生き方から恋愛観まで、真摯に奔放に語られる「Catch the Moment」と2017年のLiSA

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2017.3.4
LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

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2016年を総括してもらった前回のインタビューに続き、今回は“2017年のLiSA”のはじまりを可憐に、力強く告げた最新シングル「Catch the Moment」について訊いた。現在の彼女そのものが垣間見えるこの新曲を紐解くうち、話題は次第に核心へと迫っていき、最終的には恋愛観についての話題にまで飛躍。相変わらず心底楽しそうで、NGなし!とばかりにフリーダムに語られる、LiSAの本質をどうぞ。

――2月15日にリリースされた新曲「Catch the Moment」は、以前のインタビューでも答えてくれていたけど、“この5年間があったからこそ”生まれた曲だったって言ってたよね。

そう。本当にそう。ここで書けた歌詞は、この5年間があったからだし、みんなが居てくれたからだと思います。前にも言ったかもしれないけど、いままでだったら、いろいろな出来事を1個1個集めながら、“これを永遠にしていけるかな?”とか“きっと永遠なんてないよ! ずっと一緒になんていられる訳ないじゃん!”って思ってたけど、自分の中でまったく想像していなかった未来に横浜アリーナという場所があって、改めて“これはみんなが作ってくれた場所なんだ!”って思えたんです。

――歌詞は、本当にリアルなLiSAの想いそのまんまだもんね。

この歌詞、私が書いたと思うでしょ?

――え!? 違うの!? 絶対LiSAが書いた歌詞だと思ったんだけど、違うの!?

ううん、私。

――……え!? 何? 何故のトラップこれ……。

いやいやいや(笑)。長く私のことを見てくれてる人とか、1回聴いただけで「絶対LiSAが書いた歌詞だと思った」って言ってくれるから(笑)。まさに今、そのままの言葉を言われたから、“あ、やっぱり!”って思ったの。前に『LiVE is Smile Always ~NEVER ENDiNG GLORY~「the Sun」&「the Moon」』のライブレポートを書いてくれたとき、“【念願の】と書きたいところだが、たぶん、LiSAが歌を歌い始めた直後頃は、きっと具体的に横浜アリーナで単独公演を行うことなど、夢のまた夢過ぎて、想像できていなかったに違いない”って書いてくれてたでしょ? それ読んだとき、本当にそうなんだよなぁ~なんで分かっちゃうんだろ? って思ったの。

――LiSAは200%で生きてるから、分かりやすいんだもん(笑)。ただただ一生懸命に“今”を生きてるからね。

そっか(笑)。バレバレだね!

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

――みんなそんなLiSAの生き方に惹かれているんだとも思うよ。

だとしたら嬉しいな。本当に横浜アリーナという場所でのライブは“念願”ではなく、想像すら出来なかった場所だったから。1個1個大切にみんなと作り上げてくるうちに、いつの間にか辿り着いていた場所だった。そう思ったら、この先も、みんなと一緒に目の前にあるものを一生懸命に作り上げていったら、みんなとずっと死ぬまで“永遠”に遊び続けていられるのかもしれない!って思ったんです。そんな希望を持たせてくれたみんなが、私に「Catch the Moment」を書かせてくれたんだと思います。この歌を初めて歌ったのは、横浜アリーナでのライブの最後だったんだけど、たくさんたくさん表現した後に、“大好きです”って告白してるのと同じというか。ちゃんと説得力のある状態で、大事な言葉を言う感じでこの歌をみんなに届けたんです。

――「Catch the Moment」は、2017年2月18日より全世界で公開の映画『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の主題歌でもあるんだよね?

そうなんです。“一緒に映画を観た人がいたら、その人に「ありがとう」って言いたくなるような曲にして下さい”って監督に言われたのもあって、この物語の内容をしっかりと理解して、自分の想いと重ねながら向き合って作ったんです。

――MVは、いつもと少し違ったテイストだったね。

ちょっと大人っぽいですよね。私からリクエストしたのは“時を歌っているので、何かしら時を感じさせるイメージの映像にしたいです”ってことだったんです。今回、ジャケットとMVを同じチームにお願いしたので、コンセプトが同じで。ブックレットとかの写真と映像が全部リンクするようになっているんです。

――なるほど。MVに出てくる子供たちが、最初モノクロの映像なのに、最後LiSAの居る世界に飛び出してくるところではカラーになっているでしょ。そこがすごく印象的だった。

嬉しい! 時を表現する上で、私は歌詞の中にワードとして入れていたんですけど、映像では、子供の頃からの時間の流れを使って時を表現して下さったんです。時が色づくまでの流れが描かれてるというか。ジャケットの写真にも時を表すモチーフが私の体の上に写っていたりするんです。

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

――「Catch the Moment」は、“今のLiSA”を強く感じる1曲だけど、LiSAが描きたかった“時”ってどんなものだったの?

歌いたいこと自体は昔から変わっていないんですけど、今、夢の先に自分が立てている気がしているんです。自分が歌手になりたくてデビューした、その先の夢が武道館で。実際に武道館やってみて、ふと思った時に、その先の夢って考えたことなかったなって。その先の夢を見つけたくて、みんなと一緒に走っていたら、いつの間にか横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナや日本ガイシホールがあって……っていうように、次の夢がどんどん勝手に広がっていったんです。未来を見れるようになった今だから、すごく希望を抱けるようになって。それまでは無理矢理にでも未来に希望を持たなくちゃって思って、楽しいことを探そうとしたり、自分がいい子でいられるようにとか、前向きに考えられる方法を探したりしてきたんだけど、今は、“1つ1つみんなと楽しいことを重ねていったら、想像していなかった未来にみんなと一緒に行けるんじゃないか!?”って思えるようになってきたので、その気持ちの変化を描きたいなって思ったんです。根本にある、心配性の部分は昔から変わらなくて、これはきっと未来に行っても変わらないなと思ったので、もう諦めたんです(笑)。

――分かるよ、すごく。先が見えていないとすごく不安になっちゃうよね。でも、そういう根本的なところってなおらないんだよね……。

そうなの! なおらない。だからね、そこは諦めたの(笑)。目標がない自分はダメなのかもしれないって思ったり、それで自己嫌悪になったりしちゃうのは、もう仕方ない。けど、そういう自分が見つけた安心材料は、みんなと生きてた先に思いがけない幸せがいっぱいあったということ。そう思えるようになったらね、この先、私がお婆ちゃんになっても、みんなと一緒に共有出来るのかもしれないって。それくらいみんなと一緒に長く生きていけるのかもしれないって、みんなと出逢って抱けるようになった。それが、今、私が歌う意味になっているし、歌える希望になっているなって思うんです。いままでは、自分の中の不安になることを、どうやって解消していいか分からなかったんです。

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

――いままではどうしてたの?

いままではね「次の約束はね!」とか、「じゃぁ、次は何の約束をしようか?」って、全部疑問系で投げかけてた気がするの。メールの返信が返ってこないのが怖いから、全部疑問系で投げかけるみたいな(笑)。

――なるほど、その都度その都度の確認や約束が必要だったわけだね!

そうそうそう。途切れさせない、常にデートの約束を入れておく!みたいな(笑)。「こんなにみんなと一緒にいたいんだよ!」っていうことをずっと言ってないと不安で不安で。楽しむよりも必死に頑張ることが大事だと思っていたというか。でも、今は、もうちょっとみんなにも自分にも委ねられるようになったし、ちょっと自分に期待出来るようになったのかなって。

――すごく大きな変化ではあるけど、その変化の仕方も、やっぱりLiSAっぽいよね。<「臆病」でも開けちゃうんだよ>っていう歌詞にも感じるけど、根本はやっぱり不安が消し去れないっていう臆病さに、一生懸命さを感じるんだよね。一生懸命声を張る、そんなLiSAは永遠に変わらない気がする――というか、より200%な生き方になってる気がするというか。やっぱり、そこがLiSAの良さなんだと思うんだよね。

うん。本当にそうなのかも。大人になればなるほど自分が傷つかない方法を見つけようとするから、曲がってみたりとか、強がってみたりとかして、歪だなって思うのね。10代20代は、一生懸命自分を守る方法を見つけながら自分を守って生きて来たけど、子供の頃は、お母さんにいっぱい怒られてもお母さんのことが大好きっていう、変わらない、ブレないものがあって、ずっと信じていたいものがあったと思うのね。逆に今になって、そんな子供の頃の思いが強くなってる気もするの。ちょっと前までは、信じたかったから強いフリしてたんだなって思ったし、傷つくのが怖かったから踏込めなくて卑屈になって。そういう気持ちを解放して、根本的な自分の気持ちを探していくと、子供の頃と同じで、怖いけど信じたいっていう思いが強くあることに気付いたっていうか。今、本当に子供の頃の自分に戻れている気がするんです。改めて自分を振り返ると、本当に卑屈な時間の方が長かったなって思うから。

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

――信じたいものを手放しで信じられるって幸せなことだよね。

そう。本当にそう思う。今ね、私がそうなれたのは、好きな人に好きって言ってもらえてるからだと思う。10代20代の頃の私って、本当に卑屈で。“愛されたいのはアンタじゃないの!”みたいな、何かにすごく反発してたというか(笑)。今は、自分が好きな歌を歌えていて、それを好きだって言ってくれる人がいる。自分の好きなものを一緒に好きになってくれる人がいる。友達がいっぱい出来ている気がするというか。1人じゃないんだ!っていう感覚があって。親の無性の愛ではなく、他人との擦り合わせでリンクしてる部分をすごく感じていて、“あぁ、1人じゃないんだな”って思えてる。好きな人に好きって言ってもらえる場所があるから、今、私はすごく幸せなんだと思う。

――幸せだね、LiSA

うん!

――この先、LiSA の気持ちの変化が歌詞に反映されて、ちょっとずつ歌詞も変化していきそうな気もするね。

うん、そう思いますね。私、結果が未知数過ぎるものに夢を抱けないんです。分かります?

――分かるよ、だから横浜アリーナに夢を抱けなかったんでしょ?

そう! そうそうそう! それってね、恋も同じなの! めっちゃ仲良くなって、相手からの好意を感じないと、好きになれないの。分かる?

――それは分からない(笑)。

あははは(笑)。恋人になる人って、ある程度仲良くなって“あ、この人、私のこと好きなのかも”って思わないと、そういう意識になれない――つまり恋愛感情が沸かないってこと。手の届かないところにいる人に恋愛感情が沸かないっていうか……あれ?

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

――あれ? じゃないよ!(笑)

憧れの先輩とかに恋は出来ないタイプなんですよ、私。それは、あくまでも憧れ(笑)。

――なるほど、分かった分かった、言いたいこと理解できたよ!(笑) 遠過ぎるものを実際のものと感じることが出来ないってことだよね?

そう! そうなのそうなの! 憧れはするけど、実際の恋の相手というか、対象とは思えないってこと。だからね、武道館はずっとずっと好きで、実際にオーディションではあったけどその場所に立った感覚を覚えていたし、体感しているから恋愛対象だったけど、横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナは恋愛対象じゃなかったっていうか、横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナと恋愛する想像がまったくつかなかったってこと! それが現実的ではないと思っていたから。だからね、私にとって新しい夢が出来るっていうことは、ちゃんとそこに立ててるからだなって思うんです。

――なるほどね。納得納得。LiSAらしい解釈だね。っていうか、思わぬ展開から、LiSAの恋愛講座になっちゃったけどね(笑)。

ホントホント(笑)。

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

――カップリングの話もしようか。『リングアベル』は、NHKの『みんなのうた』のために書き下ろした曲だけど、これも泣いちゃうね。キュンとする。不安や寂しさを、心の何処かに潜ませているLiSAだからこそ書ける歌詞だよね、これも。LiSAなりのウエディングソングだね。これ実話?

半分くらい実話。リングアベルっていうおまじないは、『みんなのうた』で流れることが決まったって聞いて、ちっちゃい子たちが、覚えちゃうようなおまじないの言葉を作りたいって思ったんです。私がちっちゃい頃に覚えた言葉って、“パパパパンプキン”だったんですよ。意味は分からなかったけど、なんかリズムみたいなので、自然と覚えちゃう呪文みたいなイメージだった。そんな言葉を作りたくて、リングアベルって言葉を作ったんです。

――実際、LiSAがおまじないの言葉として使ってた言葉ってあったの?

私はね、“亀さん幸せこっちへ来い!”。知ってる?

――知らない。それ岐阜だけなんじゃない?(笑)

マジで!?(笑) そうなのかなぁ。黄色い車が通ったのを見たら「亀さん幸せこっちへ来い!」って言うと、幸せになれるよ!って。逆に、緑の車を見たら「亀さん不幸あっち行け!」って言うの。あとね、3.16なんとかかんとかみたいな数字とか……

――3.14ね。それ、おまじないじゃなくて円周率だから……。

あ、それそれ(笑)。

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

――あ、それそれって(笑)。でも、どうしてウエディングソングを作ろうと?

この歳になると友達がどんどん結婚していくんですよ。それで、寂しいなと思って。寂しいソングです(笑)。昔はね、女友達に彼が出来ると、みんな彼と会う方を優先してだんだん遊んでくれなくなっちゃうんで、彼氏に友達を取られちゃう!ってすごく寂しくて嫌だったんです。でも、そんな彼と友達が幸せな結婚をすることになったことを、今はすごく喜べる。自分の大切な人が幸せになるって、すごく素敵だし嬉しいことだな、寂しいけどすごく幸せだなって。やっと“私の友達取らないでよ~!”って思わなくなったというか(笑)。そんな想いを曲にしてみたんです。

――なるほどね。すごくいい曲だよね。歌詞もすごくいい。“ぶどうのグミ”や“追いつきたくて パパと練習した自転車”っていう、具体的に映像が浮かんでくるワードに涙しそうになるよ。

嬉しいな。みんなの心にあたたかく響いてくれたら嬉しいなって思います。

――「Merry Hurry Berry」はライブ向きな1曲だね。

でしょ! 私ね、モーニング娘。とか、つんく♂さんが仕掛ける音楽って大好きだったんです。中でも歌が飛び抜けて上手だった、あやや(松浦亜弥)が大好きで、ひたすらあややのCDを聴いてたくらい好きだったんですけど、彼女の曲って、大人から子供まで全員が楽しめる曲じゃないですか! よくよく聴き込んで分析してみると、いろんな掛け声とかがいろんな声質で入ってたりするんですよ。そんな、みんなで音楽を楽しめるような曲を歌いたいなって思って、それがこの曲。振り付けもみんなで一緒に楽しめるものになっているので、ライブで一緒に楽しみましょう!


取材・文=武市尚子 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

LiSA 撮影=上山陽介

リリース情報
11thシングル「Catch the Moment」
発売中

【初回生産限定盤(CD+DVD)】
SVWC70233-70234 / 1,800円+税 
初回生産限定盤

初回生産限定盤

■収録楽曲■
M1:Catch the Moment(「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」主題歌)
作詞:LiSA 作曲:田淵智也 編曲:江口 亮
M2:リングアベル(NHK「みんなのうた」2016年12月-2017年1月放送)
作詞:LiSA 作曲:野間康介(agehasprings) 編曲:野間康介(agehasprings)
M3:Merry Hurry Berry
作詞:古屋 真 作曲:前山田健一 編曲:Tom-H@ck
■初回生産限定盤特典■
・「Catch the Moment」ミュージッククリップ&「リングアベル」映像収録DVD
・16P撮りおろしブックレット

【期間生産限定盤(CD)】
SVWC70235 / 1,300円+税
期間生産限定盤

期間生産限定盤

■収録楽曲■
M1:Catch the Moment(「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」主題歌)
作詞:LiSA 作曲:田淵智也 編曲:江口 亮
M2:リングアベル(NHK「みんなのうた」2016年12月-2017年1月放送)
作詞:LiSA 作曲:野間康介(agehasprings) 編曲:野間康介(agehasprings)
M3:Catch the Moment -Instrumental-
■期間生産限定盤特典■
・「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」
描きおろしイラストミニポスター&三方背スリーブ

【通常盤(CD)】
SVWC70236 / 1,200円+税 
通常盤

通常盤

■収録楽曲■
M1:Catch the Moment(「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」主題歌)
作詞:LiSA 作曲:田淵智也 編曲:江口 亮
M2:リングアベル(NHK「みんなのうた」2016年12月-2017年1月放送)
作詞:LiSA 作曲:野間康介(agehasprings) 編曲:野間康介(agehasprings)
M3:Merry Hurry Berry
作詞:古屋 真 作曲:前山田健一 編曲:Tom-H@ck

 

ライブ情報
「LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~」
・2017年6月17日(土)神戸ワールド記念ホール(兵庫)
・2017年6月24日(土)さいたまスーパーアリーナ(埼玉)
・2017年6月25日(日)さいたまスーパーアリーナ(埼玉)
・2017年7月1日(土)日本ガイシホール(愛知)
料金:指定席7,560円(税込)

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