Czecho No Republic 常夏旋風でお台場の寒さを吹き飛ばしたツアーファイナル
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
Welcome to the Hotel Flamingo Tour
2016.11.12 Zepp DiverCity Tokyo
都内でも気温が10度を下回る日々が増え、コートやマフラーが手放せない、肌寒い季節となってきた。そんな中、お台場にはTシャツにタオル姿のロックキッズたちが集結し、Czecho No Republicのステージを今か今かと待ちわびている。チェコが今年7月にリリースした4thアルバム『DREAMS』のテーマは、「常夏」。そのアルバムを引っさげて回った全国ツアーでも、「全会場を常夏にしてきた」のだそう。ツアーファイナルとなった、11月12日。Zepp DiverCity Tokyoにも、常夏旋風が吹き荒れる。
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
期待感たっぷりのオーディエンスを前に登場した、チェコのメンバーたち。ステージはヤシの木やパラソルなどのセットに囲まれ、南国感漂う演出となっている。1曲目は、「Amazing Parade」。イントロでタカハシマイ(Cho/Syn/Per)が元気良くジャンプすると、フロアもそれに合わせて上下に揺れる。砂川一黄(Gt)は早くもギターソロで観客を煽りまくり、序盤からハイテンションのスタートを切った。続く「ネバーランド」でも熱はそのまま、タカハシが叩くタンバリンに合わせて、会場は手拍子で包まれる。今日のタカハシの衣装は、トロピカルなリゾートワンピース。カラフルな照明やVJも夏らしさ満点で、今が11月だということを本気で忘れてしまいそうだ。
ステージとフロアが一体となり、ハッピーなお祭りムードで繰り広げられるチェコのライブ。この日も、冒頭は踊れて歌える楽曲で固めて、快調すぎる走り出しだ。エキゾチックなイントロから始まる「Dream Beach Sunset」で、武井優心(Vo/Ba)はギターを置いてハンドマイクへ。手首を曲げて左右に振るフラミンゴダンスを観客とともに楽しみ、「外はすっかり寒くなってきたけど、今年最後の夏の思い出を作って帰ってください!」と、笑顔いっぱいに語る。
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
山崎正太郎(Dr)が大きく振りかぶってスタートした「Forever Dreaming」でも、スピードはまだまだ止まらない。砂川が「どんどんいこうぜ、ダイバーシティ!」と叫ぶと、息つく間もなくキラーチューンの「MUSIC」。武井とタカハシ、二人のボーカルが織りなすハモりや掛け合いが、耳にとても心地良い。
ようやく前半戦の盛り上げブロックを終え、ここからは変化球のセットリストへと突入。カントリー調の「ゴッホとジョン」では、タカハシがメインでマイクを握り、やわらかな歌唱で聴かせる。八木類(Gt/Cho/Syn)も、ギターを置いてシンセの前に立ち、コーラスと口笛で応戦する。
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
続くMCで、武井は「もっとみんなと夏を感じたいので、目を閉じてみましょう」と言って観客に目を瞑らせ、寸劇じみた砂川の音真似をバックに、夏の情景を語りはじめる。その間、メンバーはこっそりメキシカンハットを装着して衣装チェンジ。さらには、助っ人パーカッショニストとして、實吉祐一(テスラは泣かない。)もステージに登場!その後の「P.I.Cグアム」では、山崎と實吉が絡み合うグルーヴを魅せた。
この日初めて八木がメインボーカルをつとめる「ヘンリー・ジョーと海の城」から、武井がエモーショナルに聴かせる青春ソング「Blue Holiday」、そしてタカハシにマイクをバトンタッチした「Shiny Girl」と、中盤は『DREAMS』収録曲を中心に、特にめまぐるしい展開となった。このあたりのセットリストからは、まるでミュージカルでも見ているかのような印象を受ける。チェコ楽曲の場合、このようにメインボーカルやコーラスメンバーが頻繁に立ち変わるほか、楽器チェンジも多い。そのため、楽曲にさまざまな表情が見られるのだ。こうした音の変化を生で楽しめることこそが、チェコのライブの醍醐味だと言えるだろう。
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
この日は、会場まで電車を使ってやってきたというメンバー。武井が「電車にはチェコのTシャツやグッズを持ったファンがいたけど、誰も自分に気付いてくれなかった…」と嘆くと、それに続けて砂川も「俺も、ちゃんとメガネをかけて『砂川一黄です』ってわかるようにしてたのに、誰も気付いてくれなかった」とコメントし、会場を笑わせる。さらに武井が、「最近はあんまりメンバーと飲んでいなかったんだけど、このツアーで気合いを入れるために、みんなを飲みに誘った」と語りだす。メンバーを飲みに誘うのは久々で、どことなく恥じらいもあったのだそう。だが、意を決して「俺がおごるから飲みにいかないか」と提案したところ、砂川のテンションが瞬時に爆上がり。最終的には砂川が場を仕切りはじめたというエピソードも披露した。続けて、
武井:俺は、「お前らかかってこいや!」とか、言わないんですけどね。
タカハシ:ファイナルだし、今日は言っちゃえばいいんじゃない?
武井:……。かかってこいやー! 後半戦、楽しんでいこう!
そんな二人の掛け合いから、後半戦に突入。ダンサブルな四つ打ちソング「No Way」で、再びフロアに火を付ける。「Festival」「JOB!」と、立て続けに懐かしのナンバーを披露して勢いをつけたところで、新譜に収録されている超高速ソング「パニック」に突入し、コールアンドレスポンスも挟んで会場を煽りまくる! その後の「Firework」では、バックスクリーンに花火が打ち上がり、演奏が進むにしたがって、まるで夏休みが終わってしまうかのような切ない雰囲気が会場全体を飲み込んでいく。
「本当にみんな最高です、ありがとう」。感動を嚙みしめるような武井のMCから始まるのは、「ニューアルバムの中でも鍵となった大事な曲」だという、「Electric Gril」。この曲はPVにもなり、タカハシのキュートでセクシーなウェイトレス姿や、他メンバーの奮闘ぶりが話題となった。そしていよいよラスト、「Oh Yeah!!!!!!!」。マイクを通したメンバーの声量にも負けない、オーディエンスの元気いっぱいな「Yeah!!!!!!!」の声に、会場全体が震える。
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
その後は、もちろん鳴り止まないアンコール。再びステージにメンバーが登場し、12月13日にワンマンライブが決定したことを電撃発表。アンコールでは、新曲を含めた計3曲を太っ腹に披露した。武井の「これからもチェコをよろしくお願いします。みんな、最後一緒に歌ってくれ!」という言葉から始まったラストソング「ダイナソー」では、フロア一杯に上がった観客の手が照明を浴び、感動的な景色が広がった。
寒さを帯びていく日本列島に、このツアーで亜熱帯の風を投じたCzecho No Republic。こうして、2016年最後の夏がようやく幕を閉じたのだった。
取材・文=まにょ 撮影=山川哲矢
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
Czecho No Republic 撮影=山川哲矢
1.Amazing Parade
2.ネバーランド
3.Dream Beach Sunset
4.Forever Dreaming
5.MUSIC
6. ゴッホとジョン
7.Dreamer
8.P.I.Cグアム
9.ヘンリー・ジョーと海の城
10.Blue Holiday
11.Shiny Girl
12.No Way
13.Festival
14.JOB!
15.パニック
16.Firework
17.Electric Girl
18.Oh Yeah!!!!!!!
[ENCORE]
19.新曲
20.RUN RUN TIKI BANG BANG
21.ダイナソー