濱田めぐみにインタビュー「井上芳雄と『足して2ではなく、さらに倍の力を出したい』」『トニー賞 コンサート in TOKYO』

インタビュー
2017.2.9
濱田めぐみ

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アメリカ演劇の祭典・トニー賞が公認するミュージカル・コンサートが、2017年3月18日(土)、日本で初開催されることとなり、この模様がWOWOWで生中継される。

このコンサートに出演するのは、2015年のミュージカル『王様と私』で渡辺謙と共演し、見事、トニー賞ミュージカル主演女優賞を受賞したケリー・オハラ、ミュージカル『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』でトニー賞ノミネート、海外ドラマ『glee/グリー』のウィル・シュースター先生として人気を博したマシュー・モリソン、日本のミュージカル界をけん引する“プリンス”井上芳雄、そして『フランケンシュタイン』『王家の紋章』『デスノートTHE MUSICAL』など、国内ミュージカルでその顔を観ない日はないのでは!? と言われる歌姫・濱田めぐみだ。

本番まで約1か月となったある日、都内スタジオにて濱田がこのコンサートへの想いを語ってくれた。

――『トニー賞 コンサート in TOKYO』の出演が決まったときのお気持ちは?

トニー賞といえば、舞台・ミュージカルをやっている役者にとって、ある意味神聖な行事。それに携われるお仕事をいただけることにまず驚きました。(井上)芳雄くんと、日本のミュージカル界を良い形で皆さまにご紹介できる素敵な機会だと思い、気合いが入りましたね。

濱田めぐみ

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――ケリー・オハラさんとマシュー・モリソンさんとの共演が楽しみですね!

以前、渡辺謙さんのドキュメンタリー番組を拝見した際、ケリーさんがミュージカル『王様と私』で出演されていて、「ああ素敵な女優さんだなぁ」という印象が強かったです。今回彼女のお名前があったのですごく驚いたのと同時に、彼女から良いものを吸収できたら、と楽しみにしています。
マシューさんはミュージカル『ヘアスプレー』に出演されていて、私がNYに行ったときに観ていたんです。その作品も好きですし、彼のあの魅力を間近で観れるかと思うとワクワクします。「楽しみ」しかないですね!

――そして日本からは井上芳雄さんが出演することになりました。これまでのお仕事で井上さんにどんな印象を抱いていますか?

芳雄くんは(稽古の)最初はざっくりと入っていくんですが、(本番には)完璧に、かつスペシャルな状態で仕上げてくる人なんです。最初ほんわりしていて、「ああ、そのくらいでいいのか…」とこっちが油断していると、次に会うときに完全版をバン!ともってくるので、うかうかしていられない。「もぉ~よっちゃんったらぁ~!」って(笑)舞台で共演させていただきましたが、舞台上に芳雄くんがいてくれればそれで安心という感覚にさせてくれますね。気配りの人です。今回芳雄くんがいてくれると聞いて、これはいい意味で頼れると思いました。彼の人を惹きつける「吸引力」は本当にすごいので、二人で「足して2」ではなく、さらに倍の力を出せるようにしたいです。

――今回濱田さんはどのような楽曲を歌ってみたいですか?

「ザ・トニー賞」のような楽曲を歌ってみたいです。例えば『南太平洋』とか。自分が歌うだけでなく、その楽曲を聴きたいです。「ザ・グランドミュージカル」と呼ばれる作品を、母国語で歌われるのを彼らから聴きたいですね。自分がそこに参加できることで刺激にもなるし。間近で早く聴きたいですね!その世界観に入れることにワクワクしています。

あとは、白黒映画時代までさかのぼって、誰も知らないような作品の楽曲を歌ってみたいですね。「何これ?」と聞かれたときに「この作品はね…」って紹介できるくらい、古き良き作品を発掘して世に出していきたいです。歌いたい曲、というよりそういう事をしたいですね。

当日までの準備として、「楽曲の時代背景とかを深く勉強したい。自分の中の知識って自分の興味本位でしか集められていないので、深くその作品を理解し、どういう方がこれまで歌ってきたのか、相手役はどういう方々だったのか、などリサーチしてみたい」と語る濱田。

たった1回だけのコンサートにかける濱田の力の入れ具合にこちらも興奮を隠し切れない。

濱田めぐみ

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――会場には目(耳)の肥えた方から、初めてこういったコンサートを観る方まで、いろいろなお客様がいると思いますが、それぞれにどのような楽しみ方をしてほしいですか?

ミュージカルファンの方はマシューさんやケリーさん、芳雄くんが出られること、それだけでもう豪華で贅沢な場となると思いますが、彼らが自分たちが演じたことのない役の歌を歌うのもおもしろいと思うんです。自分たちが生まれた頃の楽曲とか、携わったことのない種類の楽曲を手掛けるのって興味深いですね。ミュージカルを長年愛してくださるファンの方なら、そこから生まれる化学反応を嗅ぎ取れると思うんです。
新しい方々にはとにかく「ミュージカルはそんなに堅苦しいものではない、言葉が音になり、その音が連なってメロディになるだけの話」と伝えたいです。言葉が入ってない音楽だけでも癒されることってあると思うんですが、歌も一緒で言葉であり、音であり、楽器のようなもの。いろいろな概念や観念を取り払って、なにも考えずに観ていただきたいですね。4人でたくさんの楽曲を歌うので、好きな曲とか好きな世界観とかがそこから見つかるんじゃないかな? 

――歌はもちろんのこと、トーク番組で披露するおしゃべりも上手な濱田さん。ケリーさん、マシューさんと当日どのような話をしてみたいですか?

まだ想像がつかないですね。人見知りになってしまうので、どういう事を聴いたら怒られないかな?とか、怖いな、とか(笑)。マシューさんに関してはTVドラマ『glee/グリー​』について、劇場ではないお仕事の話を伺ってみたいし、ケリーさんにはやはり渡辺謙さんと共演された『王様と私』の裏話みたいなものを伺うことができれば…聴けるものなら聴いてみたいですが…まだ作戦検討中です。

――では、そこはMCスキルの高い井上さんと「チーム・福岡」でタッグを組んでいただいて…

芳雄くんにリードをお願いしたいですね。皆さんが知りたいことは私も知りたいこと、ですから。ブロードウェイ・ミュージカルの世界観とか、日本に来てどう思った?とか、舞台の作り方の違いとか、日本のお客様とブロードウェイのお客様の違いを比較して、感想を聴いてみたいですね。

――「比較」という点で、濱田さんがブロードウェイのミュージカルを日本版でやるときに特に意識してきたことってなんでしょうか?

アメリカの台本を日本版に翻訳するとき、まるまる翻訳をしても意味が通らないことがよくあるんです。翻訳者のセンスで意訳されて戻ってきたり、逆にそのまんま訳される方もいらしたり。大事なことは「その場面が意図する事を、結果的に同じ言葉をしゃべらなくても同じ印象にならないといけない」ということ。(濱田の代表作のひとつでもある)『ウィキッド』で、羊がどうとかカモメがどうとかいうくだりを日本語に訳しても「…はあ?」ってなりますし。これはこういうブラックジョークを話しているんだ、ということを念頭に置きつつ、そのシーンを理解してやる、というのが第一段階。
そこを過ぎると次に圧倒的に「言葉数が足りない」問題が出てきます。日本語にすると、一つの言葉「あ」や「う」に「LOVE」などの言葉を入れることになるんです。日本でブロードウェイの作品を立ち上げるときにいちばん大変で大事なのは、実は「翻訳」そして「歌詞」。歌詞はとことん考えますね。3割くらいしか言葉数が入ってこないから。そこを埋めるのは演出と演じる側の情報量。どこまで意味を深く理解してセリフをしゃべっているのか。そういうところまでしていかないといけないから、ものすごく時間がかかります。
『ライオンキング』『アイーダ』など劇団四季時代にもやらせていただきましたが、毎日夜中までかかって作業をしていました。そこを乗り越えないとブロードウェイのミュージカルを日本で上演するのは難しいんじゃないかな。文化の壁、価値観の壁、言葉のニュアンスの壁など…

濱田めぐみ

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劇団四季時代から今日に至るまで、ロングラン公演に携わることが多いという濱田。その積み重ねの結果というべきか、幕が開いた瞬間、その日の客層の違いがわかるという。今日は初見の方が多いな、とか…。

初見のお客様が多いと感じたとき、濱田は、振り返るしぐさひとつとっても、肩から振り返るのか、目からいくのか、びっくりして振り返るのか、その瞬間、瞬間のインスピレーションで取捨選択し、演じている、と語る。

初見のお客様が多いときは、とにかく集中して言葉を届けなければならない。ストーリーがわかるように惹きつけなければならないんです。

濱田めぐみ

濱田めぐみ

――『トニー賞 コンサート in TOKYO』が終わり、3か月もすると、第71回トニー賞授賞式が開催されます。お忙しくてなかなか日本から離れられない濱田さんですが、現地で特に観たい作品はありますか?

アメリカに友達がいるので、行けるとなったらもう何かを観るって決めずに手あたり次第観たおしたいです(笑)オフ・ブロードウェイの作品とかもね!

公演情報
『トニー賞 コンサート in TOKYO』
 
■日程:2017年3月18日(土)開場:17:00/開演:18:00
■会場:東京国際フォーラム ホールA
■主催・制作:WOWOW
■出演:ケリー・オハラ、マシュー・モリソン、井上芳雄

WOWOW 生中継!「トニー賞 コンサート in TOKYO」
出演:ケリー・オハラ、マシュー・モリソン、井上芳雄
2017年3月18日(土)WOWOWプライム
http://www.wowow.co.jp/stage/tonyconcert/

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