奥山由之写真展『君の住む街』レポート いま最も注目される写真家が撮る、若手女優35人と東京の風景

2017.5.1
レポート
アート

奥山由之写真展「君の住む街」会場入り口

画像を全て表示(13件)

近年の写真界で注目を集める若手写真家のひとり、奥山由之。独特の揺らぎと詩的な表現で人気を博している。そんな奥山が、いま最も美しく輝く若手女優ら35人のポートレートと、東京を切り取った風景写真、合わせて約170点を一挙公開する写真展『君の住む街』が、表参道ヒルズ・本館B3Fスペース オーにて開催されている。(会期:4月27日~5月7日)公開前日に行われたプレス内覧会より、その内容をレポートしよう。

広瀬すず

 

近さと儚さ、目が離せなくなる女性たち

表参道ヒルズの吹き抜けの大階段を下ると、白い広々とした空間が出現する。会場内には、有村架純本田翼広瀬すず二階堂ふみといった“いま最も輝く”という言葉がふさわしい錚々たる若手女優のポートレート写真が並ぶ。

会場内の様子

写真に写るのは注目の若手女優ら35人

しかし、よく知るはずの彼女たちだが、TVや雑誌で見る雰囲気とは何やら違う。ポラロイドカメラで撮られたという正方形の写真がひとり4枚ずつ並んでいるのだが、そこには表情がよくわかるものもあれば、完全にボケて被写体がはっきりしないものも。言うなれば、彼女と二人きりでいる時の空気を、そのまま切り取って見せているような感じだ。なんだか、ドキドキしてくるような気持ちを覚える。

多部未華子

木村文乃

カメラに向ける視線や、見せる仕草も十人十色。無邪気な笑顔もあれば、おどけたポーズもある。おぼろげな東京の風景と合わせて見ていくと、「君の住む街」というタイトル通り、彼女たちがこの街に確かに存在していることを感じさせる。一方で、その儚い揺らぎの表現は、どこか遠い世界の中のように思える瞬間もはらんでいて、作品の見方は鑑賞者それぞれの感性に委ねられているようでもある。

二階堂ふみ

吉岡里帆

夏帆

奥山が写真を「点の表現」と言い表しているように、ある瞬間を捉えた一枚の写真を並べて見せられると、見る者は勝手にその点と点の間をつないで想像力を働かせてしまうのだという。その“一人遊び”が楽しくて、気がつくと会場をぐるぐると何周も回ってしまっていた。

約170点もの作品が一挙公開となる

早熟の写真家、奥山由之を今知りたい

この独特の美しい世界を生み出す、奥山由之とはどんな人物なのか。

奥山由之は1991年生まれの写真家・映像作家。学生時代から映像作品を制作する一方、写真を撮り始め、20歳の若さで写真界の登竜門と言われる第34回写真新世紀の優秀賞を受賞する。さらに、2015年出版の写真集『BACON ICE CREAM』(パルコ出版)が第47回講談社出版文化賞・写真賞を受賞。その後も『GINZA』をはじめとするファッション誌や、数々の広告写真、CDジャケット、映像作品などを手がけるなど、目覚ましい活躍を続けている。

本展では雑誌『EYESCREAM』誌による連載作品とともに、カルチャーの発信地である表参道を中心とした東京の街を撮り下ろした風景写真を一挙公開。奥山の新たなチャレンジとなる大型写真展となっている。

撮り下ろしの風景写真

会場には「コンビニ風」写真集売り場も

会場では、本展の写真集『君の住む街』(スペースシャワーネットワーク刊)の販売も行なっている。売り場は、なんとコンビニ風に仕立てられている。中には写真集がずらりと並んでおり、思わずふらりと立ち寄って手に取りたくなる仕掛けがされているのだ。本展の総合プロデューサーはクリエイティブ・ディレクターの後藤繁雄、デザインは日本を代表するアートディレクター・服部一成、物販ブースのディレクションはHYOTA・中村俵太が担当している。奥山作品のみならず、展覧会の構成にも注目したい。

コンビニ風の写真集売り場

期間中には奥山本人によるサイン会や、奥山とnever young beachのボーカル&ギター・安部勇磨によるトークイベントも開催されるとのこと。こちらもぜひ、チェックしてみてはいかがだろうか。

表参道ヒルズ 本館メインエントランス

 

イベント情報
奥山由之写真展『君の住む街』

会期:2017年4月27日(木)~5月7日(日)
会場:表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー(東京都)
時間:11:00~21:00(最終日は18:00まで)
入場無料
URL:http://www.omotesandohills.com/event/#902
  • イープラス
  • 美術館/博物館
  • 奥山由之写真展『君の住む街』レポート いま最も注目される写真家が撮る、若手女優35人と東京の風景