グドモ同様、八王子観光PR大使にして超絶地元密着バンド・フラチナリズムのタフな笑い
フラチナリズム
八王子天狗祭 【白狐ステージ】 フラチナリズム
お揃いの派手なハッピ、「ドリフ大爆笑」をカバーした曲のSEで登場するという「30代崖っぷちバンド」は自虐のレベルを超えてるなぁと妙に感心してしまうフラチナリズム。しかもハッピの背中には”11月19日、中野サンプラザ絶対満員”の文字が。MCでは決して買ってくださいとは言わないところがエンターテイナー・モリナオフミの矜持と言ったら大げさか。
フラチナリズム
いきなりグドモの「コピペ」を結構な完成度でカバー……モリに言わせれば「『コピペ』をコピペした」ということになるのだが。もともと八王子で流しをやっていたバンドだけあって、居酒屋などでの地元民との出会いからなる支持層も厚い。この人、絶対、地元でファンになった顔見知りでしょ?というお客さんを何人も散見。もちろん、おなじみさんも一見さんも巻き込むのが、エンタメに身を投じたフラチナリズムの真骨頂で、巨大な扇子を回しながらの「大江戸ディスコ」に、踊るための四つ打ちってこういう演奏だよ!と思わず快哉を心の中で上げてしまった。フロアもおそらく今日一番バウンドしてる。サラリーマンの悲哀を誘う、忘年会にもお似合いな「ズコ☆バコ」でもダンスは止まらない。しかもモリの振り付け、田村優太(Gt)のコーラスなどが、歌謡テイストの曲の強さをタフに彩る。
フラチナリズム
「八王子観光PR特使を務めております、グッドモーニングアメリカよりはだいぶ売れてないバージョン、フラチナリズムです」とモリが笑いを取りに行くと、「どうやったら売れんの?たなしん」と、タケウチカズヒロ(Bs)が素でフロアのたなしんに尋ね、「たなしんに訊くな」とさらにモリが真顔でかぶせるオチまで付いていた。
フラチナリズム
そこでいきなり説明なく「KAN&PAI」を始めるタケウチを「初めての人もいるのだから」と、演奏を止めるジェントルマン担当のモリ。「みなさんもついやっちゃったと思うんですけど、KEYTALKで気持ち上がってるからやろ?」と身も蓋もない言葉でまた笑いをとる。とはいっても、このバンドの根本的な演奏力はかなりエグい。
フラチナリズム
いつもなら賑やかな「KAN&PAI」で終わるところを今日はグドモに敬意を込めて名曲「涙の雨がやむ頃に」をセット。グドモと同じ33歳。「バンドって、33ぐらいになるとほんまにしんどいんですよ!でもみなさんの笑顔を見るとやめられなくなって、また元気をもらって、それを続けてしまう」とモリ。もちろん、面白おかしいニュアンスに包んでいるが、これ、偽らざるあらゆるバンドの本音だと思う。八王子にフラチナリズムあり、を実証したあっという間の30分だった。
取材・文=石角友香 撮影=安藤未優
フラチナリズム
1. コピペ(グッドモーニングアメリカカバー)
2. 大江戸ディスコ
3. ズコ☆バコ
4. KAN&PAI
5. 涙の雨がやむ頃に