ウェルナー・ヒンク(ヴァイオリン/ゲスト・コンサートマスター)「トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズの演奏は特別で意欲的です」

インタビュー
クラシック
2017.3.20
ウェルナー・ヒンク ©林 喜代種

ウェルナー・ヒンク ©林 喜代種


 1995年の結成以来、150回以上の演奏会を行ってきたトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ(以下、TMP)は、この3月に新たに東京オペラシティを会場として活動を始める。そこで、今回、ゲスト・コンサートマスターをつとめるウェルナー・ヒンクに、その抱負を聞いた。

「私がTMPについて知ったのは2011年にゲスト・コンサートマスターとして参加依頼を受けた時です。ディスク録音があったので、それを聴き、大変興味を持ちました。そして、自分がコンマスとして出来ることがあると感じたのです。今回は、4年ぶりの参加ですが、以前の経験が素晴らしかったので、非常に楽しみにしています」

 そして、TMPの特徴をこう語る。

「特別なアンサンブルです。初めて参加した時、とても意欲的だと感じました。TMPは本当に完璧な演奏、美しい音色を持っており、またオペラにおいても質の高い演奏ができます。私が参加したモーツァルトの《コジ・ファン・トゥッテ》やウェーバーの《魔弾の射手》は今でも忘れられない」

 今回、モーツァルトの最初の交響曲と、最後の交響曲を演奏するが、その理由は、「2つの作品で交響曲第1番から第41番『ジュピター』まですべての創造力を結合させることができるから」と語る。

「第1番を演奏して『ジュピター』を演奏する。そのことで『ジュピター』のフィナーレに向けて大いに高揚できます。『ジュピター』の最終楽章に登場するテーマ、“ド・レ・ファ・ミ”は、交響曲第1番第2楽章にも登場します。このような音楽のフレームワークが見られるのです」

 ところで、指揮者なしで『ジュピター』を演奏するのは至難な作業ではないのだろうか?

「私はクァルテット、そしてウィーン八重奏団での経験があります。ウィーン八重奏団は弦楽器と管楽器のアンサンブルなので小さいオーケストラ。『ジュピター』もまた大きな室内楽であり、例えばシェーンベルクのように複雑ではないので、コンマス主体により、指揮者なしで演奏するのは十分可能です」

 コンサートでは、オペラ《フィガロ》序曲とアリアの演奏もある(この部分のみ、清水醍輝の指揮)。そんなオペラ作曲家としてのモーツァルトについては、「彼はオペラで最も才能が溢れていて、それゆえ彼は最高のオペラ作曲家だと考えています。物語の展開、ドラマの仕立て、いずれにおいてもモーツァルトは最高です」と語る。

 「音楽演奏で重要なことは、気分や雰囲気の作り方」というだけに、新たなホールでどのようなモーツァルトを披露してくれるか、とても楽しみだ。

取材・文:山田真一
(ぶらあぼ 2017年4月号から)


トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ オール・モーツァルト・プログラム
3/30(木)19:00
東京オペラシティ コンサートホール
問合せ:ミュージック・マスターズ03-3560-6765
http://www.music-masters.co.jp/
WEBぶらあぼ
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