脳が踊るダンス!? 初来日「GERMINAL-ジェルミナル」
「GERMINAL - ジェルミナル」
まさに“コンテンポラリー”なダンス
横浜市で開催中の一大ダンスフェスティバル「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015」。数あるプログラムの中でも、これまで一度も来日したことがなく、もっとも気になる公演が「GERMINAL-ジェルミナル」だ(9/11~13@KAAT神奈川芸術劇場)。「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015」の記者会見でも映像で紹介され、またあらためてトレイラーを見直してみても、「ムッ!? こりゃなんじゃ!?」「踊ってないやんけ!?」という感じなのだ。
「GERMINAL-ジェルミナル」は、フランス/ベルギーを拠点に活動するパフォーマンスユニット、アロリー・ゴエルジェとアントワンヌ・ドゥフォールのふたりによる作品。2012年12月フランスのリヨン・ダンスビエンナーレで世界初演されるや、大きな話題を巻き起こし、ヨーロッパの多くの批評家たちから絶賛されたという代物だ。
タイトルにもなっている「GERMINAL (ジェルミナル)」とは、「幼芽の…」「未発達の」といった意味。「すべてが失われた世界」を表す「何もない舞台」の上に、ダンサーらしからぬ、ごく普通の男女4人が登場する。そして、「もしもこの世界を、ゼロからもう一度やりなおすことができたら?」という壮大な問いを前に、全力で取り組みはじめる!?
彼/彼女らはゼロからコミュニケーション手段を発明し、事物を発見し、分類し、組織して、社会と文明を形成していく……。歴史の常識とはまったく異なる奇想天外な発想が、驚くべき素朴さで舞台上に展開されていく。舞台の床を掘り返してしまったり、その穴に身体ごと潜ったり…。その過程で観客はただ足下をすくわれ、腰砕け感で脱力し、心の中で突っ込みを入れながらも、4人の織りなす知的なウィットとナンセンスな笑いに満ちた世界に巻き込まれていく。見たこともない斬新な手法で常識や固定観念がいとも鮮やかに覆され、頭の中で「脳が踊りだす」ような楽しい感覚に陥っていくはず。
「ダンス」作品でありながら、舞台上でダンスを踊るシーンは一切なし。しかし、そこにはダンスやアートの概念、さらには社会や現実を鋭く問うセンスがある。アートの作用・効用とは、常識や固定観念を覆えすことで現実を活性化させることでもある。その意味で、この作品は疑いようもなく「ダンス」であり「アート」といえるだろう。
ジェローム・ベルやトーマス・レーメン、リミニ・プロトコル、ティム・ エッチェルス(フォースド・エンタテインメント)など、オルタナティブで先鋭的なパフォーミングアートにハマったことのある人にはぜひ見てほしい、一見の価値アリの公演だ。
※GERMINAL by Antoine Defoort & Halory Goerger (Trailer)
■会場:KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ
■コンセプト:HALORY GOERGER & ANTOINE DEFOORT(アロリー・ゴエルジェ&アントワンヌ・ドゥフォール)
■出演:Jean-Baptiste Delannoy(ジャン-バティスト・ドラノワ)/Halory Goerger(アロリー・ゴエルジェ)/Denis Robert(ドゥニ・ロベール)/Beatriz Setién(ベアトリッツ・セティヤン)
■料金:前売り4,000円
■お問合せ:横浜アーツフェスティバル実行委員会 045-663-1365 info@dance-yokohama.jp
http://dance-yokohama.jp/eventprogram/germinal/