謎の美女にだまされる外務省のエリート役に挑む片桐仁が、『サクラパパオー』を語る
片桐 仁
ラッパ屋主宰の鈴木聡脚本、柿喰う客主宰の中屋敷法仁演出で、新たに生まれ変わる話題のヒューマンコメディ『サクラパパオー』。A.B.C-Zの塚田僚一ら、キャリアもジャンルもそれぞれバラバラな粒揃いのキャスト陣の中でも、唯一無二の個性をキラリと光らせているのが片桐仁だ。今回はなんと、外務省のエリートという意外な役柄に挑む彼に、作品のこと、舞台の醍醐味などを聞いた。
――今回、『サクラパパオー』への出演が決まって、まずどんなことを思われましたか。
台本は事前に読ませてもらっていたんですが、演出の中屋敷さんとは初めてご一緒するので、完全に初めてのパターンは、なかなかどうしても緊張してしまいますね。
――片桐さんでも、緊張されますか。
します、します。僕、不勉強なので中屋敷さんが主宰する劇団・柿喰う客もまだ観たことがなくって。だからどういう流れでオファーが来たのかわからないんです。とはいえ、本当にありがたいことです。
――鈴木聡作品への参加も初めてですし。
はい。彩の国さいたま芸術劇場の大ホールの舞台に立つのも初めてですし、もちろん東京国際フォーラムも初めて。一番の問題は、僕が競馬のことをまったく知らないこと。最初、台本を読んだ時には、本当に競馬の話だったので、かなりテンパりました。稽古に入る前、早めに競馬場に一度行ってこようかと思っています。
片桐 仁
――やっぱり、実際に行っておきたいですか。
行きたいですね。ちょっとどういう感じなのか、見ておきたいので。まだ台本を読んだだけですけど、本当に競馬場で競馬の話をする物語でしたからね。とはいえ、もちろん競馬に興味のない人にもわかりやすかったですけど。いろいろなことを競馬にかけて話すという感じもありましたし。あと、すげー変な話だなあとも思いました(笑)。
――そんな印象でしたか?
ええ、変な話でしたねえ。「ほう、そういう話なんだ!」と思いながら読みました。
――初めましての演出家さんと一緒にものづくりをするということに関してはいかがですか。
稽古をやりながら、新しい演出家さんに新しい自分の魅力を見つけてもらうというのが、まず大きいですよね。だけど、どんな稽古になるんだろうなあ。もう、舞台もかなりの数をやっているし、年もとってきているんですけど、やっぱりいまだに緊張はしますねえ。
片桐 仁
――今回のカンパニーの顔ぶれについては。
共演したことがあるのは、広岡(由里子)さんくらいかな。あとの方々とは、もちろん面識はありますけど共演経験はないと思います。それにしても塚田(僚一)さんが田原役っていうのは、なかなかシブいですよね。筋肉、金髪のイメージだけど、本番はどうするんだろう、金髪じゃなくなるのかな。どっちにしろ、だいぶ印象は変わるんじゃないでしょうか。一番、女の人に翻弄される役でもありますし、これって意外に大人の話ですよね。
――片桐さんが演じる的場というキャラクターについては、どう分析されていますか。
お堅い人というのは、コメディでは定石なので。もう、台本通りにセリフを言うだけで面白くなるはずだというシステムを感じたので、それに沿ってやっていきたいです(笑)。そういう意味ではイメージしやすい役なのかなあとは思うんですけど。
――外務省のエリート役、ということですが。
ね、そこなんですよね……。僕、髪型どうしよう? 短めに切って、オールバックかなあ。まあ、3年前に切った時は断髪式をしたりもしたんで、以前よりは髪型もそれほど不自由ではなくなりましたけど。まあ、エリートといっても、ちょっとバカですから(笑)。エリート感はまったくないですよ、あのキャラは。物語の中では本当にロクでもない男ですよ、いいように金をつぎ込ませられるというか。昔、ありましたよね、こういう話。外務省のエリートではなかったけど、チリの女性に貢いでいた人、あの人は今、どうしているんだろう……。
――なかなか共感することはできなそうなキャラではありますね。
イメージとしてはわかるんです、エリートだからきっとそれまですべてうまくいっていたんだろうし。だからこそ、すぐだまされちゃうという典型的な感じですよ。実際どう演じるかは、まだ全然わからないですけどね。そういうところにリアリティみたいなものがうまく出せたらいいなあと思っています。
片桐 仁
――改めて、舞台でお芝居をするという楽しさ、醍醐味はどういうところに感じられていますか。
それはやっぱり稽古があって、お客様の前でナマで毎日演じるところですね。毎日、変わっていくところも本当に面白いですし。まさに生き物みたいなところがあって、その日のお客さんの反応によっても影響を受けるし、その日の自分の体調でも変わりますから。だから当たり前のように同じことを繰り返すのではなく、毎日毎日一生懸命やりたいんです。一度やったら、もう戻ってこないですからね、その日の舞台は。
――その、一回限りというのも魅力。
そうです。だけど、だいたい公演も後半になってくると「ああ、もうちょっとこうすればよかった」とか、途中で気づくことがあったりとか。そういうことが毎回あるんで、それもまた面白いです。
――お客様へ向けて、片桐さんからもお誘いのメッセージをいただけますか。
ほとんどが塚田さんのお客さんなんでしょう?(笑) ま、きっと98%くらいはそうなんでしょう。でもホント、みなさんに楽しんでもらえるようにしたいです。もしかしたら最初はちょっと「あれ、これマニアックな話なのかも?」って思うかもしれませんが、内容はすごくよくできた人間ドラマなので。そこはしっかり観てほしいですし、たっぷり楽しんでいただきたいですね。
片桐 仁
取材・文:田中里津子 撮影:荒川潤
■演出:中屋敷法仁
■出演:
塚田僚一(A.B.C-Z)
黒川智花
伊藤正之
広岡由里子
木村靖司
市川しんぺー
永島敬三
■日程:2017年4月26日 (水) ~2017年4月30日 (日)
■会場:彩の国さいたま芸術劇場
■問合せ:パルコステージ 03-3477-5858
(月~土 11:00~19:00/日・祝 11:00~15:00)
■日程:2017年5月10日 (水) ~2017年5月14日 (日)
■会場:東京国際フォーラム ホールC
■問合せ:パルコステージ 03-3477-5858
(月~土 11:00~19:00/日・祝 11:00~15:00)
■日程:2017年5月16日(火) 19:00開演
■会場:電力ホール
■主催=仙台放送/ぴあ
■問合せ=仙台放送 022-268-2174(平日9:30-17:30)
■日程:2017年5月19日(金) 16:00開演
■会場:穂の国とよはし芸術劇場 PLAT
■主催=キョードー東海
■問合せ=キョードー東海 052-972-7466