勅使川原三郎の衝撃作『青い目の男』が早くも再演
鮮烈で衝撃なダンスを間近に観られる機会
昨年の2015年は、13作品94公演を行ったという勅使川原三郎+KARAS。その拠点となっている東京・荻窪の複合アートスペース「KARAS APPARATUS(カラス・アパラタス)」のアップデイトダンス・シリーズでは、止まることを知らない旺盛な創作意欲と間近に接することができる。“アップデイトダンス”というのは、創作的な工夫を繰り返し、日々更新していくダンスの在り様を、そのまま観客にも観てもらうという意図のもの。固定化された振付の再現を目指す従来のダンスとは違って、その都度ゼロからダンスを更新し直していこうとするパフォーマンスが、毎回新たに展開される。
そして、1月16日(土)からは『青い目の男』がアパラタス版として再演されることになった。『青い目の男』は、ポーランドの作家ブルーノ・シュルツの短編『夢の共和国』を基に、昨年7月東京・両国のシアターXで創作・初演した作品だ。
「青い目の男は、宇宙の大いなる結びつきから抜け出さず、ケンタウロスのような半人半獣となり、自然の大いなる周期に縛られ、未完成でいながら成長をつづける。われわれはひとり残らず天性の夢想家である。」(ブルーノ・シュルツ『夢の共和国』より)
この初演の舞台を観た時の印象を綴った私のメモには、次のようにある。
「冒頭から狂騒的な音楽とともに踊る勅使川原と佐東がいる。起動が速くシャープな動き、常に未知の体のラインや軸、向きや姿勢、動きを展開する方向を探しては、ギアを切り替え、急発進・急加速・急停止を繰り返す永久機関と化している。しかも、それを頭脳でコントロールしているのではなく、常に体の末端の各部位をセンサーのように働かせて、その情報を中枢で統合しながらフィードバックし、さらなる動きを誘発させていくような動きなのである。0.何秒という瞬時にその作業が行われ、しかもそれがシームレスかつエンドレスに連なっていく。それでいて、決して体に無理や負担のない、しなやかなでオーガニックな動きになっているのであるから、奇跡に近いダンスを目撃している思いにとらわれるのである。決められた(固定した)振付をこなしているのではなく、踊り手が自律的に動けるメソッドを開発しただけでなく、そうした実践が行えるダンサーを育てていることは驚嘆に値する。変幻自在にして融通無碍なダンスがここにある」
冒頭から一気に引き込まれる激しいダンスに始まり、鮮烈な印象で圧倒する『青い目の男』。今回は勅使川原三郎、佐東利穂子に加えて、KARASの若手ダンサーの中でも進境著しい鰐川枝里も出演するという情報が飛び込んできた。この作品が、アパラタス版ではどうなるのか? 興味深いところだ。衝撃的なダンスを間近に観られるまたとない機会となりそうだ。
■原作:ブルーノ・シュルツ
■構成・演出:勅使川原三郎
■出演:勅使川原三郎/佐東利穂子/鰐川枝里
■日時:2016年1月16日(土)〜23日(土)
1月16日(土)20:00
1月17日(日)16:00
1月18日(月)20:00
1月19日(火)休演
1月20日(水)20:00
1月21日(木)20:00
1月22日(金)20:00
1月23日(土)16:00
*受付は開演30分前から、客席開場は開演10分前から。
*開演後の途中入場はできませんので、時間に余裕をもってご来場ください。
■会場:カラス・アパラタス/B2ホール(JR・丸の内線「荻窪」駅下車、西口より徒歩3分)
東京都杉並区荻窪5-11-15−B2 TEL:03-6276-9136
■料金:一般 予約2500円 当日3000円 学生1500円
■公式サイト:http://www.st-karas.com