大切なものを守るため、刀剣男士が刀を振るう! ミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年(みとほせ)の子守唄~ゲネプロレポート
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年(みとほせ)の子守唄~
新たに5振りの刀剣男士を加え、歴史をかけた戦いがまた幕を開ける。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年(みとほせ)の子守唄~が3月4日(土)よりAiiA 2.5 Theater Tokyoにて上演される。それに先立ち、同日、マスコミ向けの公開ゲネプロを実施。謎のヴェールに包まれていた新部隊の激闘を完全レポートする。
刀剣男士、ここに出陣!
白熱のゲネプロを控え、取材陣の前に現れたのは6振りの刀剣男士と演出家の茅野イサム。
唯一、トライアル公演、そして阿津賀志山異聞からの登場となる石切丸役の崎山つばさは「およそ1ヶ月前から稽古が始まり、あっという間にこのゲネプロを迎えた」と感無量。「新刀剣男士と力を合わせて、アンサンブルのみなさんもそうですが、ひとつになって、ミュージカル『刀剣乱舞』をつくり上げてきた」と共に稽古を重ねてきた仲間との絆に想いを馳せた。
それぞれ役の見どころを聞かれたキャスト陣は、まず崎山が「徳川家康や他の人間たちとの交流を通じて、刀なんですけどどこか人間味が増した石切丸が見られると思う」と口火を切ると、にっかり青江役の荒木宏文は「刀としての成長」と宣言。
石切丸役の崎山つばさ
千子村正役の太田基裕は「妖刀と言われている刀なので、他のキャラクターにはない妖しいところだったり妖艶な雰囲気だったり、ちょっと違う空気を出せたら」と、役さながらの艶っぽい笑みを浮かべた。
そんな千子村正の唯一の理解者である蜻蛉切役のspiは「村正との関係が見どころなのかなと思います」と、村正一派の連帯感を見せた。
一方、今回が2.5次元ミュージカル初出演という物吉貞宗役の横田龍儀は「喜怒哀楽がすごく激しくなっているので、いろんな人に共感してもらったり楽しんでいただきたいなと思っています」と初々しくアピール。
(左から)にっかり青江役の荒木宏文、大倶利伽羅役の財木琢磨
大倶利伽羅役の財木琢磨は「すごくクールなキャラクター。表情の変化があまり出せない分、動きとか佇まいとか目の動きで気持ちを表現できたらと思っています」と、こちらも役同様、クールに熱演を誓った。
赤ん坊は、後の徳川家康!? 刀剣男士の子育てに注目!
(左から)石切丸役の崎山つばさ、物吉貞宗役の横田龍儀
そうして幕が上がったミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年(みとほせ)の子守唄~。今回、「歴史修正主義者」の策略から歴史の改変を防ぐべく、刀剣男士が向かったのは天文11年。数々の武将がにらみ合う戦国時代の真っ只中だ。
石切丸を隊長に、6振りの刀剣男士が守るのは、ひとりの赤ん坊。そう、その赤ん坊こそ後に戦乱の世に終止符を打つ知将・徳川家康だった。
「歴史修正主義者」の攻撃により赤ん坊は両親を失ってしまった。このままでは後の歴史に大きな狂いが発生してしまう。6振りの刀剣男士は側近に成り代わり、無事に天下を統べるまで、この赤ん坊を立派に育て上げることを誓う。
(左から)物吉貞宗役の横田龍儀、竹千代役の阿由葉朱凌
演出の茅野イサムが宣言する通り、本作は「家康の一生を描く壮大な大河ドラマ」。生まれたての赤ん坊が少年、そして精悍な青年へと成長していくさまを、6振りの刀剣男士はそれぞれの距離で見守る。
それだけに、決して戦いでは見られない柔らかい表情が盛りだくさん。乳母車を押しながら散歩をするにっかり青江に、赤子を背負い槍をふるう蜻蛉切など、戦場での勇壮な姿とは一転、チャーミングな素顔に目が細くなる。
にっかり青江役の荒木宏文
一方、6振りの刀剣男士の間でも思惑はそれぞれ。特に、新たに本丸にやってきたばかりの千子村正は飄々としてミステリアス。子育てに関わるなどもっての他という気ままな態度で、刀剣男士たちを少し離れて見守る。また、馴れ合いを良しとしない大倶利伽羅もひとり単独行動に。新たな編成のこのチーム、どうやら一枚岩にはまだ程遠いようだ。
千子村正役の太田基裕
だが、月日の積み重ねは、そんな刀剣男士の間に徐々に変化をもたらす。特に大きな成長を見せるのが、孤高の存在・大倶利伽羅だ。ふとしたことから農民の吾兵と出会った大倶利伽羅は、吾兵に「剣術を教えてほしい」と請われる。この戦乱の中で、自分が無力なばかりに家族を失ったと嘆く吾兵。そんな吾兵に突き動かされたように、大倶利伽羅のクールな心は少しずつ変化していく。
(左から)吾兵役の高根正樹、大倶利伽羅役の財木琢磨
石切丸らの支えもあり、赤ん坊だった子どもも立派に成長。晴れて徳川家康と名乗り、さらに息子の松平信康をもうける。信康に学問や剣術を教えるうちに、刀剣男士の胸の内には父性が芽生えはじめていた。
しかし、歴史は残酷な決断を彼らに差し向ける。
(左から)徳川家康役の鷲尾 昇、松平信康役の大野瑞生
史実では、家康は息子・信康に切腹を命じているのだ。なぜ家康は愛息を自害に追いこんだのか。徳川家の愛刀である物吉貞宗にもその理由はわからない。自分たちにとっても息子同然である信康をみすみす死なせていいのか。逡巡する仲間をよそに、ひとり揺るぎない決心を胸に信康のもとへ向かったのは、信康に惜しみない愛情を注いでいた石切丸だった――。
華やかな歌と殺陣が見どころの本作。もちろんこうした見せ場は過去のシリーズ同様、観る者を圧倒するが、それ以上に心を揺さぶるのが、人間とのドラマだ。
(左から)蜻蛉切役のspi、大倶利伽羅役の財木琢磨、千子村正役の太田基裕、物吉貞宗役の横田龍儀、にっかり青江役の荒木宏文
我が子同然の信康の危機を前に、刀剣男士の胸中は激しく乱れる。幼子の霊を斬ったという謂れを持ちながら、家康、そして信康を育て、赤ん坊の温もりを知ったにっかり青江。もう一度、主に仕えることができた喜びに浸っていた物吉貞宗。全ての命のために祈り、救いたいと願いつつ、悲しい役割を自ら背負おうとする石切丸。使命と愛情のはざまで揺れ惑う刀剣男士の苦悩が胸を締めつける。
また、吾兵に師弟愛とも友情とも思える感情を抱きつつあった大倶利伽羅にも、ある事件が訪れる。決して人前で私情を見せない大倶利伽羅が背中で語る悲しみ、そして誇り高き男としての誓いは、鋭い刀のように観客の心を貫くだろう。
信康のため、仲間のため、使命のため、6振りの刀剣男士が最後に選んだ決断に刮目してほしい。
(左から)物吉貞宗役の横田龍儀、竹千代役の阿由葉朱凌、蜻蛉切役のspi
キャスト陣は、「脱ぎまショウか?」が口癖の千子村正役の太田基裕がインパクト大。そのぶっ飛んだキャラクターを嬉々として演じ、客席を盛り上げた。また、蜻蛉切役のspiの豪快な明るさもいい。特に終盤、物語が佳境に入るほど、そのまっすぐさが光る。すべてが終わった後、蜻蛉切が幼少期の信康をひょいっと肩車してみせた何気ない場面が、まるで炙り出されたように脳裏に甦り、哀切を誘った。
蜻蛉切役のspi
崎山つばさの沈着の中に見せる強い意志、荒木宏文のニヒルな笑み、横田龍儀の爛漫さ、財木琢磨の気高き一匹狼っぷりも、それぞれ印象的だ。また、家康役の鷲尾昇、信康役の大野瑞生の好演もここにしっかり記しておきたい。
(左から)石切丸役の崎山つばさ、大倶利伽羅役の財木琢磨
本編終了後は、15分の休憩を挟み、おなじみのライブに。こちらは詳細はお楽しみということで伏せておくが、6振りの個性が炸裂するステージングは、終始手拍子が絶えない熱狂ぶり。ぜひペンライトを持参の上、大いに盛り上がりたい。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年(みとほせ)の子守唄~は、3月4日(土)~26日(日)までAiiA 2.5 Theater Tokyoにて上演。その後、大阪公演(梅田芸術劇場 メインホール/4月1日(土)〜9日(日))を経て、4月14日(金)~23日(日)までAiiA 2.5 Theater Tokyoにて凱旋公演を果たす。
大切なものを守るため立ち上がった6振りの刀剣男士の壮烈な一太刀を、ぜひ心に刻みつけてほしい。
(C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
【東京】
2017年3月4日(土)~3月26日(日)
AiiA 2.5 Theater Tokyo
【大阪】
2017年4月1日(土)~4月9日(日)
梅田芸術劇場 メインホール
【東京凱旋】
2017年4月14日(金)~4月23日(日)
AiiA 2.5 Theater Tokyo
原案: 「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
演出: 茅野イサム
脚本: 御笠ノ忠次
振付: 本山新之助
<出演>
石切丸役:崎山つばさ
にっかり青江役:荒木宏文
千子村正役:太田基裕
蜻蛉切役:spi
物吉貞宗役:横田龍儀
大倶利伽羅役:財木琢磨
徳川家康役:鷲尾 昇
松平信康役:大野瑞生
竹千代役:阿由葉朱凌 ※Wキャスト
竹千代役:小島幸士 ※Wキャスト
吾兵役:高根正樹
岩崎大輔 大野涼太 小笠原真悟 鴻巣正季 佐藤一輝 杉山諒二
西岡寛修 服部 悠 原 周石 山口敬太 伊達康浩 市川裕介
栗本聖矢 小島久人 白濱孝次 中村悠希 林 瑞貴 前川孟論
主催:ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
(ネルケプランニング ニトロプラス DMM.com ユークリッド・エージェンシー)
<公演に関するお問い合わせ>
ネルケプランニング 03-3715-5624 (平日11:00~18:00)
前売開始 2017 年2 月12 日(日)AM10:00~
料金 8,800 円(前売 ・当日共/全席指定/税込)
※大阪公演のみ S 席:8,800 円 A 席(3 階席):6,800 円
https://musical-toukenranbu.jp/