石川界人×花澤香菜×悠木碧 青春ミステリー『サクラダリセット』放送直前インタビュー

インタビュー
アニメ/ゲーム
2017.4.20
青春ミステリー『サクラダリセット』放送直前インタビュー

青春ミステリー『サクラダリセット』放送直前インタビュー

 4月から放送中のアニメ『サクラダリセット』。住人のおよそ半数が何らかの特殊能力を持つという街、咲良田(さくらだ)。「記録保持」の能力を持つ浅井ケイと、“世界を最大3日分巻き戻す能力”「リセット」を持つ春埼美空は、2年前「リセット」の影響で、本来命を落とすはずではなかったが、命を落としてしまった同級生の相麻菫を生き返らせる方法を探します。

 ここでは、ケイを演じる石川界人さん、美空を演じる花澤香菜さん、菫を演じる悠木碧さんに、作品の魅力を語っていただきました!

CMのナレーションで「リセット」って言っていてオーディションが来たとき、運命的なものも感じていました(花澤)
――『サクラダリセット』に参加することが決まったときの思いは?

悠木碧(以下、悠木):もう本当にありがたいなぁという感じなんですけれども、私、オーディションの時点できちんと読み込めていなかったので、どんな作品になるんだろうと。それにケイと春埼のキャスティングを聞いたときに、どんなやり取りができるのか楽しみだなぁと思いました。

――オーディションを受けたのは一役だけだったんですか?

悠木:いや、春埼も受けてます。春埼と菫のどちらも受けていて、菫はこういう風にやりたいなというのが、結構がっつり頭の中にあったんですけど、春埼は正直掴みきれないまま終わってしまったんです。だから春埼が花澤さんと聞いて、超納得!というか。私だったら花澤さんが良いなって思っていたくらいなので、このオーディションの私の読みは合っていたんだなと思いました。

それと界人は、熱いキャラというか、ヒーロー然としたキャラクターのときのほうが一緒になることが多かったので、ケイのような、クールというか、のらりくらりしている空気を出しつつっていうのはどんな感じだろうと思っていたので、新しいお芝居を見せてもらったような気がしております。

――石川さんはいかがですか?

石川界人さん(以下、石川):オーディションの段階で作品の概要を読ませてもらったときに、リセットで女の子の涙を消しに行く物語だと。そして、ある街限定で能力があるとあって、面白そうだな、すごくやりたい作品だなと思ったので、決まったときは「あ…嬉しい!」ってなりました。

僕も実はオーディションを受けるときに脳内キャスティングをしちゃうタイプで、ケイは僕じゃないなって思っていたんですよ。どちらかと言うと声が若い人というか、線が細い声の人がやるのかなって。悠木さんがおっしゃっていた通り、わりと熱い役をやることが多くて、それもあってオーディションの段階では、熱くケイを演じていたんですね。

その後原作を読んだときに、これ決まるのかな?と思っていたんですけど、実際に決まったので、これは頑張らなければと思いました。

花澤香菜さん(以下、花澤):私は以前、KADOKAWAさんのCMのナレーションで『サクラダリセット』の紹介をしてて、「リセット」っていうセリフまで言ったことがあったんですよ! 

だからあの作品のオーディションだ!と思って、そこから原作を読んでオーディションに参加したんですけど、そういう運命的なものも感じていました。私はあおちゃん(悠木)と真逆で、春埼はとってもイメージできたんです。

菫ちゃんのオーディションも受けたんですけど、スタッフさんもどうしようか迷っていると言っていて、次はこうしてみようとかいろいろやってみたんですけど、全然わからないし、どうしたらいいんだろうなと思っていたので、菫役があおちゃんだと聞いたときは「あ~、あの子なら!」って。

石川:お互いの信頼関係がすごい(笑)。

花澤:あおちゃんの菫はすごそうだと思ったら、案の定1話からすごかったです。

――脚本を見ると、セリフがびっしり書いてあって、独特な言い回しだなと思いました。

悠木:やっぱりセリフ量は多いなと思いましたし、結構言葉で説明している部分が多いんですけど、多いからって抜いていいセリフがあるわけではないんです。なんて言ったらいいのかな、リズムが大事というか。会話全体を通してのリズムがあって、春埼がそのリズムを止めるところに入ってくるというか。

逆に言うと春埼のセリフを聞かせるために、賑やかにしゃべらないといけないような気がする。いっぱいいろいろなことを説明しているけど、一番重要なのは“リセット”なんだなというのを感じる台本だと、読んでいて思いました。菫に関しては、この先皆さんにビックリしてもらえる部分が多くなっていく子なので、それこそ1話から、かなり含みを持たせています。

――菫は正直、何を言っているのかがよくわからないですよね。

悠木:すごく抽象的なんですよね。たぶん全部見終わってからもう一度見ていただければ、何を言っているのか超わかる!っていう感じだと思います。

――石川さんはいかがでしたか?

石川:台本をもらう前に原作を読んだんですけど、映像化が非常に難しいだろうなと思いました。あとがきで先生も同じことをおっしゃっていて、映像化を前提に書いていないとあったんです。

でも今ならば映像化できるということでアニメ化や実写化がされたと思うんですけど、やはりすごいなと思ったのは、台本の段階で原作の雰囲気をすごく汲んでいるところ。原作と違わず、比喩表現がすごく難しいんです。我々役者というのは言葉の職業で、そういった言葉遊び、状況による言葉の質の変化というのはすごく面白いと思うので、読んでいてすごく楽しめる本だし、だからこそ演じるのは難しいなと思いました。

花澤:私も原作の雰囲気がとっても好きで。読んでいくうちに作品の雰囲気に溶け込んでいくような感覚でした。私の身近でも不思議なことが起きないかなって思わせてくれるような面白い原作です。

あとシナリオをすべて高山カツヒコさんが担当しているんですけど、美空が結構“リセット”をするので、辻褄が合うようにしなければいけないから、他の人に振れないから全部書きますとおっしゃっていて、これは作る側もメチャクチャ大変だと思いました。

――タイムリープものは全部わかってないと混乱しますよね。

石川:でもだいぶわかりやすい表現になっていると思います。

悠木:字を追っているときは難しいなって思っていたけど、みんなと掛け合うとわかるんですよ!すごくすんなり入ってきて。

――じゃあアニメの画がついたら、さらによくわかるでしょうね。

花澤:そうですね。リセットをして時間が戻っても、ここまで同じセリフだったけど、ここからが違う、というのがわかりやすくなっているので、みんな楽しめるんじゃないかな。

ロジックでは言い表せない何かが織り込まれているのがすごく好き(石川)
――アフレコでは、かなり掛け合いをした感覚がありましたか?

石川:そうですね、会話劇とはまた違うんですけど、何て言うんですかね、言葉の投げ合い?

悠木:音楽を合奏しているのとかに近いのかな。誰かが主旋律をやって、そこにリズムをとるように相槌を打って、最終的に春埼のリセットで落としてもらう。最初のほうは春埼の言葉数が少ないから、そういう印象がありました。春埼がしゃべるようになってくると、みんなのリズムの中に入ってくる感覚があって。

石川:合奏とは、言い得て妙ですね。

――石川さんは、オーディションでは熱くとおっしゃっていましたが、だいぶ印象が変わったんじゃないですか?

石川:オーディションの原稿が、わりと切迫したシーンだったので、その背景がわからずに熱くやってしまったんですけど、原作を読んでから台本を読むとまったく印象が変わったので、ほぼ違うキャラクターになっています。

だからなぜ受かったのかはよくわからないのですが(笑)、やっていてすごく楽しいですし、何よりケ イが好きですね。ロジックの積み重ねもそうですけど、そこに人としての感情というか、ロジックでは言い表せない何かが織り込まれているのがすごく好きです。

――花澤さんの春埼も、途中でガラッと印象が変わりますね。

花澤:そうですね。中学生のときは、誰としゃべっていても同じような感じで。人と人がしゃべっているのではないような、とっても違和感のある話し方をしているんです。そういう描写は小説の中でも書かれていたので、それを汲んでやっていました。

でもケイを思ってしゃべるときは、表情が豊かになる、自分の意思でものを言っているようになればいいなと思いました。ディレクションでも、中学生のときはロボットのような感じでやっていたので、どんどん柔らかくなっていったらいいよねって言っていただいたので、そういうふうにしています。

――悠木さんは逆にあまり変わらない?

悠木:菫は春埼に比べると、最初は打ち解けやすいように見えるんですけど、話が進むに連れて一番違和感が残るのは彼女かもなっていう。変わってないんだけど変という。変というか、含みがあるというのが残ればいいなと。

全員の考えていることが全部わかっているような感じを出しつつ、基本的には気まぐれで、自分のペースに巻き込むのが上手い子なので、キャラクターの説明にあるように猫のような印象でいけたらいいんじゃないかなと思いました。

――1話はいかがでした?

石川:すごく刺さるなと思いました。この作品の大前提になることは1~2話で提示されるというか。「リセット」と「記録保持」という2人の能力が合わさることで世界を巻き戻すことができるという説明がされるので、彼らが今後どういうことをしていくのか。彼らの人間性も1~2話ではすごく的確に表現されていると思いました。

花澤:あと音楽が素晴らしい!牧野(由依)さんの歌(「reset」)、素敵だったね。

石川:すごく良かったですね。

花澤:アフレコの体感としては結構急ぎながら進んでいるような感じだったんですね。でも映像で見て、ゆったりとした音楽がついてると、こうですよねっていうか。とても見やすくなっていて、安心しました。

――急ぎながらとありましたが、アフレコはどのような感じで?

石川:普通のアフレコに比べてめちゃくちゃ早いんですよ。理由はいろいろあると思うんですけど、一番の理由は、対話で進んでいくので、誰かがここだけ直すというのがあまりないんです。

制作の皆さんも、しゃべりの尺に(画を)合わせますとおっしゃってくれているので、その中で生まれたものを大事にしてくれているんですね。だから直しも少なくて、すぐに終わる感じです。

花澤:そう言いますけど、ケイはめちゃくちゃセリフ量があるんですよ。それをちゃんとスムーズに言ってくれるから。

悠木:すごく捌き切ってるなと。

花澤:捌いている界人くんがいるから早いんじゃないかなと。

――演者から出た対話の空気感を大事にされてるんですね。でも、わりと淡々とした印象を台本では受けました。

石川:わりと物静かです(笑)。

花澤:そう。この間、シーンとしすぎて、あおちゃんが私の太ももをぺって触ってきて「沈黙に耐え切れない」って(笑)。

悠木:なんか、久しぶりにアフレコに行ったら、あれ?みんなもしかして死んじゃった?と思って(笑)。

花澤:なんかね、役やセリフのことを考え出すと止まらなくなるんですよ。だからどこかに飛んでいってるのかもしれない。

悠木:なんか空を見ながらボーッとしてて、みんな生き返ってーって(笑)。

石川:休憩時間に一度すべて忘れたいんです。考えるのをやめて、感じるままにやりたい(笑)。

悠木:みんなどっかに行ってるけど、確かにイヤな沈黙ではない!

石川:そうそう。話すときは話すし、話さなくても、みんなそれがイヤじゃないから、すんなり本番に入れるみたいな。なんか僕、勝手にですけど家感あるなと思ってます(笑)。

この作品の一番いいところは、みんなの能力が、そうでもないっていうところ(悠木)
――では最後に、彼らのような能力があったら、どんなふうに使いたいかというのを聞いてみたいのですが。まず中野智樹の、特定の人物に声を届ける能力はどうですか?

石川:仲のいい友達にめっちゃいたずらしたいですよね。今寝ただろうなって時間に、「朝だよ起きて!」ってずっと響かせるとか。あと体調が悪いときに、マネージャーに「休みます」って連絡する。

悠木:相手は返事を返せないから、ケータイの電源切って寝るんでしょ?

花澤:私はパンが好きなので、パン屋さんのシェフって見えないところで働いているじゃないですか。でも美味しいパンをありがとうという気持ちを伝えたいので、「花澤です。めっちゃ美味しかったです。今後もよろしくお願いします」って伝えられるなと思いました。

――ケイの「記憶保持」はどうですか?

悠木:台本が覚えられたらいいね。

花澤:うん、素敵。

石川:ノイズは減りますよね。舞台とかでも便利だなぁ。活動の幅が広がりますよ。

――アニメの現場で、台本を覚えてくることってあるんですか?

悠木:台本を持てないことがないからなぁ。

――そうか、だから覚える必要性がないんですね。

石川:うん。だから舞台に出るとか、演劇をやるときとか。あとは歌詞を覚えるときにいいかもしれない。

悠木:歌詞を覚えられるのは最高だね。その能力欲しいな。でも忘れられないのはイヤかも。ちょっと可愛そうな気もするね。

――花澤さんは?

花澤:私、食べログを見るのが好きで…。

悠木:食べることばっかりじゃないですか(笑)!

石川:食いしん坊!

花澤:いや、本当に食いしん坊なんだけど(笑)、この駅の周辺に美味しいお店があったんだけど、何だったっけっていうことがよくあるので、いろんな人に、ここのこれが美味しかったよって、すぐに教えてあげられるなって思いました。

石川:それなら僕はカロリーを覚えておきたいですね。それを覚えていたら、ダイエットもはかどるなって。

悠木:あとは宝くじを当てる!

――春埼の「リセット」能力と合わせたら、まずそれやっちゃいますね(笑)。春埼のリセットはどうですか?

悠木:時間を3日間巻き戻せても忘れちゃうんだもんな。でも楽しいことがあったあとにリセットしたら、もう一回できるってことですもんね。永遠に楽しいという。

石川:リセットって使いよう、あるのかな。

――戻ったら記憶までリセットされてしまうという縛りがきついですよね。

花澤:ケイがいないとちょっとあれだね。

石川:記録保持者が現れるまでリセットを使い続ける(笑)。

――記録保持者は全部覚えているから、たまったもんじゃないですね(笑)。

悠木:同じことを何度も繰り返すって、すごくしんどいですよね。

――リセットは、意外と一番使いみちがなかったですね。でも作品の中では、すごく重要になってくる能力なので、今後どうなっていくのか楽しみです。

悠木:この作品の一番いいところは、みんなの能力が、そうでもないっていうところですから。みんながちょっとずつ寄り集まって、すごいことを起こすみたいなところがすごくいいですよね。

――菫をどうやって生き返させることができるのかが、テーマになってきますからね。

悠木:そう、もう菫が死んでしまったって(キャラクター紹介に)書いてあるんですよね(笑)。

石川:どういう能力が集まってくるのかが面白いし、一見意味のない能力が、実は重要だったりするのが、この作品の面白いところです。

悠木:ほんと、中野君の能力とか、そうやって活用するんだって私は思った。

花澤:あとは恋愛模様。この3人がどういう関係になっていくのかは、原作を知らない人からしたらドキドキするんじゃないかなと思います!

石川:僕個人的になんですけど、善悪の話が好きで。基本的にこの話には善人しかいないんですけど、その善とは一体何なのかを考えるきっかけにもなると思いました。

この作品って、キャラクターの自己主張が激しい作品ではないんですよ。セリフを読み解いて、セリフから導き出される本質とか言いたいことを見て、初めてキャラクターが成立する作品だと思うので、じっくり見ていただきたいなと。そうすれば、キャラクターが本当にそこにいるように感じられるのではないかと思います。

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