「METライブビューイング2015」大和悠河トークイベントレポート

レポート
クラシック
舞台
2015.9.3
写真提供/松竹

写真提供/松竹

この秋から10周年を迎える「METライブビューイング2015」。ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(通称MET)で、上演される世界最高峰のオペラを東京の東劇をはじめ全国の映画館で上映するという、オペラ好きな観客にとって魅力あふれる企画だが、秋からの新シーズンのラインナップを前に、東劇では8月8日から9月25日まで、これまで上映された人気作を一挙アンコール上映中である。
 
その東劇で、8月30日、不朽の名作として知られるヴェルディの『椿姫』の上映前に、元宝塚トップスター・大和悠河のトークイベントが行われた。

進行役はクラシックソムリエとして知られる田中泰。大和悠河は『椿姫』のヒロインのヴィオレッタが劇中で身に着けているものと同じ真紅のドレスで登場。メトロポリタン歌劇場はじめ世界中の劇場に足を運んでいるというほどのオペラ愛や、著作である『大和悠河のオペラとお菓子の旅~愛のヒロインを生きて~』(中央公論新社刊)の話、また「METライブビューイング」で観るオペラの魅力などを熱く語った。
撮影/榊原和子

撮影/榊原和子


【大和悠河トーク】 

オペラとの最初の出会いはマリア・カラスの生き様に興味を持ったことからで、彼女の出演したオペラをDVDで観たり、アルバムを聴くうちにすっかり彼女に魅了され、そこからオペラにのめり込みました。
世界中の歌劇場に聴きに行くようになったのは宝塚を退団してから。様々な劇場を訪ねることで、同じ作品、例えば『椿姫』でも、オーソドックスなものから現代風までいろいろな演出があることを知りました。今年もメトロポリタン歌劇場で、今回ライブビューされる演出の『椿姫』を観てきました。オープニングから意表をつく演出で舞台には巨大な時計があるだけ。斬新な舞台で一気に引き込まれてしまいました。

メトロポリタン歌劇場は客席が3800という大きな劇場で、そこでマイクなしで生の声を響かせる歌手の方々は本当に素晴らしいなと思います。また「メトは世界のオペラの中心」と言われるだけあって、世界各国のスター歌手が集まっていて、「この役ならこの人」とオペラファンなら観たいと思う夢のキャスティングが観られるところです。
撮影/榊原和子

撮影/榊原和子


『椿姫』という作品の魅力は、やはりヒロインのヴィオレッタの生き方で、私の本、『大和悠河のオペラとお菓子の旅~』の中で対談させていただいた大野和士さん(リオン国立歌劇場の首席指揮者)が、「ヴィオレッタは高級娼婦なのだけれど、その歌声を聴くと彼女のピュアさが伝わるんです」とおっしゃっていたように、すごくピュアな心の持ち主だと思います。そして彼女の愛は身を引く愛なんですよね。そこが日本の観客に愛されるところだと思います。

この「METライブビューイング」では、そんな素晴らしいオペラを、大きな画面で臨場感いっぱいに味わえるんです。10台以上のカメラで収めたさまざまなアングルからのライブ映像や、5,1chサラウンドという全方向からの音楽。また日本語字幕が出ることによって物語がとてもわかりやすくなっています。さらに素晴らしいところは、いわゆる「幕間」にインタビュアーがバックステージに入り、歌い終えてきたばかりの歌手の方々にインタビューをしているんです。そのインタビュアーが、なんと現役の歌手の方なので、聞きたいことを聞いてくれるうえに専門家ならではの深さがあって、それにも感動します。

また、この「METライブビューイング」の凄さは、収録から数週間という短かさで世界各国に発信されていることで、10月31日から始まる新ラインナップは、これからメトで上演される舞台ですから、まだニューヨークの観客も観てないものなんです。まさにニューヨークにまで行かなくても、現在のメトのオペラを観られる。それがこの「METライブビューイング」の魅力だと思います。

私も今ではすっかり「METライブビューイング」のファンで、秋からの新ラインナップも楽しみなのですが、まずは9月25日までのアンコール上映の中にも、沢山観たい作品がありますので、きっと客席にしょっちゅう座っていると思います(笑)。
写真提供/松竹

写真提供/松竹


【取材・文・撮影/榊原和子】 
 
上映情報
『METライブビューイング アンコール2015』

期間:8/8~9/25
会場:東劇(東京都)
料金◇当日一般¥3,100 学生¥2,100(税込)
※「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 一般¥4,600 学生¥3,200(税込) 特別鑑賞券4枚セット ¥10,400
問い合わせ:東劇 03-3541-2711
METライブビューイングHP: http://www.shochiku.co.jp/met/

演劇キック - 宝塚ジャーナル
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