ケルティック 能『鷹姫』 東西のアートの出会いが生み出す“異空間”


 日本の伝統芸能である能と、ケルト文化が根付いているアイルランド。この2つを結び付けるのは、神秘主義やロマン主義に影響された作品により独特の味わいを確立した、詩人・劇作家のウィリアム・バトラー・イェイツだ。彼がアイルランドの幻想文学的な伝説をベースに執筆した戯曲『鷹の井戸』は、輪廻転生を思わせる悠久の時をテーマにした物語。小泉八雲が魅了された日本の怪談や手塚治虫の名作『火の鳥』にも通じる内容であり、「幽玄」というキーワードが似合う作品である。

 日本でも新作能の名作『鷹姫』として上演され続けてきたが、東京・オーチャードホールで上演される「ケルティック 能『鷹姫』」は、初めて“日本+アイルランドの劇的融合”を実現した歴史的な公演だ。この作品を何度も舞った人間国宝の梅若玄祥が主役(鷹姫)を演じ、日本の伝統を担う能楽師たちが出演。一方アイルランドからは、幻想的なハーモニーを聴かせるコーラス・アンサンブルの「アヌーナ」が出演し、歌声によって神秘的な空間を演出する。都会のコンサートホールが、冬の一夜だけ異空間へと変容を遂げることだろう。

 幻想・怪異ものは能の演目の中で重要な位置を占めるが、この『鷹姫』は文化のぶつかり合いから生まれる新しい(そして冒険的な)形になるはず。話題となった『ジャパン・オルフェオ』に続き、ジャンルを問わず「神秘的なるもの」に惹かれる方にこそ体験してほしいステージである。

文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ 2017年1月号から)


ケルティック 能『鷹姫』
2017.2/16(木)19:00 Bunkamuraオーチャードホール
問合せ:プランクトン03-3498-2881
http://takahime.jp/
WEBぶらあぼ
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