・スピッツ。どこまでも澱みのないクリアな音像が一気にZepp Nambaを包囲し、「野生のポルカ」では﨑山龍男(Dr)の正確無比なビートで踊らせ、サポートのクジヒロコ(Key)はアコーディオンで牧歌的なエッセンスをプラス。甘い浮遊感がたゆたう「不思議」では、ブライトな音が体中に多幸感をもたらしていく。田村明浩(Ba)はくるくる回転したりステージの両端まで駆けるなど、誰よりもこの場を楽しんでいる様子で、こちらまで顔がほころぶほどだ。MCでは、草野が先陣を切った2組への賛辞を送る。

「今回は『ロックロック』初の方にオファーしたんですけど、とても勉強になったな。SHE’Sにはそよ風を感じる。例えば『スピッツ物語』という映画を作るならエンディングはSHE’Sだね。Hump Backには冬の日差しを感じた。冬の合間に照ってきた光というか。3人であんなぶっとい音を出しているのを聴いたら、ご飯をいっぱい食べなきゃなと思いました(笑)」(草野、以下同)

スピッツ

スピッツ

秋の気配を感じる今にぴったりの「夏が終わる」は、ひとさじのセンチメンタルが何とも切ない。続く「正夢」では、初めて耳にしたときのときめきすらも超えてくるほど、豊潤なボーカルで包んでいく草野。三輪テツヤ(Gt)の爪弾くドラマチックな音色をはじめ、一人一人の巧みな演奏は言わずもがな、このまばゆき音楽のグラデーションはスピッツにしか出せないものだ。

スピッツ

スピッツ

「『ロックロック』は3年ぶりの開催で、「もうできないのかも?」なんてちょっと悲観的になる瞬間もあったんですが、また皆さんにお会いできてうれしいです。24回目と、結構長くやらせてもらってますけど、スピッツは地味にこの夏で結成35周年になりました。よくこんなに長く続けられたなって。俺らが健康を保てたのもあるけど(笑)、こうやって真剣に聴いてくださる皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。……って、こういうMCをした後、普通は古い曲をやるだろうに、カバーをお届けします(笑)」

スピッツ

スピッツ

ここで披露したのは、何と浜崎あゆみのメガヒット曲「Boys & Girls」! ざわつくオーディエンスを前に、それでもスピッツ節が漂うのはさすがの一言だ。彼らのフィルターを通せば、原曲以上にロック感が鮮やかになる、何とも不思議な音楽体験。その流れからの「メモリーズ・カスタム」に会場のテンションはピークを迎え、田村の轟音をトリガーにしたスリリングな「けもの道」では、壮大なサビとの往来にドーパミン全開! 最新曲ながらすっかりスタンダードと化した浸透率の「大好物」で本編は終了。アンコールでは、1992年発表の「白い炎」に客席が沸き立ち、オーラスには彼らの揺るがないスタンスを宣言する「醒めない」を据えて、最上のステージを締めくくった。

来年は、いよいよ25回目を迎える『ロックロックこんにちは!』。その記念すべき節目を前にした2日間は、改めてこのイベントだけが放つ温かなムードに触れられたひとときとなった。

取材・文=後藤愛 写真=オフィシャル提供(撮影:河上良)

セットリスト

『ロックロックこんにちは!Ver.24 ~なにわ24ぎ発見!?~』
9月22日(木)大阪・Zepp Namba (OSAKA)
 
■SHE’S
1.追い風
2.Masquerade
3.Over You
4.Ugly
5.Letter
6.Ghost
7.Grow Old With Me
8.Dance With Me

■Hump Back
1.月まで
2.拝啓、少年よ
3.僕らの時代
4.がらくた讃歌
5.ティーンエイジサンセット
6.宣誓
7.番狂わせ
8.きれいなもの
9.LILLY

■スピッツ
1.恋する凡人
2.野生のポルカ
3.不思議
4.夏が終わる
5.正夢
6.Boys & Girls(浜崎あゆみ cover)
7.メモリーズ・カスタム
8.けもの道
9..大好物
En1.白い炎
En2.醒めない

リリース情報

◆YouTubeスピッツ公式チャンネル “spitzclips”
https://www.youtube.com/user/spitzclipshttps://www.youtube.com/user/spitzclips

◆LIVE Blu-ray & DVD
『スピッツ コンサート 2020 “猫ちぐらの夕べ”』

2022年10月19日(水)発売
【初回限定盤】
Blu-ray (Blu-ray+2CD) ¥8,597(税込) 品番:UPXH-9032
DVD (DVD+2CD) ¥7,578(税込) 品番:UPBH-9571
【通常盤】
Blu-ray ¥6,559(税込) 品番:UPXH-1080
DVD ¥5,540(税込) 品番:UPBH-1505
 
◆LIVE Blu-ray & DVD
『SPITZ JAMBOREE TOUR 2021 “NEW MIKKE”』
2022年10月19日(水)発売
【初回限定盤】
Blu-ray (Blu-ray+2CD) ¥9,147(税込) 品番:UPXH-9033
DVD (DVD+2CD) ¥8,128(税込) 品番:UPBH-9572
【通常盤】
Blu-ray ¥7,109(税込) 品番:UPXH-1081
DVD ¥6,091(税込) 品番:UPBH-1506

《収録楽曲などの商品情報詳細》
https://www.universal-music.co.jp/spitz/

◆スピッツ WEBサイト・コンテンツ
https://spitz.lnk.to/officialweb
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