西岡徳馬と音尾琢真(TEAM NACS)が魅せる究極のサスペンス劇!『スルース~探偵~』スルースバージョン開幕
イギリスの劇作家・アンソニー・シェーファーの傑作推理劇『スルース~探偵~』。本作の「探偵バージョン」が11月25日(金)から西岡徳馬と新納慎也のペアで上演されていたが、いよいよ12月17日(土)からは、西岡徳馬と音尾琢真(TEAM NACS)のペア「スルースバージョン」で新国立劇場 小劇場にて上演される。1971年にトニー賞演劇作品賞を受賞した本作は、1973年に劇団四季によって初演され、その後も日本で何度となく繰り返し上演されてきた名作である。
『スルース~探偵~』
部屋の柱時計がカチカチと時を刻む音が響く中、とある著名なミステリー作家アンドリュー・ワイク(西岡)はマイロ・ティンドル(音尾)を自宅に呼び出した。実はマイロは、アンドリューの妻とひそかに付き合っていたという。呼び出しをくらったマイロは、不倫の追及を受けるものとばかり思っていたが、アンドリューは「浪費家の妻にはほとほと困り果てていた」「私にも素敵な愛人がいる」と切り出し、妻をマイロに渡すだけでなく、自宅の金庫に保管している宝石を、泥棒に扮して盗んで欲しいと言い出した。宝石には盗難保険がかかっているため、盗んだマイロは売りさばくことで大金が手に入り、また盗まれたアンドリューは多額の保険を手にできる…つまり双方に利益があるのだと言う。あまりにも虫の良い話だったが、金銭的に厳しいマイロはアンドリューの筋書きどおりに、珍妙な手順で宝石を盗み始めるが…
『スルース~探偵~』
『スルース~探偵~』
「探偵バージョン」をご覧になった方は、新納が演じたマイロと音尾が演じるマイロがまったく別人として描かれていることにさぞかし驚くことだろう。作家として成功し、豊かな生活をしているアンドリューに対し、マイロは父親の代からこの国イギリスで大変な苦労をしており、母国に帰ってしまうくらい、豊かさとは真逆の生活を続けていた。服装もハンチング帽にネルっぽいシャツにどこか汚れた生地のズボン。明らかに労働者階級のいでたちだった。だが貧しくても、アンドリューの妻に対するマイロの愛は揺るぎない、という点は同じだ。
『スルース~探偵~』
そんなマイロを振り回すアンドリューは、やることなすことすべてがどこか滑稽。まるで自分が執筆するミステリー小説のネタを、今まさにマイロを使ってやらせている、もしくは実証しているかのようなのだ。ただ、徐々にその言動がおかしくなっていき、アンドリューが本当にかくしていた本心が表に出ると一気に物語は加速する。追い込まれていくマイロの血の気が引いていく表情、追い詰めていくアンドリューの振り切れ方にご注目。そして一幕終わりには一つの物語が終わりを告げる。ぜひ、ここまでの物語を幕間の休憩中に忘れることなく、2幕を楽しんでいただきたい。
『スルース~探偵~』
アンドリュー役の西岡は音尾との共演について、「音尾さんと稽古してみると新納さんと同じ役なのにこれほど違うのかと、演じる人によってこんなに役が変わるものなのかと、長い俳優生活の中でこの人になって驚かされるくらい二人の役は異なっている。音尾さんの演技は新納さんより少しテンポが速いので彼についていこうと頑張っています」と語る。そしてマイロ役の音尾は「この作品はなかなか見れるお芝居ではないと思います。大変完成度の高い戯曲で基本的には少人数の舞台なのですが、登場しない人物の姿が浮き上がってきたり、家族模様が見えてきたりと非常に広がりのある、奥行きのある作品です」と語り、「2016年はこれを見ないと終われないぞ」とコメントしていた。
『スルース~探偵~』
『スルース~探偵~』
2016年11月25日(金)~12月28日(水) 新国立劇場 小劇場
2017年1月14日(土) ももちパレス 大ホール
2017年1月16日(月) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2017年1月18日(水) 仙台電力ホール
■出演:
西岡徳馬
※新国立劇場 小劇場のみ 2バージョン公演
[ 探偵バージョン:西岡徳馬/新納慎也 ] 11月25~12月11日
[ スルースバージョン: 西岡徳馬/音尾琢真(TEAM NACS) ] 12月17日~12月28日
※福岡・愛知・宮城公演はスルースバージョンのみ上演
[ スルースバージョン: 西岡徳馬/音尾琢真(TEAM NACS) ]